キスを狙え
- 2023.11.22
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:2人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
颯太(そうた)
美優(みゆ)
■台本
颯太(N)「今日は美優ちゃんとの10回目のデート。……今日こそは! 今日こそは! 美優ちゃんとキスまでいくぞーーー!」
場面転換。
颯太が駅前で待っている。
そこに美優が走って来る。
美優「颯太くん、お待たせー」
颯太「美優ちゃん! 俺も今来たところだから、全然待ってないよ」
美優「そっか。よかった。じゃあ、行こっか」
颯太「う、うん」
美優「あはは。どうしたの? なんか、緊張してない?」
颯太「そ、そんなことないよ」
美優「まずはどこに行くんだっけ?」
颯太「水族館だよ」
美優「へー、楽しみー」
場面転換。
水族館を歩く颯太と美優。
美優「あはは。見て見て。変な顔のお魚さん」
颯太「そうだね」
美優「それにしてもさー」
颯太「なに?」
美優「なんか、お客さん、少ないね」
颯太「そそ、そうかな? いつもこんな感じなんじゃない?」
美優「そっかぁ」
颯太(N)「よし。計画通り。客が少ない水族館を選んだのは成功だな。暗いかつ幻想的な雰囲気。キスまで持って行くには絶好の場所だ」
颯太「あ、美優ちゃん。エイだって」
美優「ホントだ。大きいねー」
颯太「……」
美優「……」
颯太「ね、ねえ、美優ちゃん」
美優「なに?」
颯太「今日も、綺麗だよ」
美優「……」
颯太(N)「よし、良い雰囲気! 今だ! いけ!」
美優「あ! ペンギンだってー」
美優が歩き出す。
颯太「……くっ。失敗か」
場面転換。
カフェの中。
そこそこの混雑具合。
美優「へー。おしゃれなお店だね」
颯太「でしょ? 今、人気なんだって」
美優「なんか、カップルが多いね」
颯太「なんか、今、カップル割引やってるんだって」
美優「そうなんだ」
颯太(N)「オシャレなお店で、周りはカップルがいっぱい。そして、結構、色んなところで、キスしてるカップルもいる。ここなら、自然にキスを狙えるはずだ」
颯太「きょ、今日はさ、美優ちゃんとの10回目のデートでしょ?」
美優「そうだっけ?」
颯太「だから、特別なお店に来たかったんだ」
美優「ふふ。ありがと。嬉しいよ」
颯太「……」
美優「……」
颯太(N)「よし、手を握れた。このまま、顔を近づければ……」
美優「あ、この抹茶ラテ、おいしー!」
颯太「そ、そう?」
美優「うん。颯太くんのも、アイス解けちゃうよ」
颯太「そうだね……」
颯太(N)「くっ。失敗。だが、まだまだ策はある。大丈夫だ」
場面転換。
颯太と美優が小高い丘の道を歩いている。
美優「ふふ。もう秋だねー。結構、涼しくなってきたよね」
颯太「そうだね……」
颯太(N)「くそー! 俺の作戦がことごとく失敗する……。なぜだ? まあ、いい。ラストだ。この作戦に全てをかける!」
颯太「あ、見えてきたよ。展望台」
美優「うわーー! きれー!」
颯太「でしょ? ここ、町が綺麗に見えるんだ。夕日の赤も重なって、すごくいい感じでしょ?」
美優「うん! ……ホント、綺麗」
颯太「……美優ちゃん」
美優「……颯太くん」
颯太「……」
美優「……くしゅん!」
颯太「え?」
美優「あはは。ちょっと、寒くなってきたね」
颯太「そ、そうだね……」
美優「そうだ。さっき、自販機で温かいココア買ったんだった」
颯太「そういえば、買ってたね」
ガサガサとココアの缶を取り出し、開けて飲み始める美優。
美優「はー。温まるなぁ」
颯太「……」
颯太(N)「ここでもダメだった。あとはもう帰るだけ。……今日もキスは無理か……」
美優「はい。颯太くんも一口。温まるよ」
颯太「ありがとう」
受け取って、一口飲む。
颯太「あ、ホントだ。温まるね」
美優「でしょ」
颯太が美優にココアを返す。
美優「私、このココアすごく好きなん……あっ!」
颯太「どうしたの?」
美優「颯太くんと間接キスしちゃった」
颯太「……」
颯太(N)「美優ちゃんとキスはできなかったけど、これはこれでよかったかな」
終わり。