■概要
人数:4人
時間:10分程度
■ジャンル
ボイスドラマ、シリアス
■キャスト
カイロ
マイルズ
ニア
隊長
■台本
ガチャリと音を立てて、ドアが開く。
カイロ「あれ? 二人ともまだ起きてたんだ?」
マイルズ「そういうカイロこそ、寝なくていいの?」
カイロ「なーんか、眠れなくってさ」
ニア「っていうか、普通に寝れる方がどうかしてるんじゃない?」
マイルズ「確かにね」
ニア「マイルズ、コーヒーのおかわりは?」
マイルズ「ありがとう。よろしく」
ニア「カイロは?」
カイロ「どうせ眠れなさそうだし、もらおうかな」
ニア「なら、ミルク多めにする?」
カイロ「そうだな」
マイルズ「じゃあ、ボクも」
ニア「わかった。少し待っててね」
ニアが立ち上がり、歩いて行く。
マイルズ「……ニアはきっと、いい奥さんになるよね、カイロ」
カイロ「なんで、俺に言う。お前が幸せにしてやれよ」
マイルズ「ははは。ボクじゃ無理だよ」
カイロ「そんなことないさ。お前みたいなタイプが最後まで残るんじゃないか?」
マイルズ「さあ、どうだろ……。こればっかりはわからないよ」
カイロ「そうだな……」
マイルズ「……三人になっちゃったね」
カイロ「……」
マイルズ「ジャンは残ると思ったんだけどな」
カイロ「あいつはズル賢そうで、意外とお人よしだからな。騙されたんじゃないのか?」
マイルズ「あー、ありそうだね」
カイロ「逆にレナなんかは、最初に卒業するかと思ってたんだけどな」
マイルズ「あはは。カイロ、ずっと言ってたよね」
カイロ「おかげで、3千も損した」
マイルズ「うわっ! サイテーだね。賭けなんかしてたの?」
カイロ「マイルズ、お前も結構、人気だったぞ」
マイルズ「え……そうなの?」
カイロ「ま、結局、賭けをしてたやつの方が先に卒業してったけどな」
マイルズ「みんな、元気にしてるかなぁ」
カイロ「なんだ、会いたくなったのか? いいんだぜ、卒業したって」
マイルズ「いやいや、ボクは最後まで付き合うよ。放っておいたら、カイロ、ずっと卒業できなさそうだもん」
カイロ「うるせえな。いいんだよ、俺は」
マイルズ「……ニアのこと、ちゃんと最後まで見てあげてね」
カイロ「だから、なんで俺なんだよ」
ニアが戻ってくる。
ニア「おまたせー。何の話してたの?」
マイルズ「ああ、みんなの話をしてたんだ」
ニア「なあに? マイルズ、寂しくなっちゃった?」
マイルズ「なんだよ、ニアまで。ちょっと懐かしいなって思っただけじゃないか」
ニア「みんなで卒業したらさ、同窓会やろうよ」
マイルズ「いいね、それ」
カイロ「あいつらが集まるようなタマか?」
ニア「確かに集めるのは大変そうね」
マイルズ「ギルとか、見つからなさそうだよね」
ニア「あはは。あり得る! いなさそー」
カイロ「別に無理して見つけなくていいだろ」
マイルズ「あー、カイロはギルのこと嫌いだもんね」
カイロ「別に嫌いなんかじゃねーよ。あんなイカれた野郎とはソリが合わないってだけだ」
ニア「それを嫌いって言うのよ」
マイルズ「せっかくの同期なんだから仲良くしようよ」
カイロ「無理だ」
ニア「ふふふ。これは死んでも治らないわね」
マイルズ「だね」
カイロ「俺は……同期の奴らより、教官に会いたい」
マイルズ「え? 嘘?」
ニア「カイロ、頭でも打った? 私は絶対嫌よ」
カイロ「今なら勝てる気がする」
マイルズ「ぷっ!」
ニア「あはははは」
カイロ「な、なんだよ?」
マイルズ「あはははは。それ、アカデミーのときも言ってたよね」
ニア「そのたびに、ボコボコにされてたわね」
カイロ「う、うるせーよ。今なら絶対勝てる!」
マイルズ「じゃあ、同期全員でお礼参り行く?」
ニア「アカデミー卒業のときの二の舞になるんじゃない?」
カイロ「いや、俺一人でいけるって」
マイルズ「いや、無理だって」
ニア「無理よね」
カイロ「お前らな……」
マイルズ「ねえ、二人は後悔してない? その……アカデミーに入ったこと」
カイロ「別に」
ニア「私の場合は選択肢がなかったからなぁ。でも、後悔はないかな。みんなにも会えたしね」
マイルズ「そうだよね。……すっごく辛かったけど、楽しかったよね」
ニア「うん。楽しかった。あの思い出があるから、今も頑張れるんだもん」
マイルズ「ボクもそうだよ」
カイロ「俺は、別に」
マイルズ「もう、カイロは意地っ張りだね」
ニア「まあ、カイロっぽいって言えば、カイロっぽいけどね」
カイロ「意地なんて張ってねえって」
マイルズ「はいはい。わかったわかった」
カイロ「殴るぞ、てめえ」
ニア「さてと。じゃあ、そろそろ寝ようっか」
マイルズ「そうだね。明日は厳しい任務になりそうだし」
カイロ「だな。じゃあ、俺は寝るわ。おやすみ」
マイルズ「おやすみ」
ニア「おやすみなさい」
場面転換。
戦場。
周りから爆音や銃撃戦の音が聞こえてくる。
隊長「よし、アルファ隊! お前らの出番だ! 突撃!」
カイロ・マイルズ・ニア「イエッサー」
三人が戦場を走る。
カイロ「相変わらず、激戦だな」
マイルズ「はは……。さすがにこれは『卒業』できそう」
ニア「何言ってるの。このくらいの修羅場なんて何度も潜ってきたじゃない」
カイロ「ああ。これくらい余裕さ」
マイルズ「……それじゃ、二人とも。またね」
ニア「うん」
カイロ「ああ」
マイルズ「もし、卒業しても……」
カイロ・マイルズ・ニア「来世でまた会おう」
終わり。