鍵谷シナリオブログ

【声劇台本】おままごと

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■概要
人数:3人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
拓哉(たくや)
美紅(みく)
響平(きょうへい)

■台本

拓哉「ただいまー」

美紅「お帰りなさい、あなた」

拓哉「あー、お腹減った。ご飯はなあに?」

美紅「今日はフランス料理のフルコースよ」

拓哉「わあー! 美味しそう! いただきまーす! んぐっ! んぐっ! ぷはー!」

美紅「どう?」

拓哉「うん。とっても美味しかったよ!」

美紅「うふふ。明日はイタリア料理にするね」

拓哉「えへへ。イタリア料理も作れるなんて、凄いね」

美紅「そうよ。だって、私、料理教室に通っているんですもの」

拓哉「さてと。それじゃ、次はお風呂に入ろうかな」

美紅「もう、沸いてるわよ」

拓哉「ありがとう。じゃあ入るね。んっ! っと、あれ? 服が脱げない」

美紅「え? どれどれ? うーん。こうかな?」

ビリっと服が破れる音。

拓哉「あっ!」

美紅「服、破れちゃった……」

拓哉「……どうしよう?」

美紅「後で、のりでくっ付けよう」

拓哉「そうだね。ズボンはいいや。そのまま入っちゃおうっと。ジャブン!」

美紅「どう? 湯加減は?」

拓哉「うん。すごくいいよ。疲れが取れるね。ふー、いい湯だった」

美紅「じゃあ、私も入ろうかな」

拓哉「じゃあ、僕はこっちで残業しておくね」

美紅「さてと、服を脱いでっと」

拓哉「あわわわ……。ぜ、全部脱いじゃったの?」

美紅「お風呂に入るんだもん。服は全部脱がないと」

拓哉「そ、そりゃそうだけど……」

美紅「さてと。じゃぶん! はー、生き返るわー」

拓哉「えっと、僕は残業、残業っと。えっと、パソコンをパチパチ、と」

美紅「じゃじゃーん! 見て! 新しい服よ!」

拓哉「え? どこにあったの?」

美紅「えへへへ。ひ、み、つ」

拓哉「でも、その服、ちょっとおっきいみたいだね」

美紅「うーん。サイズ、合わなかったかな?」

拓哉「元の服にしたら?」

美紅「嫌! こっちの方が可愛いもん」

拓哉「でも、あとで元の服にしてね」

美紅「そ、れ、よ、り! あなた! 不倫してるわね!」

拓哉「えええー!」

美紅「証拠は上がってるのよ! えっと……この前のお休みの日、お仕事行くって言ってホテルに言ったでしょ? 探偵を雇って調べたんだから! 証拠の写真よ!」

バラバラと紙をばら撒く。

美紅「見て! この写真にあなたが、ホテルに入っていくところが写ってるわ!」

拓哉「ち、違うよ。これは……。って、ねえねえ」

美紅「なに?」

拓哉「なんで、ホテルに行っちゃダメなの?」

美紅「え? えっと……。私に黙って、一人で行くのがダメなのかな?」

拓哉「一緒に行けばいいのにね」

美紅「そうだよね。なんでだろ? ……って、ちゃんとして! 続けるわよ!」

拓哉「あ、ごめん」

美紅「とにかく、実家に帰らせてもらいます!」

拓哉「待ってくれ! 君がいないと、僕はダメなんだ!」

美紅「ダメです! タツヤと一緒に、実家に帰ります!」

拓哉「……タツヤって誰?」

美紅「私たちの子供よ。ほら、これ!」

おぎゃあ、おぎゃあ!という赤ちゃんの泣き声。

拓哉「うわあ。すごい。どこから持ってきたの?」

美紅「家から。この前のクリスマスに買って貰ったの」

拓哉「すごいの、買ってもらったんだね」

美紅「はい、続き! 続き!」

拓哉「あ、うん。えっと……考え直してくれ!」

美紅「嫌よ! 慰謝料と養育費を貰いますからね!」

拓哉「……難しい言葉知ってるんだね」

美紅「この前、テレビでやってたの。って、もう! ちゃんとやってってば!」

拓哉「ああ、ごめんごめん。えっと……そういう君だって、僕が働いている間、家で、くっちゃね、くっちゃね、してるじゃないか」

美紅「な、なによ……」

拓哉「知ってるんだぞ! 僕にはお昼ご飯に300円しかくれないのに、君はママ友と高級レストランに行ってるだろ!」

美紅「そ、それは……」

拓哉「だから、僕だけが悪いわけじゃない」

美紅「いいじゃない! 毎日、毎日、家事ばっかりして、ストレスが溜まってるのよ!」

拓哉「それに、知ってるぞ! お前、パパ活してるだろ!」

美紅「ど、どうしてそれを……。って、パパ活ってなあに?」

拓哉「え? えーと、パパがかつだから、喧嘩して、お父さんが勝つってことかな?」

美紅「それなら、私が悪くないんじゃない?」

拓哉「あ、でも……。テレビで、女の人がやってるってやってたよ?」

美紅「ふーん。ま、いっか。続き、続き」

拓哉「うん」

美紅「うるさいわね! こうなったら、あなたを殺して、私も死ぬ!」

ヒュッとナイフを振る音。

拓哉「うわああ! って、それ、本物?」

美紅「すごいでしょ? ホントに切れるのよ!」

シュッシュッとナイフを振る音。

ビビビっと服が切れる音。

美紅「あっ! 服が切れちゃった。……まあ、いいや。とにかく、殺してやるー!」

拓哉「うわーーー! 助けて―!」

美紅「追い詰めたわよ! えーい!」

拓哉「こ、こうなったら!」

ガンと鈍い音と、ゴキっと折れる音。

拓哉「ああああー! く、首が……折れちゃった……どどど、どうしよう?」

ガチャとドアが開き、響平が入ってくる。

響平「ただいまー。って、お前ら、また昼ドラごっこしてるのか?」

拓哉「お、お兄ちゃん……」

響平「……え? お、お前……」

拓哉「あ、あの……」

響平「嘘だろ? どうするんだよ、これ?」

拓哉「あううう……」

響平「く、首が折れてる……」

拓哉「ご、ごめんなさい!」

響平「うわあああああ! 俺の! 俺の! 嫁がーーーー!」

拓哉「……」

響平「しかも、なんでうるはちゃんがサクラちゃんの服を着てるんだ? それに、服が切れてる!」

美紅「……あ、完全に怒ってる顔だ」

拓哉「うん。ヤバいね」

響平「おーまーえーら! 俺の大切なフィギュアをどうしてくれるんだ!」

美紅・拓哉「ご、ごめんなさーい!」

終わり。

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