■概要
人数:3人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
真神 千春(まがみ ちはる)
真神 千尋(まがみ ちひろ)
智也(ともや)
■台本
千春(N)「真神さん家の長女と長男はデコボココンビ。昔から言われてきた言葉だ。聞き飽きて、もう気にならなくなった。けど、未だに慣れないことはある。千尋の存在だ。……早く何とかしないと、いつか必ず事件に巻き込まれてしまう。そうならないように、目を光らせておく必要がある」
場面転換。
リビング。
千春「さてと、そろそろ出かけるかな」
そこに千尋がやってくる。
千尋「あれ? どこか出かけるの?」
千春「ああ、ちょっと買い物に……って、千尋、なんて格好してるんだよ!」
千尋「えへへ。可愛いでしょ。このフリフリのところとか」
千春「……ちょっと、足、出し過ぎじゃないか? もう中学生なんだから、あんまりそいう服はどうかと思うけど」
千尋「ええー! 千尋は妥協したくないんだもん! 千尋はいつでも、全力で可愛さを追求していたいの」
千春「うーん。着るなとは言わないけど、家の中だけにするとか……」
千尋「それだと、家族にしか見て貰えないじゃない! そんなのつまらないよ! たっくさんの人に、千尋の可愛さを見てもらいたいんだもん!」
千春「……心配だよ。いつかトラブルに巻き込まれるんじゃないかって」
千尋「大丈夫、大丈夫。千春ちゃんは心配し過ぎだよー」
千春「千春ちゃん言うな」
千尋「それで? 買い物行くの?」
千春「ああ。ちょっと町までな」
千尋「じゃあ、千尋も行くー」
千春「ええ? なんでだよ。家で留守番してろって」
千尋「ねえ、いいでしょ? お、ね、が、い」
千春「……はあ。着いて来ても、奢らないからな」
千尋「わーい! やったぁ! ありがと、千春ちゃん」
千春「千春ちゃん言うな!」
場面転換。
街中を並んで歩く、千春と千尋。
千尋「えへへへへ……」
千春「なに、にやにやしてるんだ?」
千尋「歩いている人達、みんな、こっち見てるよ。千尋が可愛いからかな?」
千春「どうだかな」
千尋「もう、意地悪―! 可愛いって認めてよ」
千春「はいはい。千尋は可愛いよ」
千尋「えへへへ。えい!」
千尋が千春の腕にくっつく。
千春「ちょ、千尋。あんまりくっつくなって」
千尋「こうしてると、カップルに見えるかな?」
千春「それはそれで、問題だけどな」
そのとき、前から、ドサッとカバンが落ちる音。
千春「ん?」
智也「……ま、真神……お前」
千春「智也か。お前も買い物か……」
智也「真神、ちょっと来い!」
千春「うわっ! 引っ張るなよ!」
場面転換。
千春「ちょ、どこまで行く気だよ」
智也「あの子……誰だ?」
千春「ああ、あれは……」
智也「彼女か?」
千春「殴るぞ」
智也「妹か? いやー知らなかった。まさか、真神にあんな可愛い妹がいるなんて。なんで黙ってたんだよ?」
千春「……別に言う必要ないだろ」
智也「頼む! 真神! 紹介してくれ!」
千春「は?」
智也「いいだろ? な? な?」
千春「いや、千尋はまだ中学二年だし。そういうのは……」
智也「いいじゃん。三歳差なんて、世の中じゃ割と普通だぞ」
千春「……悪いことは言わん。千尋は止めておいた方がいい」
智也「なんでだよ?」
千春「……確実にお前の心に深い傷を作ることになる」
智也「平気、平気。恋は傷つきながら成長するもんだから」
千春「……見た目に騙されない方がいいぞ。ああ見えて、中身は悪魔だ。お前なんかじゃ、貢がされるだけ貢がされてポイだ」
智也「なんだよー。小悪魔系かよー。増々燃えるっちゅーの」
千春「とにかく、ダメなもんはダメだ」
智也「なんだよ、ケチー」
千春「なんとでも言え。じゃあな」
千春が歩き出す。
場面転換。
千春「ごめん、待たせたな」
千尋「ううん。大丈夫。それより、さっきの人だあれ? 友達?」
千春「まあな」
千尋「ふーん。……結構、格好いい人だったね」
千春「……あいつ、貧乏だぞ」
千尋「なら、いいや」
千春「ホント、良い性格してるよ」
千尋「えへへへ」
千春「褒めてないからな」
場面転換。
千春と千尋が歩いている。
千尋「あ、千尋、ここに寄りたい」
ピタリと千尋が立ち止まり、千春も立ち止まる。
千春「……服屋? また服買うのか? この前、新しいの買ったばかりだろ」
千尋「ううん。千尋のじゃなくて、千春ちゃんのだよ。いつも地味な服着てるんだから、たまにはイメチェンしてみたら?」
千春「千春ちゃん言うな。それに、いいよ、新しい服なんて。この格好、楽だし」
千尋「ダメダメ! せっかく、良い素材なんだから、ちゃんと活かさないと! そんなんじゃモテないんだから」
千春「いや、モテるとか別にいいだけど……」
千尋「いいからいいから」
千尋が千春を後ろから押し自動ドアが開く。
場面転換。
千尋「これなんてどうかな?」
千春「いや……どうだろうな」
千尋「じゃあ、これとか?」
千春「いやいや、絶対に似合わないって」
千尋「ちょっと、試着してみようよ」
千春「無理無理無理! スカートなんて、絶対無理」
千尋「いつも学校で履いてるでしょ?」
千春「あれは制服だから……。それに、そんな短いのとか、あり得ないって」
千尋「女の子は着飾ってこそだよ! ほら、千尋みたいにさ」
千春「いや、千尋は男だろ」
千尋「いいから着る! いつかは千尋と同じ格好で町で歩いてもらうんだから」
千春「それはそれで、どうなんだ?」
千春(N)「千尋の女装趣味は、いつか辞めさせないといけない。絶対に、いつか事件に巻き込まれる。っていうか、千尋が事件を起こしそうだ。……それに、いつか男に刺されるんじゃないかって、お姉ちゃんは心配だよ」
終わり。