■概要
人数:3人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、ラブコメ
■キャスト
真治(しんじ)
彩羽(いろは)
美弥(みや)
■台本
学校のチャイム。
真治がやってきて、下駄箱に上靴を入れて、外靴を取ろうとする。
ガサガサと音がする。
真治「ん? なんだ? ……手紙?」
手紙を開けて読む、真治。
真治「こ、こ、これは……来たー!」
彩羽「うっさい!」
彩羽が後ろから真治を蹴る。
真治「痛いっ! な、何をする!」
彩羽「真治、邪魔。下駄箱の前で何やってんのよ」
真治「それより、聞いてくれ、彩羽! ついに俺に春が来たんだ!」
彩羽「頭の中に?」
真治「違う! 本当の意味で、春が来たんだ!」
彩羽「ああ。もう、四月だもんね」
真治「あー、いや、そうでもなくてだな。ついに、俺は告白されたんだ!」
彩羽「……そっか。おめでとう」
真治「なんだ、その可哀そうな人を見る目は! ホントなんだって! リアルだよ、リアル! リアルで告白されたの!」
彩羽「ふーん。まあ、あんたがそう言うならそうなんじゃない。あんたの中では」
真治「だから! 脳内だけの話じゃないって! 今回はマジなの! ほら! これが物的証拠だ!」
手紙をバッと出す。
彩羽「手紙?」
真治「そうだ。靴の中に入ってた」
彩羽「今どき、手紙って……。手あかがつきすぎて、逆に新鮮ね」
真治「だろ?」
彩羽が手紙を取って、読む。
彩羽「どれどれ……」
真治「どうだ? ホントだったろ?」
彩羽「はー。こんなことだろうと思った」
真治「な、なんだよ?」
彩羽「これ、告白じゃなくて、決闘かリンチの呼び出しじゃない」
真治「いやいやいや! それはないって! 変な読み違いすんなよ」
彩羽「読み違いも何も、一文しか書いてないじゃない」
真治「明日の17時に屋上に来てください。これって、どう見ても告白だろ」
彩羽「どれだけ、頭ハッピーなのよ。どう見ても、お前鼻につくから、明日、ボコってやるよ、って意味よ」
真治「いやいやいや。どんだけだよ。お前の方が妄想激しいって」
彩羽「あのさぁ。バカでアホで間抜けで、勉強できないあんたを相手にしてくれる女の子なんて、世界で一人くらいしかいないんじゃないの?」
真治「なるほど。お前が俺を頭悪いとしか見てないことは分かった」
彩羽「まあ、せいぜい、土下座の練習でもしておくのね」
真治「練習か……なるほど。一理あるな。彩羽、練習に付き合ってくれ」
彩羽「土下座の練習なんて、一人でできるでしょ」
真治「違う! 告白を受ける練習だ!」
彩羽「……は?」
真治「ほら、告白された時、頭が真っ白になってしどろもどろになったら、格好悪いだろ。だから、その練習だ」
彩羽「アホくさー。それこそ、脳内で出来るでしょ」
真治「ダメだ! 妄想で特訓すると、状況が進み過ぎて、違う特訓になっちまう!」
彩羽「……どうせ、妄想で終わるんだから、それでいいんじゃない?」
真治「頼む、彩羽! 付き合ってくれたら、お前の行きたがっていた駅前の店で、いちごパフェを奢るから!」
彩羽「……奢るって、その分のお金を払うってこと? 一人で行くとか、恥ずかしいんだけど」
真治「……面倒くさいやつだな。わかった。じゃあ、俺も一緒に行く。これでいいか?」
彩羽「おっけ。交渉成立。仕方ないから付き合ってあげるわ」
真治「よし、じゃあ、屋上に行くぞ」
場面転換。
屋上。風がビューと吹く。
真治「よし! さっそく始めるぞ。来い! 彩羽!」
彩羽「はあー。はいはい。じゃあ、いくわよ」
真治「ごくり……」
彩羽「すきです。つきあってください」
真治「なんだ! その棒読みは! もっと感情を込めろよ!」
彩羽「ええー。面倒くさいわね」
真治「パフェ分の仕事をしろ!」
彩羽「……言っておくけど、演技だからね? 勘違いしないでよ?」
真治「ん? わかってる。練習だろ?」
彩羽「……すーはー(深呼吸)。好きです。私と、付き合ってください」
真治「おお! それそれ! そんな感じ!」
彩羽「……」
真治「けどよぉ。いきなり、ストレートに来るもんか? もうちょっと、こう、前置きとか言わないか、普通?」
彩羽「あんた、ホントに面倒くさいわね」
真治「本番に近い感じじゃないと練習にならないだろ」
彩羽「はいはい……。えっと。今日は来てくれて、ありがとうございます」
真治「あ、ああ。用事ってなに?」
彩羽「真治って……真治くんって、今、付き合ってる人、いますか?」
真治「いや……い、いないよ」
彩羽「それじゃ……好きな子は? 気になってる子とか、います?」
真治「えっと……、い、いや。いないよ」
彩羽「……それじゃ、その……私と……付き合ってくれませんか?」
真治「ああ……えと、う、うん……その、わかった」
彩羽「はい、終わり! これで満足?」
真治「あー、すまん。もう一回! 今の、ちょっとキョドってカッコ悪かった」
彩羽「ええー……」
真治「格好良く言えるようになるまで特訓だ!」
彩羽「……はあ」
場面転換。
風がビューと吹く。
真治が屋上にやってくる。
真治「ごめん、待たせちゃったかな」
美弥「今日は来てくれて、ありがとうございます」
真治「いや、暇だったし、気にしないでよ。で、用事ってなにかな?」
美弥「真治くんって、今、付き合ってる人、いますか?」
真治「いや。残念ながらいないよ」
美弥「それじゃ……好きな子は? 気になってる子とか、います?」
真治「今はいないかな。恋ってやつに興味はあるけどね」
美弥「それじゃ……」
真治「ごくり……」
美弥「彩羽ちゃんと付き合ってあげてください!」
真治「ああ。いいよ……って、え?」
美弥「彩羽ちゃん、可愛いですし、ああ見えて、尽くすタイプですし、一途なんです!」
真治「いやいやいや! なんで、彩羽?」
美弥「……はあ。噂通り、鈍感ですね。やっぱり気づいてませんか。あんまりグズグズしてたら、他の男子に取られちゃいますよ。彩羽ちゃん、男子に人気なんですから」
真治「え? え? え? 全然、話が見えないんだけど……」
美弥「私が言いたいことはそれだけです。それじゃ、失礼します」
美弥がスタスタと歩いて行ってしまう。
真治「……え?」
場面転換。
トボトボと廊下を歩いている真治。
そこに、彩羽がやってくる。
彩羽「あはははは。その様子だと、やっぱり告白じゃなかったみたいね!」
真治「ああ。全然違った……」
彩羽「うんうん。そうでしょ、そうでしょ。ま、一瞬でもいい夢見られたんだから、良かったじゃない」
真治「……」
彩羽「な、なによ、人の顔ジッと見て……」
真治「確かに、お前、可愛いよな」
彩羽「はあああああ!? 急に、なななな何言ってるのよ!」
真治「近くにい過ぎるとわからなくなるもんだな」
彩羽「あんた、熱でもあるんじゃないの?」
真治「なあ、彩羽」
彩羽「なに?」
真治「……あー、やっぱ、言えないな」
彩羽「なになに? なんの話?」
真治「なあ、彩羽。また特訓付き合ってくれないか?」
彩羽「なに? また、告白受ける練習?」
真治「いや、今度は告白する練習」
終わり。