■概要
人数:5人以上
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
藤吾(とうご)
奈々子(ななこ)
その他
■台本
藤吾(N)「昔から俺は大人びた顔をしていた」
子供「やーい、おっさん顔の藤吾!」
藤吾(N)「別に今まで俺は、顔のことについて嫌だと思ったことはない」
店員「大人一人に、子供2人ね」
藤吾「いえ、僕も子供です」
店員「ええ? ……学生証を見せてくれる?」
藤吾(N)「逆に俺は、この顔に感謝している。そのおかげで……」
エージェント「藤吾。君にまた、仕事の依頼だ」
藤吾「いいですよ。今度はどこに入り込めばいいんですか?」
エージェント「警察署だ。この事件のファイルを入手してもらいたい」
藤吾「了解」
藤吾(N)「この顔のおかげで、俺は高校生で情報屋をやれている」
場面転換。
カツカツカツと歩いている藤吾。
ピタリと立ち止まる藤吾。
藤吾「君、資料室はどこかね?」
警察官「え? あなた、誰ですか?」
藤吾「本庁から、資料を取りに来た」
警察官「……あ、し、失礼しました、警視!」
ビシッと敬礼する警察官。
藤吾「文書で資料を請求してもよかったんだけどね。極秘で調べたくて」
警察官「こ、こちらです!」
藤吾(N)「制服は万能だ。その服を着ているだけで、何者かが証明できる。いや、相手が勝手に証明してくれる。コツとしては堂々としていること。当たり前の顔をしていれば、みんな信じてくれるのだ。このことを利用して、俺は様々な場所に侵入している」
場面転換。
エージェント「さすがですね。また、お願いします」
藤吾「ええ。いつでも」
エージェントが歩き去っていく。
入れ替わるように奈々子が走ってくる。
奈々子「あれ? 藤吾君。こんなところで何してるの?」
藤吾「ああ、奈々子ちゃん。なんでもないよ」
奈々子「ふーん。それよりさ、来週のうちの学園祭に来てくれるんでしょ?」
藤吾「もちろんだよ」
奈々子「やったー、うれしい! 私ね、学園祭で、ライブやるんだ! 藤吾くんにも見て欲しいんだ」
藤吾「うん。必ず、見るよ」
場面転換。
藤吾(N)「ふふ。俺は彼女も出来て、まさしく順風満帆だ。今日はその彼女の学校の学園祭。それに参加できるのは姉妹校である、俺の学校の生徒だけだ」
場面転換。
藤吾が歩いている。
周りが学園祭で賑わっている。
藤吾「へー。奈々子ちゃんの学園祭は気合入ってるな。さてと、奈々子ちゃんのライブ会場は……と」
警備員「おい、君!」
藤吾「はい? なんですか?」
警備員「学校には学生以外入れないんだぞ」
藤吾「……は? 俺、学生ですけど」
警備員「嘘を付くな! 制服なんか、どこで手に入れたんだ!」
藤吾「いや、信じてくれ! 俺は本当に学生なんだー!」
藤吾(N)「撤回したい発言が2つある。まず、制服は万能じゃなかった。俺は本当に学生なのに、制服を着ていても信じて貰えなかった。もう一つは……俺はずっと、この老け顔が嫌だった」
終わり。