■概要
人数:3人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
蓮(れん)
茉奈(まな)
その他
■台本
猛吹雪の音。
そんな中、ザクザクと雪を掘る音がする。
蓮「よし、できた。茉奈ちゃん、中に入って」
茉奈「ありがとう、蓮くん」
場面転換。
かまくら内。外はいまだに吹雪の音。
蓮「吹雪……ひどくなってきたね」
茉奈「蓮くん、かまくら作ってくれて、ありがとう。……温かいね」
蓮「うん。前にテレビでやってたんだ。遭難した時は、とにかく雪から逃げるために洞窟を探すか、かまくらを作った方がいいってさ」
茉奈「そっか。蓮くん、すごいね」
蓮「大したことないよ。それに……茉奈ちゃんがいるから、頑張れるんだ」
茉奈「……え?」
蓮「う、ううん。なんでもない。それより、救助は来てくれるかな?」
茉奈「お父さんとお母さんが、警察に連絡してくれたから、きっと、すぐ来てくれるよ」
蓮「山の中だから、見つけてくれるまで時間がかかるかも……」
茉奈「そっか……。あ、でも、ほら、ヘリコプターで探してくれれば、すぐだよ」
蓮「……うん、そうだね。落ち込むことばっかり言ってても、ダメだよね」
茉奈「そうだよ。蓮くんはいっつも元気でいてくれないと」
蓮「そうだね。それが僕の取り柄だもんね」
グーっと連と茉奈のお腹が鳴る。
茉奈「お、お腹減ったね。何か食べようか? たくさん、お菓子、持ってきてるよ」
蓮「ありがとう。僕はジュースをいっぱい持ってきたよ」
茉奈「どれから食べる?」
ガサガサとリュックを漁る音。
蓮「へー、ホントにたくさんあるね」
茉奈「うん。今日の為に用意してきたんだ」
蓮「ありがとう、茉奈ちゃん。これだけあれば、一か月はもつよ」
茉奈「ホント? よかった」
蓮「それじゃ、飲み物飲みながら食べようか……って、うわ、凍ってる……」
茉奈「そっか。そうだよね。暖かいのにすればよかったね」
蓮「うん。失敗したなぁ」
茉奈「でも、ほら、お菓子食べよ、お菓子」
蓮「うん」
場面転換。
吹雪の音が外から聞こえてくる。
蓮「もし……このまま、誰にも見つからなかったらどうなるんだろね」
茉奈「そんな……蓮くん、私、怖い」
蓮「大丈夫。茉奈ちゃんは僕が絶対に守るよ。どんなことがあってもね」
茉奈「蓮くん……」
蓮「……実は言うとさ、こうやって遭難して、よかったって思ってるんだ」
茉奈「え? どうして?」
蓮「だってさ、ここなら茉奈ちゃんと二人っきりでいれるでしょ?」
茉奈「蓮くん……。私も、蓮くんと一緒にいられて嬉しいよ」
蓮「このまま誰にも見つからず、例え、ここで死ぬことになっても、茉奈ちゃんの傍からは離れない」
茉奈「蓮くん……私も」
蓮「ねえ、茉奈ちゃん……。もし、もしも、助かったら……」
茉奈「なに……?」
蓮「ぼ、僕と……」
茉奈「うん……」
蓮「けっこ……」
母親「ほら、蓮! 雪が酷くなってきてるから、家入りなさい! あ、茉奈ちゃん、夕ご飯用意してるから食べていくでしょ?」
茉奈「あ、はい。いただきます」
母親「今日は寒いから鍋よ」
蓮「もう! お母さーん! 今、いいところだったのにぃー!」
母親「はいはい。遭難ごっこは明日またやんなさい」
蓮「はあ……。もう、台無しだよ……」
終わり。