■概要
人数:2人
時間:5分程度
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、恋愛
■キャスト
三咲(みさき)
拓弥(たくや)
■台本
三咲(N)「厳しい冬が終わり、暖かさと共に新しい命が芽吹く季節。それをなぞらえ、恋人ができることを春と呼ぶ」
場面転換。
筋トレ(腕立て)している拓弥。
拓弥「91……92……」
三咲「拓弥―、いる? ……って、なにしてるの?」
拓弥「95……。なにって、筋トレだ」
三咲「筋トレ? あんた、部活でも始めたの?」
拓弥「いや、そんなことはない。……100っと。ふう。しんどいな。それより、三咲、なんのようだ?」
三咲「ああ、そうそう。クッキー焼いたんだけど、食べる?」
拓弥「クッキーか……」
三咲「え? あんた、クッキー好きだったでしょ?」
拓弥「いや、糖質が多そうだなっと」
三咲「糖質? 何言ってんの?」
拓弥「俺、今、ダイエットしてるのだ」
三咲「ダイエットぉ? なんで? 別に太ってないでしょ」
拓弥「ダイエットっていうより、体を絞ってるって感じだな」
三咲「じゃあ、さっきの筋トレも?」
拓弥「ああ、そうだ」
三咲「なんで、そんなことしてるの? 部活入ったわけじゃないのに」
拓弥「三咲。俺達も、もう高校生だ」
三咲「う、うん。そうだね」
拓弥「高校生と言えばなんだ?」
三咲「へ? え、えーっと。なんだろ? JK?」
拓弥「高校生と言えば、青春だ! そして、青春と言えば、恋だ!」
三咲「あー、まあ、そうだね。あんたから恋って言葉が出てきたことに、驚くけど」
拓弥「俺は、この高校生活というのを充実させたい! 後悔したくない! だから、俺は恋人を作る!」
三咲「うーん。恋だけが高校生活じゃないと思うけどね。あと、学生の本分は勉強だよ?」
拓弥「では、恋人を作るためにはどうするか! それは、自分を磨くことだ!」
三咲「おっと、見事にスルーしたわね」
拓弥「それで、俺は3ヶ月前から、色々と頑張っているのだ!」
三咲「色々?」
拓弥「ああ。まずは筋トレだ! 見ろ!」
バッと服をめくる。
三咲「きゃあ! 急に服をめくらないでよ」
拓弥「うっすらだが、腹筋が割れて来た」
三咲「あ、ホントだ……。すごいね。触ってもいい?」
拓弥「はっはっは。構わんぞ!」
三咲「うわ、ホントに固い」
拓弥「まあ、筋肉をつければモテるわけではないが、自分磨きにはなるな。そして、毎日2時間の勉強と、スポーツの練習をしている!」
三咲「勉強はわかるけど、スポーツの練習って?」
拓弥「ほら、体育の授業で活躍すると、女子から騒がれるものだろう? だからだ」
三咲「本当に不純な動機だね」
拓弥「不純? なにをいう! 俺は純粋にモテたいだけだ!」
三咲「……」
拓弥「あとは、印象を良くしたから、ファッションの勉強もしようと思う。なので、ファッション雑誌を買うから、金を貸してくれ」
三咲「私の、あんたへの印象は最悪だけどね」
拓弥「ううむ……。一概にモテるといっても、様々な要素が複雑に絡み合っているな。難しい物だな、恋というやつは」
三咲「うん……。恋ってすごく難しいと思う」
拓弥「まったく……これでは、俺を好きになってくれる人が現れるのはいつになることやら。俺の春はいつ来るというのだ。こんなことでは俺の青春は終わってしまうぞ!」
三咲「……」
三咲(N)「あんたの春はもう来てるんだけどね。……私の方の春はまだまだ先になりそうだなぁ……」
終わり。