■概要
人数:4人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
恭太(きょうた)
真吾(しんご)
万桜(まお)
拓弥(たくや)
■台本
恭太「ストーカーって最悪だよな」
真吾「……お前だって、ストーカー予備軍じゃねーか」
恭太「は? 何言ってんだよ! 俺はファン! 純粋なファンだよ!」
真吾「一般人のファンって……。俺には違いがわからん」
恭太「あのなぁ。ストーカーは自分勝手なんだよ! 自分が良ければそれでいい、そんな考えだ。相手のことなんて、全く考えてない! けど、俺は違う! 万桜ちゃんが幸せなら、俺が不幸でもいい。そういう覚悟を持ってるんだ!」
真吾「はいはい。わかったわかった。お前はスゴイよ」
恭太「だろ? きっとさ、俺くらい、万桜(まお)ちゃんを思ってる人間はいなよ。万桜ちゃんの親よりも思ってる自信あるね」
真吾「頼むから、そういうことは思ってても口にするなよ。怖いから」
恭太「何を言ってるんだ! 思いを口にしてこそ、本物なんだぞ」
真吾「頼むから捕まらないでくれよ。もし、インタビューとかされたら、ああー、いつかやると思ってました、とか言わなくちゃならなくなるからさ」
恭太「心配するな。法に触れるようなことはしない。……っと、いけない。そろそろ、万桜ちゃんの学校が終わって、スタジオに向かう時間だ」
真吾「おっかけか?」
恭太「違う! スタジオまで向かう中で、何かあったら困るだろ。あくまで見守るの。見守るだけ!」
真吾「……はあ。はいはい。行ってらっしゃい。絶対に見つかるなよ」
恭太「おう!」
場面転換。
万桜が歩いている。
万桜「(鼻歌)~♪」
恭太「うん。今日も万桜ちゃんは可愛い……じゃなくて、無事にスタジオに到着できそうだな。……って、ん?」
万桜が立ち止まる。
万桜「やっほー、拓弥、お待たせ―」
拓弥「おう。って、ホントにいいのか? 今日、レッスンじゃねーの?」
万桜「いいのいいの。具合悪いって連絡したから」
拓弥「ふーん。じゃあ、とりあえず、カラオケでも行くか」
万桜「行く行く!」
拓弥「そういやさー、最近、変な手紙とか電話が来るんだよなー」
万桜「えー、なにそれ。こわーい!」
恭太「……なんだ、あいつは?」
場面転換
真吾「いや、やり過ぎだって」
恭太「何言ってんだよ! あの男は絶対に女遊びをしてる。そういう顔をしてる! だから、きっと、万桜ちゃんのことも使い捨てにするつもりなんだ」
真吾「そりゃ、わかんないだろ。本人は本気かもしれんし」
恭太「いや。万桜ちゃんは今、本当に大事な時期なんだ。ようやくデビューも見えてきたんだぞ。そんな時期にレッスンをサボらせるなんて、万桜ちゃんのこと、思ってない証拠だろ」
真吾「……うーん」
恭太「とにかく、俺は万桜ちゃんのためにも、あいつと別れさせる!」
場面転換。
恭太「おい!」
万桜「きゃあ! な、なに?」
恭太「なんで、あいつと別れない? あれだけ、忠告の手紙を出したのに!」
万桜「……あれは、あんたが? ちょっと! どういうつもり!」
恭太「え? な、なにが?」
万桜「誰に頼まれたの? 言いなさい!」
恭太「い、いや、誰にも頼まれてなんか……」
万桜「嘘言わないで! 私と同じことして、なんの嫌がらせよ!」
恭太「お、俺は万桜ちゃんのことを思って……」
万桜「いい!? 依頼主にハッキリ言っておいて! 拓弥は私のものなの! 手を出さないで!」
恭太「ど、どうしても別れないっていうんだな?」
万桜「当たり前でしょ!」
恭太「こうなったら、強引にでも……」
拓弥「お巡りさん、この人です!」
恭太「え?」
万桜「拓弥! 私を助けにきてくれたんだね!」
恭太「くそ、ここで捕まってたまるか!」
拓弥「この、万桜って人が俺のストーカーです!」
万桜「え?」
恭太「え?」
拓弥「万桜。お前だったんだな。俺と話した女に嫌がらせの電話をしたり、俺の行動を監視したり、勝手に俺に彼女がいるなんて噂流したり……」
万桜「違うの! 私は拓弥のことを思って……。拓弥は今はモデルとして大事な時期なんだよ! だから、変な女に引っかかってほしくなくて……」
拓弥「うるさい! そういうのをストーカーって言うんだ!」
恭太「え? え? え?」
場面転換。
レポーター「友人のSさんに話を聞いてみました。……今回、ストーカーのストーカーとして逮捕されたKさんですが、どう思われますか?」
真吾「……いつかやるなって思ってました」
終わり。