■概要
人数:1人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代ファンタジー、シリアス
■キャスト
アリス
■台本
アリス「いらっしゃいませ。アリスの不思議な館へようこそ」
アリス「おや? 随分と顔色が悪いですね。どうかしたんですか?」
アリス「……なるほど。二日酔いは辛いですよね」
アリス「……え? ウコンを大量に飲んだから大丈夫、ですか?
アリス「いけませんね。ウコンは大量に飲むと、消化管障害を起こす可能性あるのですよ」
アリス「薬でも、大量に飲めば毒になったりするのです」
アリス「逆に、毒でも使い方によっては、薬になることもあるのですよ」
アリス「トリカブトという植物を知っていますか?」
アリス「トリカブトの葉は毒なのですが、根は漢方薬になるそうです」
アリス「……そうですね。今回はある、男のお話をしましょう」
アリス「それは戦国の世の世界。その男は、ある少数民族の平和の村で生まれたそうです」
アリス「ですが、戦いが続く世界ではその村も戦火を避けることはできませんでした」
アリス「ある部族に攻められ、その村の人たちは滅ぼされたそうです」
アリス「そんな中、何とか身をひそめることで生き延びることができた男は、ある国の兵士に拾われたそうです」
アリス「男は村を滅ぼした部族を恨み、自分の手で村の人たちの仇を取ろうと決意しました」
アリス「男の祖先は、元々、狩猟民族だったこともあって、男の身体能力は周りの人間を遥かに超えていたそうです」
アリス「自分を拾ってくれ、戦いを教えてくれた恩もあり、男はその国の軍に入り、戦果を挙げていきました」
アリス「なんでも、たった一人で、千人の兵士を打ち破ったそうです」
アリス「その勇猛さは並ぶものがいないと噂され、その男が住む国の領土は物凄い勢いで広がっていきました」
アリス「それでも、その国の王は満足することはなく、その男を敵国へ送り、戦わせ続けたのです」
アリス「大陸の統一を目前に控え、最後まで抵抗していた、ある小国を攻略するべく、その男を派遣します」
アリス「その国の王は、最後まで抵抗した小国に対し、腹を立てていたのでしょう」
アリス「その男に対して、その小国の全ての人間を滅ぼせと命令しました」
アリス「抵抗を続けていた国の人間を生かしておけば、必ず反乱を起こさせると。だから、完全に叩き伏せなければならないと、男を説得したそうです」
アリス「……その結果、どうなったと思いますか?」
アリス「……ええ。そうです。その国の王はその男の手によって葬りさられ、その国は崩壊しました」
アリス「……確かに、その男は勇猛で、国に大きな利益をもたらせました」
アリス「ですが、その男に、小国の全ての人間を始末しろと命令したことで、その男のトラウマを呼び起こしてしまいました……」
アリス「その結果、その国は亡ぶこととなってしまったのです」
アリス「どうでしょうか? 今回は、どんなに優れたものでも、使い方によっては毒にも薬にもなるというお話でした」
アリス「……ふふ。少し大げさな話になってしまいましたかね?」
アリス「ですが、あなたも、体に良い物だからといって、大量に摂取するなんてことはさけてくださいね」
アリス「今回のお話はこれで終わりです」
アリス「それではまたのお越しをお待ちしております」
終わり。