■概要
人数：3人
時間：5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
和弥（かずや）
京子（きょうこ）
隆志（たかし）
■台本
和弥（Ｎ）「意地悪。好きな子に意地悪をするっていうのは、誰でも一回はやることだと思う。……その気持ちは俺もわかる。
なぜなら、俺も……そうだからだ。だから、つい、好きな女の子には……意地悪をしてしまう……」
場面転換。
和弥「やーい！ ここだよここ！」
京子「ちょっと、和弥、やめてよ！」
和弥「あははは！ 返してほしかったら、ここまでおいで！」
京子「やめてってば！」
和弥「あはははははは」
京子「やめろって……」
ダダダダっと走り出す京子。
和弥「へ？」
京子「いってんだろうがー！」
京子が和弥の顔面に蹴りを入れる。
和弥「ぐえーーー！」
和弥が吹き飛ぶ。
場面転換。
廊下を歩く和弥と隆志。
和弥「……はあ」
隆志「どうしたの？ 和弥くん、最近、元気ないね」
和弥「いや、まあ……」
隆志「そういえば、最近、京子ちゃんに意地悪しなくなったね。なんかあったの？」
和弥「うーん。……なんていうか、最近、あいつ、隙がないんだよ。意地悪しようと思っても、なかなかできないって言うか……」
隆志「ふーん」
立ち止まる和弥と隆志。
和弥「あれ？」
隆志「どうしたの？」
和弥「靴がない」
隆志「え？ うそ。なんで？」
和弥「俺が知りたいよ。朝、下駄箱に入れたのは間違いないんだけどなぁ」
隆志「あ、見て！ あそこ。あの靴、和弥くんのじゃない？」
和弥「ホントだ！ なんで、あんなところに……あっ！」
京子「べー！」
隆志「京子ちゃんだ。じゃあ、京子ちゃんが和弥くんの靴をあそこに置いたのかな？」
和弥「そうかもな……」
隆志「よかったね！」
和弥「え？ なんで？」
隆志「きっと、京子ちゃん、和弥くんのこと好きなんだよ」
和弥「へ？」
隆志「だって、ほら、気になる子には、ついつい、意地悪したくなるでしょ？」
和弥「あ、そっか。そうだよな」
隆志「うん、絶対、そうだよ」
和弥（Ｎ）「確かに、それからは京子はなにかと、俺に対して、ちょっかいをかけてくるようになった」
場面転換。
京子「ねえ、和弥。あんた、この前のテスト何点だったの？」
和弥「え？ ６３点だけど」
京子「勝ったー。私、７０点！」
和弥「……」
京子「あんたには絶対、負けないから」
場面転換。
京子「ねえ、さっき、測った１００メートル走、何秒だった？」
和弥「な、なんでだよ？」
京子「女子も、次、１００メートル走、やるの。絶対、あんたに勝つから、教えなさいよ」
和弥「……」
場面転換。
バンとボールが当たる音。
和弥「いって！」
京子「はい、和弥、アウト。さっさと外野に出なさいよ」
和弥「京子、お前、俺ばっか狙ってるだろ！？」
京子「別にルール違反じゃないでしょ！ さっさと外野に行きなさいよ」
和弥「……」
場面転換。
和弥「お、おい！ カバン返せって！」
京子「返してほしかったら、追いついてみさないよ」
和弥「ちょっと待てって！」
京子「あはははは。バーカ！」
場面転換。
隆志「間違いないよ」
和弥「……やっぱりか？」
隆志「うん。あれは普通じゃないよ。気になってないと、あそこまでしないって」
和弥「へへ……。やっぱ、そうだよな」
隆志「よし！ じゃあ、僕が聞いてあげるよ。和弥くんは隠れて聞いててね」
和弥「お、おう……」
場面転換。
隆志「やあ、京子ちゃん、今、大丈夫？」
京子「ああ、隆志くん、どうしたの？」
隆志「あのさ……。京子ちゃんって、今、気になってる男の子、いない？」
京子「え？ う、うん……いるよ」
隆志「やっぱり」
京子「……バレちゃってたかな」
隆志「あそこまで露骨だとね」
京子「……うう。恥ずかしいなぁ」
隆志「念のため、聞くけど、和弥くん、だよね？」
京子「うん……」
隆志「それって、好……」
京子「大っ嫌いなの……」
隆志「え？」
京子「だから、あいつにだけは、絶対に負けたくないんだ。あいつを泣かすためなら、私、どんなことだってやるよ！」
隆志「……」
京子「そうだ！ 隆志くん、あいつと仲いいでしょ？ あいつが嫌がるようなことあったら、教えてね！」
隆志「あ、う、うん……」
和弥「……」
和弥（Ｎ）「意地悪。好きな子に意地悪をするっていうのは、誰でも一回はやることだと思う。俺も、もちろんやったことがある。……でも、嫌いな人にも意地悪をすることもあるんだよなぁ……」
終わり。