■概要
人数:2人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
子供
父親
■台本
リビング。
子供が走って来る。
子供「ねえ、お父さん。宿題の、この問題がわからないから教えて」
父親「んー? 宿題? なんの教科だ?」
子供「国語―」
父親「国語か。お父さんは算数の方が得意なんだけど……まあ、いいか。いくらなんでも小学生の問題が解けないわけないからな。どれどれ、どの問題だ?」
子供「これー」
父親「ふむふむ。えーと……。小学生のAくんはある日、お母さんから、全部の果物が百円のセールがあるので、スーパーに買い物を頼まれました。Aくんはお母さんから1万円を受け取って、隣町の坂木商店へ向かいました……。いやあ、小学生に1万はもたせすぎだろ」
子供「そうなの?」
父親「お母さんから1万円渡されたこと、あるか?」
子供「ううん。1000円までかな」
父親「だろ? てか、1万って、どれだけ買わせる気だよ。しかも隣町だと? これは親としてダメだろ」
子供「お父さんなら、一緒に来てくれる?」
父親「当たり前だろ。というか、車で送ってやるよ」
子供「わーい、ありがとー」
父親「ふふ。……っと、いけないいけない。問題は、と。Aくんはお母さんから受け取ったメモを見ます。すると、じゃがいも、ニンジン、たまねぎ、鶏肉と書いてありました。あー、これは晩飯、カレーだな」
子供「シチューかもしれないよ?」
父親「父さんはカレーの方がいいな。……で、なになに? にんじんは1本、40円で……おお安いな! ……3本と書いていました。んー。にんじん、3本は入れ過ぎだろ」
子供「僕はニンジン好きだよ」
父親「いや、いくら好きでも3本は入れ過ぎだって。……それから、たまねぎは1袋って書いてありましたが、バラでしか売ってませんでした」
子供「……どうしよう?」
父親「んー。大体、1袋、3つくらい入ってるから、3つ買えばいいんじゃないか?」
子供「そっかー」
父親「そこでAくんは110円のたまねぎを2つカゴに入れました。あー、惜しいな。3つだよ、3つ」
子供「Aくん、怒られるかな?」
父親「まあ、このくらいは大目に見てくれるだろ。たまねぎ、あんまり好きじゃないし」
子供「よかったー」
父親「えーっと、ちょっと、問題文が長いな。ここで一旦、整理するか。まず、最初にAくんはお母さんから1万円をもらってる」
子供「うん」
父親「そこから、40円のにんじんを3本、110円のたまねぎを2つカゴに入れた、と。ここまででいくらかかるか、わかるか?」
子供「えーっと……340円!」
父親「よーし、よし、いいぞ。じゃあ、次の行だ。えーっと、次に鶏肉を買おうと思い、お肉コーナーに行くと、560円のパックに、2割引きのシールが貼ってました。……2割引き? 2割引き!? いやいや、小学生の問題にやり過ぎだろー」
子供「2割引きって、どうやるの?」
父親「0.8をかけるんだけど、これは難しいから、父さんがやってやる。えーっと、448円だな」
子供「448円……」
父親「ここまでで、全部でいくらだ?」
子供「えーっと、340円に448円だから、788円?」
父親「おお、凄いな。よし、じゃあ、最後はじゃがいもだ。……Aくんがメモを見ると、じゃがいもも1袋と書いてありましたが、やっぱり、バラでしか売ってませんでした。……って、おい! この店、やる気なさすぎだろ!」
子供「そうなの?」
父親「バラしかないって、なかなかないぞ。逆に袋しかない場合の方が多いくらいだ」
子供「ふーん……」
父親「……まあ、いいか。えーと、Aくんは60円のじゃがいもを適当にカゴに入れました。……いや、適当って……」
子供「5個とかかな?」
父親「Aくんはお会計を済ませると、お釣りは8852円でした……。ええー! おいおいおいおい! 連立方程式かよー!」
子供「れんりつほうていしき?」
父親「こうやって、わからない値があって、お釣りから、じゃがいもを何個買ったかを計算する方法だ」
子供「へー、そんなことできるんだ?」
父親「いやあ、連立方程式なんて久しぶりだな。えーと、にんじん、たまねぎ、鶏肉の合計が788円で、これに60Xを足した値が、Y、と。で、10000万からYをひくと、8852、と。で、Yの値が1148とわかる……。これを上の式に当てはめて……」
子供「お父さん、何書いてるか、わかんない……」
父親「で、こことここを消去させて……。わかった! 6個だ!」
子供「6こ? なにが?」
父親「じゃがいもの数だよ。Aくんは6個買ったんだよ」
子供「お父さん、すごーい!」
父親「へへへ。まあ、これくらい、余裕だよ余裕。……で、ここに6と書けば……って、あれ? ここで問題です? りんごは1個、何円でしょうか?」
子供「……」
父親「……わかるかーーーー!」
終わり。