■概要
人数:2人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
武尊(たける)
さくら
■台本
武尊(N)「世紀末。2000年になる前にノストラダムスの大予言が大いに流行った。その頃の俺はまだ学生で、若かったこともあり、その予言に胸が躍り、どこかお祭り騒ぎのような感覚に囚われていた」
場面転換。
さくら「ねえ、武尊。明日、テストなのに遊んでて大丈夫なの?」
武尊「ああ。全く問題ない」
さくら「え? あんた、随分と余裕ね。勉強してたの?」
武尊「チッチッチ。甘いな、さくら。テスト自体が意味のないってことだ」
さくら「は? どういうこと?」
武尊「つまり、テストというか、勉強自体が関係なくなる世界になるんだからな」
さくら「……なに? また、ラノベの話? 現実とごっちゃにするとか、末期ね」
武尊「違うって。お前、知らないのか? ノストラダムスの大予言」
さくら「ああー。なんか、今、話題になってるわね」
武尊「世界は終末に向かうんだぞ。勉強なんてやってる場合じゃないだろ」
さくら「……世界の終末よりも、あんたの終末の方が早く訪れそうね」
武尊「よーし! 遊ぶぞー!」
場面転換。
武尊「うおーーー! なんでだー! もう2000年なんですけど?」
さくら「まあ、こんなことだろうと思った。諦めて、冬休みは補習漬けで過ごしなさいよね」
武尊「くそーー! もう、予言なんて信じねーからな」
さくら「それがいいわよ」
場面転換。
さくら「武尊。あんた、大学の課題やってるの? 提出期限、明日よ?」
武尊「ふっふっふ。甘いな、さくら。課題なんてやる必要はないんだよ」
さくら「……なに? 進級を諦めたの?」
武尊「まあな。進級なんて些細なことを気にしている場合じゃないのさ」
さくら「……おばさんにブチ切れられるわよ」
武尊「ふふ。別に構わねーよ。てか、母さんだって、怒ってる場合じゃねーさ」
さくら「……あんた、何言ってるの?」
武尊「さくら、お前、知らないのか? マヤの人類滅亡の予言」
さくら「……あー。なんか、よくテレビでやってるわね。でも、あれって、何年か前の話じゃなかったっけ?」
武尊「いやー、それが違うんだな。あれは計算の仕方が間違ってたんだよ。新たに計算し直したら、今年が危ないらしいぞ」
さくら「……はあ。あんた、前もそんなこと言って、単位落としまくって、怒られたじゃない」
武尊「いや、今回はマジでヤバいんだって」
さくら「外れたらどうすんのよ。その時の為に、課題はやっておきなさいよ」
武尊「いやいや。だから、今回は確実だって。課題なんてやってる時間は勿体ない。お前も、今のうちに色々やっておきたいこと、やっておいた方がいいぞ」
さくら「はいはい」
場面転換。
武尊「うう……。な、なんでこんな目に……」
さくら「だから言ったじゃない。それに、この課題をやれば、卒業させてくれるっていうんだから、教授に感謝しなさいよ」
武尊「ちくしょー! もう、絶対に、予言なんて信じねーからな―!」
場面転換。
インターフォンの音と、ドアが開く音。
さくら「武尊。あんた、最近、会社、無断欠勤してるんだって? なにやってるのよ」
武尊「あ、さくらか。会社は辞めるつもりなんだ」
さくら「……なんでよ。せっかく苦労して入ったのに」
武尊「働いてる場合じゃないからだ」
さくら「……あ、まさか」
武尊「これ、見てくれ。このユーチューブチャンネルなんだけど、このチャンネルの予言、スゲー当たるんだよ。このチャンネルの言うことには、今年が世界の終わりらしいんだよ!」
さくら「……はあ。あんたの人生、終末ばっかりね」
武尊「うおー! 貯金全部使って、遊ぶぞー!」
さくら「付き合いきれないわ」
終わり。