■概要
人数:5人以上
時間:5分程度
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
レオ、拓也(たくや)
男×5
女の子×2
母親
■台本
レオ「はっ!」
ドンと炎の弾を放ち、地面が破壊される音。
男1「ひゃあああ! お、俺が悪かった! 助けてくれー」
男1が走って逃げていく。
レオ「ふう……。まったく、ガラの悪い奴もいたもんだぜ。大丈夫か?」
女の子1「あ、あの、ありがとうございました」
レオ「いや、いいさ。今度から気を付けろよ」
女の子1「あ、あの! これ、お礼……」
レオ「お礼なんていいって。ちょっと小突いただけだからさ」
女の子1「で、でも……」
レオ「困ったことがあったら、相談してくれよ」
女の子1「あ、ありがとうございます……」
場面転換。
ドラゴンの咆哮。
レオ「はああああ!」
ザシュっとドラゴンを切り裂く音。
ドラゴンの断末魔。
レオ「ふう……」
男2「おお! すげー! ドラゴンを一撃だなんて!」
男3「長年、町を脅かしていた邪竜を……。ありがとうございます。あなたは町の救世主です!」
女の子2「……素敵」
レオ「いい腕試しになりました。それじゃ、俺はこれで……」
男3「待ってください! 報奨金と素材を受け取ってください」
レオ「いえ、いいです。町は邪竜に壊されてますし、報奨金や素材は町の復興に当ててください」
男2「な、なんて、できた人なんだ……」
女の子2「あ、あの! 私と結婚していただけませんか?」
レオ「はは。ありがとう。でも、あなたみたいな素敵な人、俺なんかじゃ勿体ない。もっと良い人が現れるよ」
女の子2「……素敵だなんて」
レオ「それじゃ、これで」
颯爽と歩いて行く。
場面転換。
大勢「かんぱーい!」
ジョッキで乾杯する音。
男4「英雄の誕生だー!」
レオ「よせよ。そんなに大げさなことじゃないって」
男5「何言ってんだよ! あの邪竜だぞ? それを一撃で倒すなんて、今までなかったことだぞ」
レオ「運が良かっただけだって」
男4「ホント、お前は謙虚っていうか、できた人間だよなー」
男5「ほとんどの奴らは、自分の強さに酔って、傲慢になるんだけどな」
レオ「傲慢になるほど、強くないさ」
男4「はー。町のやつらが、お前に憧れるのも無理もないよ」
レオ「はははは。なんか照れるな」
男5「俺もお前みたいな男に生まれたかったよー」
男4「女の子にもモテモテなのに、浮いた噂もないし、ホント、勇者の手本みたいな奴だよ」
レオ「あんまり持ち上げるなよ」
そのとき、ピーンという音が鳴り響く。
レオ「あ……もう時間か」
男4「ん? なんだ? もう帰るのか?」
レオ「ああ……。現実にな」
ブンと、ログアウトする音。
※レオ=拓也
拓也「ゲームの中では、理想の姿なんだけどなぁ」
母親の声「ちょっとー。早くしないとバイト遅れるわよー」
拓也「はあ……現実は厳しいな」
終わり。