■概要
人数:1人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代ファンタジー、シリアス
■キャスト
亜梨珠(ありす)
■台本
亜梨珠「いらっしゃいませ。アリスの不思議な館へようこそ」
亜梨珠「……え? 急に謝ったりなんかして、どうしたのかしら?」
亜梨珠「……ああ。予定の時間に遅刻したことね。いいのよ。別に気にしてないわ」
亜梨珠「それより、あなたが遅れるだなんて、珍しいわね。何かあったのかしら?」
亜梨珠「……ふうん。街頭のアンケートに引っかかったってわけね」
亜梨珠「断ればいいのに、受けてしまうっていうところも、あなたらしいわね」
亜梨珠「でも、そういうアンケートから、変なところに勧誘されることもあるらしいから、気を付けた方がいいわよ」
亜梨珠「……そうそう。アンケートと言えば、こんな話があるわ」
亜梨珠「これは雑菌についての番組でのアンケートについてよ」
亜梨珠「普段、生活している中で、雑菌が異常に繁殖しているってことね」
亜梨珠「食器を洗うスポンジがあるでしょ? あれに、たくさんの雑菌がついているって話は聞いたことあると思うけれど、電子レンジにかけたり熱湯で消毒すれば大丈夫って思ってないかしら?」
亜梨珠「研究の結果、そんなことをしても、滅菌できなかったということがわかったらしいわよ」
亜梨珠「つまり、消毒したつもりのものと、何もしなかったものとで、細菌の数はあまり変わらなかったみたいなの」
亜梨珠「その細菌の数は……一週間で大便並みになるらしいわよ」
亜梨珠「……ふふ。予想通りの反応、嬉しいわ」
亜梨珠「インタビューを受けた人たちも、やっぱり、あなたと同じように、顔をしかめたらしいわよ」
亜梨珠「帰ったら、スポンジを変えようと思ったんじゃないかしら?」
亜梨珠「それにね、もう一つ、細菌の繁殖例も紹介されたの」
亜梨珠「それは……」
亜梨珠「朝の口の中よ」
亜梨珠「朝起きた時、口の中には夜中に繁殖した細菌が溢れているそうなの」
亜梨珠「夜は唾液が出ないから、口が渇いて、細菌が繁殖しやすいのね」
亜梨珠「それで、驚きなのが、朝、起きた時の口の中の最近の数は便と同じくらいだそうよ」
亜梨珠「……ふふふ。さっきより、さらに顔をしかめたわね」
亜梨珠「その気持ちは、わかるわ」
亜梨珠「やっぱり、アンケートを受けた人たちも、同じようにとても嫌そうな顔をしたらしいわね」
亜梨珠「アンケートの内容でも、起きたら歯磨きの徹底をすることや、スポンジもすぐに取りかえると回答した人が大半だったみたい」
亜梨珠「それはそうよね」
亜梨珠「でもね、一人だけ、違う反応をした人がいたの」
亜梨珠「それは小学生くらいの男の子よ」
亜梨珠「スポンジや朝の口の中が便と同じくらいの細菌がいると聞いた時、目を丸くしたの」
亜梨珠「そして、こう言ったわ」
亜梨珠「へー、便って意外と綺麗だったんだな、ってね」
亜梨珠「ふふふ。凄い発想よね」
亜梨珠「というより、凄い発想の転換だわ」
亜梨珠「台所のスポンジや朝の口の中……。その男の子の中では日常のもので、汚いと思ってなかったわけね」
亜梨珠「それと、便が同じなのだから、便の方が案外綺麗だったんだって、発想よ」
亜梨珠「……なかなかできない発想だけれど、その発想の転換の仕方は、私は素晴らしいと思ったわ」
亜梨珠「だから、あなたも視野を狭めないで、様々な視点から見ることを意識しておくといいわよ」
亜梨珠「ふふっ。今日はこれで、お話は終わりね」
亜梨珠「……え? 今日は、話が短い?」
亜梨珠「あら、そうかしら?」
亜梨珠「別に、あなたが遅刻したから、その分、短くした……というわけではないわ」
亜梨珠「これはただの偶然よ」
亜梨珠「一点の視点から見ると、ね」
亜梨珠「ふふふ。返って混乱させてしまったかしら?」
亜梨珠「それでは今日はこれで終わりよ」
亜梨珠「また来てね。さよなら」
終わり。