鍵谷シナリオブログ

スクープ

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■概要
人数:5人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス

■キャスト
高倉(たかくら)
響子(きょうこ)
編集長
アナウンサー
コメンテータ

■台本

テレビのニュース。

アナウンサー「大臣に隠し子が3人いた問題で、総理は大臣の更迭を決めましたね」

コメンテータ「驚きましたね。この時期に、こんなスキャンダルが見つかるなんて。知ってますか? このスキャンダル、またも、噂の記者が書いたって話です」

アナウンサー「ええ。数々のスキャンダルをすっぱ抜いた記者は、名前だけしか公開されていませんが、ある意味、有名ですよね」

ピッとテレビを消す。

編集長「……というわけで、高倉が、またも大手柄だ」

数人の拍手の音。

編集長「みんなも、高倉を見習って、頑張ってくれ。じゃあ、高倉。お前から、みんなに一言頼む。……高倉?」

記者「……外に出てます」

編集長「はあ……。いつもいないな。本当にあいつが存在するのか、我が社でも都市伝説だよ」

一同がドッと笑う。

場面転換。

喫茶店。

コーヒーをすする高倉。

高倉「……ふう。上手い」

カランカランとドアの鈴が鳴り、ドアが開く。

響子が歩いて来る。

響子「高倉さん、お待たせしました」

高倉「悪いな、響子。急に呼び出して」

響子が椅子に座る。

響子「いえいえ。高倉さんの急な呼び出しはいつものことですから。……あ、私もコーヒーで」

高倉「どうだ? いいネタ追えてるか?」

響子「そんなネタあったら、来ませんよ」

高倉「まあ、そりゃ、そうだな」

響子「そういえば、大臣の記事、見ましたよ。総理も動きましたね」

高倉「あれだけ、大騒ぎになればな。……これで、大臣に食い物にされてたやつらも、少しは溜飲が下がるだろう」

響子「それで、今回は、どんな大物を狙ってるんですか?」

高倉「今回はモデルの男だ。無名のな」

響子「……地味ですね。そんなんじゃ、売れませんよ」

高倉「いいんだよ。今回ので、会社には大分稼いだだろうからな。元々、売り上げさえ担保できれば、自由にやらせてくれるって約束だ」

響子「……で、私を呼んだ理由はなんですか? その男にハニートラップでもしかけます?」

高倉「……響子」

響子「あー。ごめんなさい。冗談でも、もう言いません」

高倉「その男は大分、派手にやってるみたいでな。女をたらし込んでは、風俗に送り込んでるみたいだ」

響子「……高倉さんが一番嫌いなタイプですね」

高倉「カップルじゃないと入りづらいところもあるからな」

響子「なるほど。それで、私を恋人役として呼んだと?」

高倉「嫌なら帰ってもらって構わない」

響子「いえいえ。受けますよ。というか、光栄です。恋人相手に選んでくれて」

高倉「……嫌味か? 女の知り合いはお前しかいないって、知ってるだろ?」

響子「でも、新聞社の同僚とか、会社で探せばいくらでもいるんじゃないんですか?」

高倉「……そんなやつらじゃ、雰囲気でバレる」

響子「……ふふふ」

高倉「なんだ?」

響子「いや、光栄だなって思いまして」

高倉「?」

場面転換。

クラブ内。店内は賑わっていて、BGMが流れている。

響子「はい。飲み物。アルコール抜きでいいのよね?」

高倉「ああ、ありがとう」

ここからお互い、小声で。

響子「で、どうです?」

高倉「今のところ、動きはないな」

響子「……辛そうですけど、大丈夫です?」

高倉「こういう場所は、性に合わん」

響子「意外ですね。学生の頃は、こういうところに入り浸ってたって聞きましたけど」

高倉「情報を集めるために来てただけだ。好き好んできてたわけじゃないさ」

響子「……学生の頃から、そんなことしてたんですか?」

小声はここまで。

響子「そろそろ、踊ろう?」

高倉「お、おい!」

響子「こういう場所は、楽しむべきよ」

場面転換。

車内。

高倉「……」

響子「……真っ直ぐ、家に帰りましたね。特に女の子を誘うこともしてなかったようですし」

高倉「たまたま、好みの女がいなかっただけかもしれん」

響子「記者は忍耐が大事。……ですよね?」

高倉「ああ」

響子「あ、電気、消えました。疲れて、寝たみたいですね」

高倉「ありがとう。響子は帰っていいぞ。また明日、頼む」

響子「高倉さんはどうするんですか?」

高倉「このまま車で見張ってるよ」

響子「ダメですよ。長丁場になるんですから。車で一晩なんて、疲れが残りますよ」

高倉「……そう言われてもな」

響子「それに、シャワー浴びて、髭を剃らないと、目立ちますよ」

高倉「……んー」

響子「ってことで、一緒にあそこに泊まりましょう。あそこからなら、アパートも見えますし」

高倉「ばっ! おまっ! マズいだろ!」

響子「……高倉さん。ラブホじゃなくて、その隣のビジネスホテルです」

高倉「……」

響子「……一緒の部屋にします?」

高倉「怒るぞ」

場面転換。

レストラン。

響子「なかなか尻尾を出しませんね」

高倉「……若いやつにしては珍しく、慎重だな」

響子「……いつも一緒にいるのは同じ女の人ですしね」

高倉「……ふむ。これは本当に長丁場になりそうだな。響子には迷惑をかけるな」

響子「いえいえ。逆に役得ですよ」

高倉「役得?」

響子「ちゃんと日給出ますし、こうやって、高倉さんとレストランデートできますし」

高倉「……デートじゃない。取材だ」

響子「……高倉さんって、恋人いないんですか?」

高倉「いると思うか?」

響子「じゃあ、この際、私と付き合いませんか?」

高倉「……一人前じゃないやつとは付き合えん」

響子「一人前……ですか?」

高倉「なにか、大きなスキャンダルを出すことだな」

響子「じゃあ、大きなスキャンダルをゲットしたら、一人前って認めてくれるんですね?」

高倉「ああ」

響子「わかりました。約束ですからね。付き合ってくださいよ」

高倉「ああ……」

場面転換。

喫茶店。

響子「……ガセネタだったみたいですね」

高倉「まあ、こういうこともあるさ。おそらく、フラれた女が、そういう噂を流したんだろう」

響子「……あり得そうですね」

高倉「なんにしても、協力、ありがとう。また何かあったら頼むよ」

響子「ええ。じゃあ、近いうちに」

響子が行ってしまう。

高倉「……?」

場面転換。

テレビのニュース。

アナウンサー「驚きましたね。あの例のスクープを量産している記者の女性関連のスクープが出てきましたね」

コメンテータ「加工されていますが、音声と写真が出ましたからね。はは。噂だけの謎の記者でしたが、まさか、自分がスクープされる側になるとは思わなかったでしょうね。巷ではちょっとした話題ですよ」

プツっと、テレビを切る音。

編集長「あー、もう! どうせなら、ウチから出せばよかったのに! なんで、他社からすっぱ抜かれるんだよ! 高倉! ……って、高倉はどうした?」

記者「……外に出てます」

場面転換。

喫茶店。

高倉「……」

響子「スクープ、取りましたよ。約束、守ってくださいね」

高倉「……はあ」

終わり。

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