鍵谷シナリオブログ

友達のままで

〈前の10枚シナリオへ〉   〈次の10枚シナリオへ〉

〈声劇用の台本一覧へ〉

■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
香耶(かや)
雅哉(まさや)
美幸(みゆき)
美樹(みき)
教師
男子生徒1~2
女生徒
不良

■台本

香耶「ごめん、雅哉くん。友達のままでいてほしいの」

雅哉「ガーン! ちきしょー! 俺が良い男になっても、ハーレムには入れてやらないからな―! うおおおおお!」

雅哉が泣きながら走って行く。

香耶「うーん。捨て台詞としては最低なんだよなぁ。雅哉くん、そういうところだよ」

場面転換。

教室内。

雅哉「ふはははははっ! 今日の体育は俺に任せるがいい! 俺がハットトリック決めてやるぜ」

男子生徒「体育はソフトボールだから」

ドッと笑いで包まれる。

美幸「ねえ、香耶。雅哉くん、ホントに昨日、あんたにフラれたんだよね?」

香耶「いや、友達のままでいようって言っただけだよ」

美幸「それ、フッたと同じだから」

香耶「……」

美幸「にしても、いつもと変わらず、明るいわね、雅哉くん」

香耶「3組の香田さんにフラれたときも、同じだったよね」

美幸「フラれ慣れてるのかな? けど、まあ、その方が断りやすいよね」

香耶「……まあ、ね」

美幸「後悔してる?」

香耶「は? んなわけないでしょ。あんな馬鹿でお調子者!」

美幸「……」

香耶「それにOKできるわけないでしょ」

美幸「……まあ、そうなんだけどさ」

また、クラス中で笑い声が響く。

場面転換。

学校入り口。

ザーッと雨が降っている。

香耶「やっば! 傘忘れた。どうしよう」

雅哉「ほい!」

香耶「え? これって……?」

雅哉「傘」

香耶「それは見ればわかるけど」

雅哉「貸してやるよ」

香耶「なんで?」

雅哉「なんでって、傘、忘れたんだろ?」

香耶「そうじゃなくて。……私、雅哉くんのこと、フッたんだよ?」

雅哉「ん? それが、傘忘れたことに関係あるのか?」

香耶「いや、ないけど」

雅哉「だろ? じゃあ、明日、ロッカーのとこに入れておいてくれればいいから。じゃあな」

香耶「ちょ、ちょっと! あんた、傘は?」

雅哉「ん? お前に貸したじゃん」

香耶「……濡れるよ?」

雅哉「知ってるよ」

香耶「……一緒に入ってく? 傘」

雅哉「おまっ! そんなことしたら、もう一回、告白しちまうだろうが!」

香耶「いや、それはちょっと」

雅哉「だろ? じゃあな!」

雅哉が雨の中、走っていく。

香耶「あっ! ちょっ! ……もう」

場面転換。

教室内。

女生徒1「……あっ!」

香耶「どうしたの?」

女生徒1「数2の教科書、忘れちゃった」

香耶「ええっ! どうすんの? 田岡、めっちゃキレるよ」

女生徒1「どうしよう……」

香耶「具合悪いって言って、保健室行けば?」

女生徒1「でも……」

香耶「田岡に怒れるよりはマシだって」

トンと机に教科書が置かれる。

女生徒1「え? これって……」

雅哉「数2の教科書。貸してやるよ」

香耶「いや、貸すって、あんたはどうするのよ?」

雅哉「国語の教科書で乗り切る!」

香耶「乗り切れるわけないでしょ!」

雅哉「どうせ、書いてる内容なんてわかんねーし。俺が使うより、貸した方が有意義だろ」

女生徒1「あ、ありがとう」

雅哉「その代わり……」

香耶「付き合ってっていうのは反則だよ」

雅哉「うっ! わ、わかってるよ!」

スタスタと歩き去っていく雅哉。

場面転換。

授業中。

教師「……おい、雅哉。それ、なんだ?」

雅哉「教科書です!」

教師「……なんの教科の教科書だ?」

雅哉「え? ……あっ! 国語だ!」

教師「今まで気づかなかったのか?」

雅哉「いやあ。おかしいと思ったんですよ。何ページのことやってるのかなーって」

教室内がドッと笑いに包まれる。

教師「……廊下に立ってろ!」

雅哉「いいんですか!? いやー。令和で廊下に立つなんて、俺が初めてじゃないですかねー?」

教室が笑いに包まれる。

場面転換。

町中。

香耶と美幸が歩いている。

不良「おら! 金出せって言ってんだよ!」

男子生徒2「いや、その……」

遠くから見ていて。

香耶「あ、あれってカツアゲってやつじゃない?」

美幸「ホントだ。止めた方がいいよね?」

香耶「止めなって。危ないよ」

美幸「でも……」

香耶「警察に連絡しよう」

その二人の横を通り過ぎていく雅哉。

雅哉「あーっ! ちょ、おまっ!」

不良「ああ? なんだてめえ! こいつのダチか?」

雅哉「なにカツアゲされてんだよ!」

男子生徒2「え?」

雅哉「カツアゲされる金あるなら、俺に返せよー!」

男子生徒2「……あ、あの?」

雅哉「おまっ! あの金は、欲しいエロ本買うために貯めてたんだぞ! どうしてもっていうから貸したのに!」

男子生徒2「え? あ、あの……」

雅哉「踏み倒そうったって、そうはいかなねーぞ! 返せるなら1円単位でも取り立てるからな! ってことで、すんません。俺の方が先客なんで」

不良「いや……今、俺がカツアゲしてたんだが」

雅哉「こっちはエロ本、我慢させられてるんっすよ!」

不良「お、おう……。すまん」

雅哉「おら! こっち来い!」

男子生徒2「あっ!」

雅哉が男子生徒2を連れて行く。

場面転換。

雅哉「この辺、治安悪いから気を付けた方がいいぞ」

男子生徒2「ありがとうございました」

雅哉「ん。じゃあな」

それを遠くから見ている香耶たち。

香耶「……」

場面転換。

美樹「ごめーん! 雅哉くんとは、友達のままでいてほしいんだよね」

雅哉「ガーン! ちきしょー! 俺が良い男になっても、ハーレムには入れてやらないからな―! うおおおおお!」

雅哉が泣きながら走って行く。

美樹「ふう……」

香耶がやってくる。

香耶「……危なかったでしょ?」

美樹「あははは。思わず、OKしそうになっちゃった」

香耶「その気持ち、わかるよ」

美樹「あーあ。雅哉くんはみんなのもの、協定かぁ……」

香耶「学校の暗黙の了解だからねー。抜け駆けなんてしようものなら、どうなることやら」

美樹「モテすぎるっていうのも、大変だよね」

香耶「最初はあんなお調子者なんか、頼まれても付き合うのは無理って思ってたんだけどね」

美樹「あははは。私は最初から素敵だな―って思ってたけど」

香耶「でも、まあ、あいつは学校のマスコットってことで」

美樹「うん、そうだね」

香耶「……」

終わり。

〈前の10枚シナリオへ〉   〈次の10枚シナリオへ〉

モバイルバージョンを終了