■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ
■キャスト
シン
ミア
ティナ
クラリス
女性1~2
■台本
シン(N)「異世界転生。最近ではそう珍しいことではない。いや、逆に溢れかえっているくらいだ。だが、それはアニメや漫画の世界において、だ。実際に自分の身に起こったとなれば、どうだろうか? まあ、こんな前置きなんて、今となってはどうでもいいことだろう。とにかく俺は、異世界へ転生を果たした。もちろん、様々な恩恵を受けて。となれば、目指す方向は一つ」
女の子1「きゃー! シンさまー!」
女の子2「ちょっと! 邪魔よ! シンさま、こっち向いて!」
女の子3「手を振ったわ!」
黄色い歓声が響く。
シン(N)「ハーレム展開だ!」
場面転換。
バンとドアが開く音。
ミア「ちょっと、シン! まだ寝てるの!? 今日は、新しいダンジョンに行くって決めたでしょ!」
シン「ん? あー、おはよう、ミア」
ミア「おはよう、じゃない! 早く着替える!」
ティナ「あらあら、ミアちゃん。そんなに大声出して。シンくんが可哀そうですよ」
ミア「もう、ティナ姉がそうやって、シンを甘やかすから……」
クラリス「シン兄ちゃん、おっはよー!」
クラリスが走ってきて、シンに抱き着く。
シン「おわっ!」
ミア「ちょっと、クラリス! いきなり抱き着くなんて、はしたないわよ!」
クラリス「えー! だってー。シン兄ちゃん、頭なでなでしてー」
シン「はいはい」
頭を撫でるシン。
クラリス「えへへへ……」
ミア「ちょ、ちょっと! ズルい……じゃなくて、シンが迷惑してるでしょ!」
ティナ「あらあら。ミアちゃん。大声出す方が、ずっと迷惑してるわよ」
ミア「うっ!」
シン「あははは。すぐに用意するから、外で待ってて」
クラリス「うん、わかった!」
場面転換。
モンスターの咆哮。
シン「はあああ! 爆ぜろ!」
爆裂音が響き、モンスターが倒れる音。
クラリス「やったー! シン兄ちゃん、強ーい!」
ミア「ふん。まあ、これくらいやってもらわないと」
ティナ「シンくん、お疲れ様」
シン「ふう」
クラリス「じゃあ、私、奥の部屋、見て来るね」
クラリスが走って行く。
ミア「あ、こら! 危ないから一人で行かないで!」
ティナ「あらあら。クラリスちゃんには困ったものですね」
ティナが追いかけていく。
ミア「……シン、大丈夫? 怪我無い?」
シン「ああ。大丈夫」
ミア「そう。……なら、いいんだけど」
シン「……いつもさ、ありがとな」
ミア「え?」
シン「心配してくれて」
ミア「……べ、別に」
シン「……」
ミア「ね、ねえ、シン」
シン「ん?」
ミア「あんたさ。その……いつ、あの返事くれるの?」
シン「え? あー、いや、その……」
ティナ「聞かせてほしいですわね」
クラリス「私も聞きたい!」
シン「げっ! ティナさんとクラリス」
ティナ「で? 私と、ミアちゃん、クラリスちゃんの中で、誰を選ぶのですか?」
シン「うっ!」
ミア「さあ、決めて!」
クラリス「私だよね?」
ティナ「……」
シン「うう……いや、もうちょっと考えさせてくれ」
ミア「もう! またそれ?」
クラリス「早く決めてよー、もう!」
シン(N)「ティナさん、ミア、クラリスにずっと、誰を選ぶかを迫られている。でも、そんなの選べるわけがない。3人とも好きなんだから。それに……この誰かを選ばない、この状況こそがハーレムの醍醐味というものだ」
場面転換。
ミア「……」
ティナ「……」
クラリス「……」
シン「あ、あの……。これってどういう……」
ミア「私達、決めたの」
シン「な、なにを?」
クラリス「シン兄ちゃんがずーっと、決めないから」
ティナ「私達の方で話し合って決めましたの」
ミア「シンと誰が付き合うか」
シン「え?」
シン(N)「うーん。そっか。少し焦らし過ぎたかな? おそらく、性格的にティナさんは二人に譲ると思うから、ミアかクラリスかな? クラリスもああ見えて、結構、空気読めたりするから、ここは本命のミアってところか」
ミア「それでね」
シン「ごくり……」
ミア「3人とも諦めることにしたの」
シン「へ?」
ミア「なんか、ここまでダラダラ引き延ばされてもね」
クラリス「なんか、急に冷めちゃった」
ティナ「そういうことですので、もう、他の勇者様と旅をすることを決めましたの」
シン「え? え? え?」
ミア「そういうことだから。じゃあね」
クラリス「バイバーイ!」
ティナ「さようなら」
シン「あっ……」
3人が歩き去って行く。
シン(N)「異世界に来て、モテるからって調子に乗ってはいけない。ハーレムなんて、男の欲望丸出しの自分勝手なものだ。嫌われることだって普通にあることだ。これはいい教訓になった。……ちなみに、その後の俺はモテ期が終わったらしく、女の子に見向きもされなくなった。これじゃ、転生前と同じじゃねーか! ちくしょう!」
終わり。