■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
源之丞(げんのじょう)
結人(ゆいと)
ゆき
未沙(みさ)
教師
母親
女生徒1~2
浩平(こうへい)
■台本
江戸時代。
源之丞とゆきが走っている。
源之丞「ゆき、こっちだ!」
ゆき「源之丞様……」
源之丞とゆきが物陰に隠れる。
役人1「くそ、見失ったぞ!」
役人2「そっちを探せ!」
役人たちが行ってしまう。
源之丞「……行ったか」
ゆき「……源之丞様。もう、これ以上は逃げ切れません」
源之丞「……俺が役人の気を引くから、その間に、ゆきは逃げるんだ」
ゆき「源之丞様。ゆきは、源之丞と一緒になれないなら、生きていても仕方ありません」
源之丞「……ゆき。俺はそれでもお前には生きていて欲しい」
ゆき「それこそ、生き地獄です。お願いです。一緒に行かせてください」
源之丞「……わかった」
場面転換。
川の前。
源之丞「……ゆき。来世では必ず」
ゆき「はい! ゆきは来世で源之丞様と結ばれたいです」
源之丞「必ず……必ず見つけるからな」
ゆき「はい!」
源之丞「いくぞ」
源之丞とゆきが川に飛び込む。
場面転換。
現代。
母親「結人! いつまで寝てるの! さっさと起きないと、学校遅刻するわよ!」
結人「……もう、そんな時間か。眠い……。さすがに明るくなるまでゲームするのは無茶だったか」
結人(N)「前世の夢。俺は江戸時代に、来世で一緒になることを誓ったゆきという女の子との夢だ。だが、まだ、現世でゆきを見つけられていない。……それでも、必ず見つけてみせる。待っててくれ、ゆき」
場面転換。
ガツガツとご飯を食べる音。
結人「母さん、おかわり」
母親「……あんた、朝からよくそんなに食べられるわね」
結人「朝の食事が一番大事なんだよ。だから、おかわり」
母親「……あんた、そんなこと言って、昨日の夜も4杯おかわりしたじゃない」
結人「うるさいなぁ。お腹減ったんだから、いいだろ。おかわり!」
母親「はいはい。これ以上太っても知らないからね」
結人「もう、小言言ってないで、早くしてよ」
場面転換。
授業中。
教師「……で、ここの公式は」
結人「はあ……キララちゃん可愛いなぁ」
教師が結人の席まで歩いて来る。
教師「おい、田中。学校に、関係ない物を盛って来るなって言ってるだろ。没収だ、没収」
結人「あっ! せっかくガチャで当てた、キララちゃんのフィギュアが!」
教師「放課後、反省文を持ってきたら、返してやる」
結人「ええー、そんなぁ」
周りからクスクスと笑う声。
女生徒1「きもーい」
女生徒2「フィギュアを学校に持ってくんなっつーの」
結人「……」
結人(N)「俺はクラスの奴らに、見下されている。ちょっと太ってて、成績が悪くて、オタクだからって、なんだ。男は見かけじゃねーっての。俺の価値が分からん奴らめ。……だが、そんなことはどうでもいい。俺には前世で結ばれる約束をしたゆきがいる。ゆきさえ見つければ、俺は一気に勝ち組だ。見てろよ」
場面転換。
道を歩く結人。
ピタリと足を止める。
結人「あ、ガチャガチャの新作が出てる。しかも、キララちゃんの新バージョンが出てる。これは引くしかない」
結人が財布を出して、100円玉を取り出す。
結人「あっ!」
結人が100円玉を落としてしまい、その100円玉が転がる。
結人「ちょ、まっ!」
100円玉が未沙の足に当たって、止まる。
未沙「……これ、あなたの100円玉……あっ!」
結人「っ!?」
結人(N)「外見が全く違っていても、一瞬でわかった。目の前にいる女の子はゆきだ」
未沙「……源之丞様?」
結人「ゆき……」
未沙「……」
結人「やっと……やっと会えた」
未沙「え、えっと……」
結人「前世での約束通り、一緒になろう!」
未沙「いや、その……」
結人「どうした?」
未沙「……」
浩平「未沙。どうしたんだ? 変な奴に絡まれたのか?」
未沙「ううん。なんでもない。ちょっと先に行っててくれる?」
浩平「いいけど……。本当に大丈夫か?」
未沙「うん。平気」
浩平「何かあったら、声をあげろよ」
未沙「ありがと」
浩平が歩いて行く。
結人「お、おい。ゆき、あいつ、なんなんだ?」
未沙「えっと、彼氏」
結人「ええ!? 彼氏!? ちょっと待ってくれ。前世の約束は?」
未沙「……まさか、ホントに生まれ変わって、会えると思わなかったし」
結人「いやいや。絶対に見つけるって言ってあっただろ?」
未沙「……待ってたよ。ずーっと。でも、着てくれなかった。そんなとき、私の寂しさを埋めてくれたのが、浩平だったの」
結人「ちょ、ちょ、ちょっと待った。でもさ、今はこうして会えたんだ。あいつと別れて、俺と一緒になろう!」
未沙「……ごめんなさい。無理だよ」
結人「なんで!?」
未沙「……浩平の方がイケメンだから」
結人「……」
未沙「源之丞様も良い人見つけてね。それじゃ、さようなら」
未沙が走り去っていく。
結人「うおおおおお! 結局、顔かよーー!」
結人(N)「俺は二度と女を信用しないことにした。やっぱり、二次元の女の子が最高だ」
終わり。