■概要
人数:4人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
一颯(いぶき)
海斗(かいと)
仁(じん)
律樹(りつき)
■台本
一颯「え? 闇鍋」
海斗「そうそう。最近、すごく寒くなってきただろ? 鍋食べたいなって思って」
一颯「……それで、闇鍋?」
海斗「普通にやったら面白くないだろ?」
一颯「面白いより、美味しい方がいいけどね」
海斗「ってことで、他のやつにも声かけるから、お前んちでやろうぜ」
一颯「また俺んちか」
海斗「まあ、学生で一人暮らしの宿命だよな」
場面転換。
一颯の部屋。
海斗「ってことで、お集りの皆さん、ようこそ闇鍋パーティーへ!」
律樹「え? これって、闇鍋パーティーだったの?」
仁「いいぞ、いいぞ! 楽しくなってきたー!」
海斗「じゃあ、ルールを説明するぞ。まず、部屋を真っ暗にする。鍋の具材に火が通ったらスタートだ」
仁「ふんふん」
海斗「鍋に箸を入れて、最初に掴んだものを食べる。どんなものを掴んでも絶対に食べること。食べれなかった奴が負けな」
律樹「ちょ、ちょっと! 食べれない物だったらどうするんだよ?」
海斗「ルールとして、鍋に入れるものは食べられるもの限定だ」
一颯「……味と触感がヤバくても、食べるってところと、その食材が何なのかがわからないところが怖いんだよね」
海斗「じゃあ、みんな、一旦、部屋から出て、一人ずつ、順番に食材を入れていくぞー」
場面転換。
ぐつぐつと鍋が煮立っている音。
一颯「……真っ暗の中、鍋をするっていうのも、なんか不思議な感覚だね」
海斗「よーし! じゃあ、俺からだ! 何が出るかな、何が出るかな!」
仁「……また、ベタベタなネタを」
海斗「よーし! これだ!」
海斗が箸で食材を掴む。
海斗「うおおおおお!」
海斗が食材にかぶりつく。
仁「……」
一颯「どう……?」
海斗「こ、これは……!」
律樹「(ごくり)……」
海斗「旨ぇ!」
一颯「え?」
海斗「これは、白菜かな。……けど、なんか味ついてる」
仁「あ、それ、俺のキムチだ」
海斗「なんだよ、キムチかよ。当たりじゃねーか」
一颯「……なんで、残念そうなの?」
仁「次、俺だ! うおおおお!」
仁が箸を入れて具材を掴む。
仁「はああああ!」
仁が具材を食べる。
律樹「……どう?」
仁「こ、これは……」
海斗「なんだなんだ? 外れ引いたか?」
仁「シイタケだ」
海斗「え?」
仁「普通に旨いな」
海斗「おいおい、誰だよ、シイタケなんて普通の具材持ってきたの?」
律樹「あ、僕のだ」
海斗「盛り下がるだろー!」
律樹「いや、僕、普通に鍋やるって聞いてたからさ」
海斗「……まあいいや。次!」
律樹「うう……僕か」
律樹が鍋に箸を突っ込み、食材を取る。
律樹「神様!」
律樹が食材を食べる。
律樹「ぎゃああ! 熱い!」
海斗「おお! ようやく外れを引いたか!」
律樹「でも、美味しい」
海斗「へ?」
律樹「……これ、卵だ」
仁「……卵?」
律樹「うん。半熟っぽくて、なんか美味しいよ」
海斗「そ、そんな……」
仁「え? じゃあ、卵入れたのって……」
海斗「俺」
仁「えー? 言い出しっぺが卵って、普通じゃね?」
海斗「いやいや。こういうのは一見、普通に見えて混ぜるとヤバくなるってのを狙って卵にしたんだよ」
仁「あー。まあ、わかる。普通、鍋に卵は入れないからな」
一颯「おでんくらいかもね」
海斗「あーあ。なーんだ。みんな普通の具材ばっかで、ただの美味しい鍋になっちまったな」
仁「こんなことなら、ベタにチョコとか入れればよかったな」
海斗「納豆とかな」
律樹「で、どうする? 続ける? 闇鍋」
海斗「いや、もういいんじゃね? 普通に食おうぜ」
一颯「……」
仁「そうだな」
海斗「電気つけろ、電気」
律樹「わかった」
パッと電気がつく。
海斗「よし、じゃあ、いただきまーす!」
仁「あ、俺、肉もらいー!」
海斗「ズルいぞ!」
律樹「この肉、美味しいね。鶏肉?」
海斗「肉は誰が持ってきたんだ?」
一颯「僕」
仁「最後も鶏肉なら、本当に普通の鍋だな」
海斗「あはははは! そうだな」
仁「にしても、ホント旨いな、この肉」
一颯「……」
一颯(N)「なんで、みんな普通の食材なんだよぉ。言えない。僕だけ、カエルの肉を入れたなんて、言えないよ……」
終わり。