■概要
人数:3人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ
■キャスト
レイ
サンタ
子供
■台本
空中を猛スピードでソリが滑空していく。
レイ「ぎゃああああああ! 落ちる落ちる落ちる落ちる!」
サンタ「大丈夫じゃ! 落ちても死ぬだけじゃ」
レイ「全然、大丈夫じゃねー!」
場面転換。
レイ(N)「今、俺はトナカイが引っ張るソリに乗り、世界中を飛び回っている。なぜ、こんなことをしているかというと、それは3時間前のことだ」
場面転換。
サンタ「というわけで、プレゼントを配るのを手伝ってほしい」
レイ「……全然、訳がわからないんだが」
サンタ「いつも手伝ってくれる息子が逃げ出したんじゃよ。まったく。全然、サンタクロースの意識が足りなくて、困ったもんじゃよ」
レイ「……だからって、なんで俺なんだ?」
サンタ「それは……まあ、ラッキーということで」
レイ「適当に選んだな?」
サンタ「もし、手伝ってくれたら、クリスマスプレゼントをやろう」
レイ「いやいや。俺、もう18だぞ。クリスマスプレゼントなんてさー」
サンタ「このサンタの袋は、良い子のどんな願いでも叶えて、出してくれるんじゃ」
レイ「……どんなものでも?」
サンタ「どんなものでも」
レイ「やります!」
レイ(N)「こうして俺は世界中の子供たちにプレゼントを配るたびに出発したのだった。金髪セクシー美女の恋人を出してもらうために」
場面転換。
サンタ「よし、着いたぞ。あとはこの家の子供の枕元にプレゼントを置くだけじゃ」
レイ「行こう!」
2人が歩き出すと同時に、番犬が吠える。
レイ「うわ! 番犬だ! ……これじゃ、家の中に入れないぞ。どうする? ここは飛ばすか?」
サンタ「それはできん! 決まった子供には全員プレゼントを渡すんじゃ!」
レイ「けど、どうやって?」
サンタ「そうじゃな。お手をさせている間に、家に入るとしよう」
レイ「いや、お手なんてするわけないだろ」
サンタ「ふっふっふ。サンタの力を見くびるでない! できるはずじゃ! さあ、やれ!」
レイ「……ホントかよ。まあ、ってみるか。はい、お手!」
犬が襲い掛かり、噛みついてくる。
レイ「ぎゃあああ! おい、ジジイ! 話が違うぞ」
サンタ「よし、今のうちに行ってくる!」
レイ「囮にするかー!」
場面展開。
家の中。
子供「うーん」
サンタ「む!? この子は眠りが浅いようじゃな。よし、睡眠ガスをかがせるんじゃ」
レイ「……サンタのセリフじゃねーな。まあ、やるけど」
レイが子供に催眠ガスをかがせる。
レイ「よし、じゃあ、こいつが好きな物を袋から出すぞ。……さーて、何が出るかな」
ポンと音を出して、袋から出てきたのは、帽子だった。
レイ「……サンタの帽子?」
サンタ「……」
レイ「いいのか、これ?」
サンタ「袋から出たということは、そういうことじゃな」
レイ「ふーん。変わった趣味の子供だな」
レイ(N)「こうして、俺は死ぬ思いを何度も繰り返して、俺はなんとかミッションをコンプリートした」
場面転換。
レイ「おい、ジジイ。約束は守ってもらうぞ」
サンタ「うむ。無論じゃ。ほれ、サンタの袋じゃ」
レイ「よーし! さあ、出でよ! 金髪セクシー美女よ!」
ポンと袋から出てきたのはサンタの帽子。
レイ「……サンタの帽子だ」
サンタ「うむ」
レイ「いや、うむ、じゃなくて」
サンタ「ん? なんじゃ?」
レイ「いやいやいや。俺が願ったのは金髪セクシー美女なんだけど」
サンタ「……最初に言ったと思うが、袋から出てくるのは、『良い子の欲しい物』じゃ」
レイ「……良い子じゃなかったら?」
サンタ「サンタの帽子が出てくるんじゃ」
レイ「先に言えよ!」
サンタ「じゃあ、また来年も頼むぞ」
レイ「やるか、アホ!」
終わり。