■概要
人数:4人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ
■キャスト
セイル
男子生徒1~2
ギレン
■台本
通学路。
セイル「いいか。人間社会っていうのは、生まれながらにしてある程度地位が確定してるんだ」
男子生徒1「生まれたときからですか?」
セイル「そうだ。金持ちの子供は将来金持ちになり、貧乏の子供は生涯貧乏で終わる」
男子生徒2「でも、セイルさん。世の中には努力で成り上がっていく人もいるんじゃないんですか?」
セイル「そうだな。稀に後天的に地位が変わる人間もいる。だが、それでもある程度の枠組みの中でだけだ」
男子生徒1「つまり、頑張ったところで、そこまで大きく変わることはできないってことですか?」
セイル「ああ。例えばだが、奴隷が貴族になれると思うか?」
男子生徒2「いえ……」
セイル「だろう? 精々、頑張ったところで奴隷が平民になるくらいだ。つまり、努力では超えられない立場というものがある」
男子生徒2「確かにそうですね」
セイル「そして、人間社会というものは、より高い立場にいる人間が下を支配する。そういうものだ」
男子生徒1「はい。つまり、どれだけ上の地位にいることができるかってことですね」
セイル「ああ。そういう点でいうと、俺たちは貴族に生まれついた時点で、勝ち組と言っていいだろう」
男子生徒1「そうですね」
セイル「プラスして、俺っていう上級貴族と知り合いになれた、お前らもさらに上の段階の勝ち組だな」
男子生徒2「そうですね。セイルさんと学園で知り合えて、光栄です」
セイル「はっはっは。だろ? 我がヘイドリッヒ家と繋がりを持てたことで、お前らは親よりも上の地位にいけるぞ」
男子生徒1「俺、一生、セイルさんについていきます!」
男子生徒2「俺も!」
セイル「まあ、精々、俺の機嫌を損ねないようにしろよ。お前らの人生は俺の匙加減一つだ」
男子生徒1「はい!」
男子生徒2「はい!」
セイル「ふふふふ……」
場面転換。
ガチャリとドアが開き、セイルが入ってくる。
セイル「……た、ただいま戻りました」
ギレン「遅いぞ、セイル」
セイル「た、大変申し訳ありません」
ギレン「まったく。使用人のくせに学校なんかに行きたいと言うから行かせてやってるのに。家のことが疎かになるなら、辞めてもらうぞ」
セイル「は、はい。これから全力でやりますから、ご勘弁を」
ギレン「よかったなぁ、セイル。俺が主人で。普通なら、使用人が学校に行けることなんて、ほぼないんだぞ」
セイル「はい。光栄の極みです」
ギレン「いいか。覚えておけよ、セイル。人間社会というものは、生まれながらにしてある程度地位が確定してるんだ」
セイル「は、はい!」
ギレン「お前は我が、ヘイドリッヒ家の使用人に生まれた時点で負け組なんだ」
セイル「その通りです」
ギレン「まあ、精々、俺の機嫌を損ねないようにしろよ。お前らの人生は俺の匙加減一つだ」
セイル「は、はい」
ギレン「ふふふふ……。あはははは!」
セイル「……」
終わり。