■概要
人数：4人
時間：10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
公亮（きみと）
立花 二奈（たちばな にな）
椿（つばき）
麻耶（まや）
■台本
学校の教室内。
ジッと二奈と麻耶が話しているのを見ている公亮。
公亮「……」
二奈「あーあ。どっかに素敵な男子っていないのかなぁ」
麻耶「なに？ あんた、また別れたの？ 何人目？」
二奈「そんなこと言ったってさー」
麻耶「まあ、しょうがないよ。あんたの体質は、たいていの人はひくって」
二奈「違うよ、それは関係ないって。付き合うときにした約束を、破るから別れたの！」
麻耶「……その約束、止めたら？」
二奈「それだけは絶対にヤダ！ 絶対に、ぜーったいに譲れないから！」
麻耶「はいはい。わかったわかった」
その様子をジッと見ている公亮。
公亮「……」
公亮（Ｎ）「彼女の名前は立花二奈さん。男子からは学年で１位、２位を争うほどの人気を誇る人だ。だけど、それと同時に、学校内で男をフッた人数、ダントツ１位とも噂されている」
椿「おい、公亮。なーに、立花のことガン見してんだよ」
公亮「あー、いや、そうじゃなくて……」
椿「もしかして、告白するつもりなのか？」
公亮「……」
椿「え？ まさか、ビンゴ？ やめとけやめとけ。お前なんかが太刀打ちできる女じゃねーって。フッた男の数ナンバーワンはダテじゃないと思うぞ」
公亮「けどさ。それって、フラれたんじゃなくて、付き合ったけど長く続かないって話だよ？」
椿「ん？ 同じじゃねーの？」
公亮「全然違うって。だってさ、付き合ってすぐわかれるってことは、一度は付き合えるってことでしょ？ 逆に言うと付き合えはできるってわけじゃん」
椿「なるほど……。付き合ってから、頑張って別れないようにするって話か」
公亮「そうそう」
椿「けどさ。それって誰でもそう思うわけだろ？ それでもみんな続かないってことは、やっぱ、続けるのが無理って話なんじゃねーの？」
公亮「お、俺は他のやつとは違うし。その辺のやつらより、二奈ちゃんのこと、好きだし」
椿「はいはい。じゃあ、ダメ元で告白してみれば？」
公亮「……」
場面転換。
放課後の教室。
二奈「うん、いいよ」
公亮「え？ ほ、ホント！？」
二奈「でも、付き合う上で、一つだけ条件があるの」
公亮「……な、なに？」
二奈「ずっと一緒にいてほしいの」
公亮「……え？」
二奈「だから、ずっと一緒にいて欲しいの」
公亮「そ、それだけ？」
二奈「うん。……私、寂しがり屋だからさ。ダメ……かな？」
公亮「ううん！ いいよ！ っていうより、俺も二奈ちゃんとずっと一緒にいたいから」
二奈「ホント！？ 嬉しいっ！」
場面転換。
公亮と二奈が話しながら歩いている。
二奈「あははは。公亮くんって面白い」
公亮「そ、そう？」
二奈「あ、私の家、こっちだから」
公亮「そうなんだ。……家まで送ろうか？」
二奈「ううん。大丈夫。ありがと」
公亮「そっか。じゃあ、バイバイ」
二奈「うん。それじゃ、また後でね」
公亮「え？」
二奈が走っていく。
公亮「……また後で？ また明日じゃなくて？」
場面転換。
公亮の部屋。
バブっとベッドに寝転がる公亮。
公亮「ふっ……。ふふふふふ。……いえーい！ やったぁ！ 二奈ちゃんと付き合えた―！」
そのとき、コンコンと窓をノックする音。
公亮「ん？ なんだろ？」
さらにコンコンとノックが続く。
公亮「はいはい。なに？」
ガラガラと窓を開ける公亮。
二奈「やっほー。来たよ」
公亮「へ？ 二奈ちゃん？ え？ え？ どうして？」
二奈「だって、ずっと一緒にいてくれるんだよね？」
公亮「う、うん……。それはそうなんだけど、ここ２階だよ？」
二奈「部屋入っていい？」
公亮「え？ いいけど、それなら玄関から……」
二奈「大丈夫大丈夫」
スーッと壁をすり抜けて部屋に入ってくる二奈。
公亮「うわああ！ え？ なに？ 今、壁をすり抜けなかった？」
二奈「うん。すり抜けたよ」
公亮「え？ え？ え？」
二奈「私ね、幽体離脱できるんだ」
公亮「幽体離脱？」
二奈「そ。これでずっと一緒にいれるよね？」
公亮「は、ははは……」
場面転換。
母親の声「公亮―。お風呂入っちゃいなさい」
公亮「はーい！ ……じゃあ、二奈ちゃん。俺、風呂入ってくるから、ちょっと待っててね」
二奈「え？ なんで？」
公亮「いや……なんでって……」
二奈「ずっと一緒にいてくれるんだよね？」
公亮「……」
場面転換。
浴室。
風呂に入っている公亮。
二奈「どう？ いい湯？」
公亮「う、うん……。あ、あのさ」
二奈「なに？」
公亮「二奈ちゃんは……脱がないの？」
二奈「あはははは。今は霊体だからねー。脱ぐ必要はないよ」
公亮「で、ですよね……」
場面転換。
公亮の部屋。
公亮「よいしょっと」
二奈「あれ？ どこ行くの？」
公亮「トイレ」
二奈「もう、それなら先に言ってよー」
公亮「……まさか」
二奈「うん。だって、ずっと一緒にいてくれるんでしょ？」
公亮「……」
場面転換。
公亮「……じゃあ、おやすみ」
二奈「うん。おやすみ」
公亮「……二奈ちゃん」
二奈「ん？」
公亮「帰らないの？」
二奈「うん。だって、ずっと一緒にいてくれるんでしょ？」
公亮「そ、そうだけど……」
二奈「あ、明日なんだけど、学校に行く前に私の家に寄ってくれる？ 体取ってくるからさ」
公亮「……」
場面転換。
放課後の教室。
公亮「あ、あの……二奈ちゃん」
二奈「なに？」
公亮「ごめんなさい！ 別れてください！」
二奈「えええー！ そんなぁ！」
公亮（Ｎ）「……どうして、二奈ちゃんと長く付き合えない人が続出するかわかった。うん。これはツライ。……無理だよ」
終わり。