■概要
人数:2人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
優紀(ゆうき)
青葉(あおば)
■台本
祭りでにぎわっている中を、優紀と青葉が歩いている。
優紀「なんか、祭りって久しぶりだよなー」
青葉「だよねー」
優紀「俺、思うんだけど、なんで祭りの屋台で売ってる焼きそばってうまそうに見えるんだろうな」
青葉「普通に家で作れるのにね。しかも安く」
優紀「やっぱ、雰囲気って大事なのかもな」
青葉「だね」
優紀「……お、見ろよ。クジやってるぞ。一等はスマホの最新機種だって。しかも、まだ一等は出てないみたいだぞ」
青葉「いやいや。やめときなって」
優紀「え? なんで?」
青葉「あれ? 知らない? 確か何年か前にユーチューバーか誰かが、ああいう祭りのクジを全部引いてみたんだってさ」
優紀「で?」
青葉「そしたら、最後まで一等が入ってなかったらしいよ」
優紀「詐欺じゃん」
青葉「だねぇ」
優紀「あ、屋台のおっちゃんがめっちゃにらんでる」
青葉「さっさと行こ」
優紀「そうだな」
速足で歩く2人。
場面転換。
祭りの中を歩く二人。
優紀「おっ、見ろよ。かき氷だ。久しぶりに食べねーか?」
青葉「いーね! 食べよう」
優紀「じゃあ、おっちゃん、かき氷2つね」
青葉「僕はレモンで」
優紀「お前、決めるの早いな。……えーと俺は何にしようかなー」
青葉「さっと決めなよ」
優紀「ンなこと言ったって、迷うだろ。滅多に食わないんだからさ」
青葉「……いや、同じなんだから、早く決めなよ」
優紀「同じってなんだよ。イチゴ、メロン、レモンの3種はハッキリ言って、究極の選択だぞ」
青葉「あれ? 知らないの?」
優紀「なにがだ?」
青葉「かき氷のシロップって、色が違うだけで、味は同じなんだよ」
優紀「いやいやいや。それはないだろ。レモンとイチゴじゃ全然ちげーって」
青葉「まあまあ。じゃあ、食べ比べてみようよ」
優紀「よしきた」
場面転換。
かき氷を手に持っている二人。
青葉「じゃあ、目をつぶって」
優紀「おう」
青葉「はい、あーん」
優紀「おお、甘くてうめえ」
青葉「どっちだ?」
優紀「……酸っぱくねえから、イチゴだ」
青葉「残念。レモンでした」
優紀「マジか……」
場面転換。
祭りの中を歩く二人。
そのとき、風鈴の音が聞こえてくる。
優紀「おお、風鈴だ」
青葉「珍しいね。風鈴なんて売ってるの」
優紀「出店のほとんどは食べ物系なのにな」
風鈴の音が鳴る。
優紀「あー、風鈴の音はなんか癒されるよな」
青葉「そういえば、風鈴ってアルファ波が出るとかで、実際にリラックス効果があるらしいよ」
優紀「マジか。プラシーボ効果じゃねーの?」
青葉「なんかね、自然の風が脳波をアルファ波に導くんだって」
優紀「じゃあ、風鈴の音自体がリラックス効果があるんじゃなくて、吹く風がアルファ波になるってことか?」
青葉「よくわからないけど、そうらしいよ」
優紀「じゃあ、手で鳴らしたり、扇風機で鳴らしてもリラックスできねーってことか」
青葉「うるさいだけだね、それって」
優紀「確かに……」
場面転換。
祭りの中を歩く二人。
優紀「お、金魚すくいだ」
青葉「子供の頃に一回か二回やったくらいかな」
優紀「よし、久しぶりにやってみるか。おっちゃん、俺とこいつの分で2回」
金魚すくいのセットを渡される二人。
優紀「よし、勝負だ!」
青葉「いいけどさー。無駄だと思うよ」
優紀「なんでだ?」
青葉「あれ? 知らないの? こういう、金魚すくいの輪っかに貼ってある紙なんだけど、数種類あるんだってさ。つまり、同じように見えて、紙の厚さが違うんだよ。こういうのって、店の人が客を見て、暑さの違うのを渡すみたいだね。例えば、子供やきれいな女の人には紙が厚い物、で、僕たちみたいな客には紙が薄いのを渡すんだよ。全員が全員、金魚が取れたら商売あがったりだからね。その証拠に……」
青葉が水の中に金魚すくいを入れると、すぐに破ける。
青葉「ほらね。すぐ破けた。だから……」
すると周りからおおーと歓声が上がる。
優紀「よし、10匹目」
青葉「……」
優紀「あれ? 今、なんか言ったか?」
青葉「いや、なんでもない」
優紀「いやー、やっぱ祭りは楽しいな」
青葉「……そうだね」
終わり。