■概要
人数:5人以上
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
仏木 貴司(ほとけぎ たかし)
男子生徒1~9
女子生徒1~2
■台本
貴司(N)「世の中、顔で決まる。僕はずっとこの言葉を実感しながら生きてきた。イケメンと不細工では、人生は全く違うというのもあるけど、僕の場合は人のよさそうな顔か強面かでも人生は全然違うと思う」
男子生徒1「すまん、ブッダ! 昨日借りた漫画、持ってくるの忘れちまった」
貴司「いいよ、いいよ。明日で」
場面転換。
男子生徒2「ブッタ! 頼む! 10円貸して。めちゃめちゃ喉乾いちゃってさ。110円しかなくて……」
貴司「10円くらいなら、戻さなくていいよ。はい」
男子生徒2「おお! さすがブッダ! サンキューな」
場面転換。
男子生徒3「ブッタ! 一生のお願い! 今日、掃除当番変わって!」
貴司「うん。別にいいよ」
男子生徒3「恩に着る!」
貴司(N)「苗字が仏木ってところと、なんでも許してくれるってところから、ブッダってあだ名が付いた。プラスして、僕の細目で人の良さそうな顔から、何をしても怒らないと思われている。そんなことは全くない。今だって、掃除当番を押し付けられて、怒っているのだ。だけど、それが通じない。……僕はこの顔のせいでいままでどのくらい損をしてきただろうか。僕が鬼のような顔をしていたら、きっとこんなことにはなっていなかったはずだ」
場面転換。
男子生徒4「ごめん、ブッタ。日曜、一緒に映画行くって約束、ダメかも。彼女が同じ映画見たいって言ってさ……」
貴司「じゃあ、僕の券あげるから、彼女と行ってきなよ」
男子生徒4「マジで!? さすがブッタ! 神だな!」
場面転換。
女子生徒1「ねえ、ブッタくん。お願い。調理室のカギ、先生に返すの忘れてたの。……返しておいてくれない?」
貴司「遅れたことは僕からも堺(さかい)先生に謝っておくよ」
女子生徒1「ありがとう! ブッタくん!」
場面転換。
男子生徒5「すまん、ブッタ! 借りてたゲームのセーブデータ消しちゃった」
貴司「いいよいいよ。別に」
場面転換。
女子生徒2「ブッタくん、ごめん。借りてたノート、友達にも貸しちゃった」
貴司「いいよいいよ。別に」
場面転換。
男子生徒6「ブッタ、ホントすまん! お前の分のサービス券、使っちまった」
貴司「いいよいいよ。別に」
場面転換。
男子生徒7「ううー……。本当にごめん。部室のガラス割ったの、ブッタのせいにしちゃった」
貴司「いいよいいよ。別に」
場面転換。
男子生徒8「マジでごめん、ブッタ。お前から借りてた時計、無くしちまった」
貴司「いいよいいよ。別に」
場面転換。
男子生徒9「いやー、ごめんな、ブッタ。フィギュアの箱、ちょっと潰れちゃった」
貴司「ぶっ殺すぞ、てめえっ!」
場面転換。
貴司(N)「はあ……。ホント、この顔に生まれて損ばかりだ。周りには舐められてばかりだし。……でも、最近、少しだけみんな、僕に優しくなった気がする。なんだかちょっと怖がってるような? まあ、気のせいだよね」
終わり。