■概要
人数:5人以上
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、童話、コメディ
■キャスト
金太郎
桃太郎
かぐや姫
おやゆび姫
こぶとりじいさん
ナレーション
■台本
ナレーション「昔々。あるところに、様々な童話のキャラクターたちが集まり、会議をする場所がありました。それはまだ、金太郎が有名じゃなかった頃。今日も、色々な童話のキャラクターたちが話し合いをするのでした……」
桃太郎「前回までの、浦島太郎の玉手箱は本当に開けるべきだったかどうかについての議題は、浦島太郎は竜宮城から出るべきじゃなかったという結論をもって終わりました。次にあげたい議題はありますか?」
かぐや姫「そうですね……。一寸法師さんは、打ち出の小槌で願ったのは、本当に身長を伸ばすのでよかったのか、というのはどうでしょう?」
こぶとりじいさん「いやいや。花咲かじいさんは、花を咲かすことがなんの意味があったのか、というほうがいいんじゃないか?」
金太郎「……あ、あの」
おやゆび姫「それよりも、鶴の恩返しの鶴よ! なんで正体がバレたからって、去らなきゃいけないのよ! 意味わかんなくない?」
かぐや姫「それは、約束を破ったからじゃないんですか? 開けるなっていう扉を開けた、男の方が悪いかと」
金太郎「あの……」
おやゆび姫「いやいや、おかしいって! やるなって言われたら、人間、やっちゃうもんでしょ! わざわざ、気になるようなことして、開けるな、なんて開けてくださいって言ってるようなものよ」
かぐや「だから、やってはいけないことと、好奇心とのバランスが……」
金太郎がバンと机を叩いて、立ち上がる。
金太郎「あの、いいでしょうか!?」
桃太郎「うわ、びっくりした。どうしましたか、金太郎さん」
金太郎「あの……わたくし事で恐縮なのですが」
かぐや姫「なんですか?」
金太郎「私って、その……地味じゃないですか?」
桃太郎「と言いますと?」
金太郎「私って、どんな童話か知ってますか?」
一同が黙る。
おやゆび姫「えっと、あの……熊と相撲とったのよね?」
金太郎「鬼退治ですよ! 鬼退治!」
かぐや姫「……え? あの……そうでしたっけ?」
金太郎「ほらあ。やっぱり、そう思われてるじゃないですか!」
桃太郎「まあまあ。いいじゃないですか。熊と相撲したっていうのも、インパクトありますよ」
こぶとりじいさん「まあ、犬、猿、キジをお供にしたあんたほどじゃないけどな」
桃太郎「……こぶとりおじいさん。空気読んでください」
金太郎「うわーん! いやだいやだいやだ! もっと、こう、インパクトがあることしたい!」
おやゆび姫「そう言われても、童話の内容を捻じ曲げるのもどうかと思うのよね」
桃太郎「そうですね。……もう、既に私たちのお話は語り継がれています。そこを変えてしまったら、逆に混乱が出てしまうでしょう」
金太郎「うう……」
かぐや姫「ふふふ。いいことを思いつきました」
金太郎「なんでしょう!?」
かぐや姫「お話を変えられないなら、外見を変えればいいのです」
金太郎「外見……ですか?」
かぐや姫「私にお任せください」
場面転換。
かぐや姫「お待たせしました。これなら、金太郎さんのインパクトが跳ね上がりますわ」
金太郎「……」
こぶとりじいさん「おおお!」
桃太郎「凄いです」
おやゆび姫「あはははは! やるじゃない!」
かぐや姫「どうでしょう? 河童のように頭のてっぺんを剃り、おかっぱの髪型、裸に赤い腹掛け! これを見れば、誰しもが一度見れば忘れないはずです!」
会場から盛大な拍手が巻き起こる。
金太郎「うう……。こうじゃない。こうじゃないのに……」
ナレーション「こうしてかぐや姫の活躍により、金太郎は熊と相撲したことと、独特な格好で人々の中で一躍有名になったのでした。めでたしめでたし」
終わり。