■概要
人数:3人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
魁人(かいと)
怜雄(れお)
サブロー
■台本
スマホの画面ではアニメが映し出されている。
サブロー「ガキの尻ぬぐいをしてやる。それが大人の役目だ」
画面を見ていた魁人と怜雄が叫ぶ。
魁人「おおおお! 格好いい!」
怜雄「痺れるよなー! 大人の渋さっていうかさ、貫禄っていうの? すげーよな」
魁人「あーあ。俺もサブローみたいな大人になりたいなー」
怜雄「ははは。アニメに憧れるなんて子供っぽいけど、格好いいキャラだよな、サブローって」
魁人「さすが今期の覇権アニメ。面白いよな」
怜雄「漫画の人気投票でも一位だってさ」
魁人「やっぱなー。格好いいもんな」
怜雄「なにが凄いって、男の人気だけじゃなくて、女からも人気ってところなんだよ」
魁人「そうなんだ?」
怜雄「女からはダントツだってよ、ダントツ」
魁人「マジかー。けどさ、サブローみたいな大人になれば、女子からモテモテってことか?」
怜雄「そりゃ、そうだろ」
魁人「……俺、サブローみたいな大人になりたいな」
怜雄「ははは。アニメのキャラみたくなりたいって、厨二かよ」
魁人「けどさ、そんなふうに最初から諦めてたら、始まらなくないか? ダメだって思っても目指すって気持ちは大事だと思うけど」
怜雄「……言われてみると確かにな。サブローはアニメのキャラだけど、それに近づけるように努力するのはいいことだよな」
魁人「よし! じゃあ、サブローみたいな大人になるため、今から頑張ろうぜ!」
怜雄「……けど、どうやって?」
魁人「え? えーっと……。とにかく、サブローの真似をすればいいんじゃね?」
怜雄「っていうと?」
魁人「えっと……タバコ吸うとか?」
怜雄「停学になるぞ」
魁人「酒飲むとか」
怜雄「それも停学になるだろ」
魁人「じゃあ、サブローと同じ修行して強くなるとか?」
怜雄「化け物がいる島なんて、現実にねーだろ」
魁人「んー。えっと、とりあえず、髪型とか服を真似してみるとか?」
怜雄「それじゃ、ただのコスプレだろ」
魁人「……」
怜雄「……」
魁人「どうすりゃいいんだ?」
怜雄「サブローは漫画のキャラクターだからな。参考にするっていうのはちょっと難しいかもな」
魁人「ならどうする?」
怜雄「とりあえず、現実の大人を参考にすりゃいいんじゃねーか?」
魁人「なるほど。それなら、真似しやすそうだ」
怜雄「じゃあ、わかりやすく、親父の行動を考えてみるか」
魁人「いつも仕事してる」
怜雄「疲れた顔をしてる」
魁人「日曜なのに呼び出されてる」
怜雄「休みの日はゴロゴロしてる」
魁人「で、母ちゃんに怒られてる」
怜雄「家ではえばってるのに、上司にはヘコヘコしてる」
魁人「小遣いが少ないって愚痴ってる」
怜雄「それなのに、なぜか新作のゲーム買ってる」
魁人「俺には一日2時間までだって言ってるくせに、自分はゲームで徹夜する」
怜雄「肩凝ったとかうるさい」
魁人「腰痛いとか言ってる」
怜雄「いびきうるさい」
魁人「屁が臭い」
怜雄「足臭い」
魁人「腹出てる」
怜雄「髪が薄くなり始めてる」
魁人「酔ったらウザい」
怜雄「次の日に二日酔いでフラフラしてる」
魁人「……」
怜雄「……」
魁人「……いいことなさそうだな」
怜雄「そうだな」
魁人「大人になりたくないな」
怜雄「……だな」
魁人「……よし! 青春を楽しもう!」
怜雄「それが一番だな」
終わり。