■概要
人数:2人
時間:3分
■ジャンル
ドラマ、舞台、現代、コメディ
■キャスト
日向(ひなた)
美月(みづき)
■台本
〇リビング
日向と美月は双子。
日向は正座をしていて、美月はそれを見下ろしているという構図。
美月が腕を組んで日向を睨んでいる。
日向「えっとね。こんな話があるんだ。ある国の王様がね、冷やしたクリームが大好物だったんだ。だから、いつもコックに、デザートして冷やしたクリームを出すように命令してたんだって」
美月「……」
日向「でも、あるとき、そのコックはクリームを冷やしている間、居眠りをしてしまったんだ。それで、クリームを冷やしすぎちゃったんだ。シャーベット状態だね」
美月「……」
日向「いざ、デザートのクリームを出そうと思ったときに、凍ったクリームに気づいたんだ。今更、クリームがないとは言えない。だから、そのコックはそのまま、凍ったクリームを出した。……で、それを食べた王様がこれは美味しいってなって、そこからアイスクリームが誕生したっていう話なんだ」
美月「ふーん」
日向「……」
美月「で? それが、あんたが私のアイスを食べた理由と何か関係あるの?」
美月が指差した方向には、空になったアイスの容器がある。
日向「えっとね、この話の教訓は失敗がなければ、アイスクリームは生まれなかったということなんだ」
美月「……」
日向「だ、だから僕がした失敗も、何かプラスになることがあるかもしれないでしょ?」
美月「あるわけないでしょ!」
スパーンと日向の頭を叩く美月。
〇日向の部屋
美月が正座をして、俯いている。
日向が絶望した表情でプルプルと震えている。
日向「……」
日向の視線の先には、首が取れたフィギュアが転がっている。
美月「あ、あのね。こんな話があるの。ある国の王様がね、冷やしたクリームが大好物だったんだって」
日向「黙れ!」
終わり。