鍵谷シナリオブログ

大人の特権

〈前の10枚シナリオへ〉   〈次の10枚シナリオへ〉 

〈声劇用の台本一覧へ〉

■概要
人数:4人
時間:3分

■ジャンル
ドラマ、漫画、現代、シリアス

■キャスト
健也(けんや)
母親
直輝(なおき)
真奈美(まなみ)

■台本

健也がゲームをしている。

健也「……よし、クリア! ようやく、ラストまで辿り着いたぞ。あともう少し……」

ガチャリとドアが開く。

母親「ちょっと! 健也、いつまで起きてるの! もう一時よ! 早く寝なさい!」

健也「あと、30分……。もうすぐクリアできるから」

母親「バカ言ってるんじゃないの!」

母親がズカズカと部屋に入って来て、リモコンでテレビを消す。

健也「あっ!」

母親「ほら、早く、歯みがいて寝なさい」

健也「……」

母親「なに? また、お小遣い、減らされたい?」

健也「……わかったよ」

立ち上がって、部屋を出て行く健也。

場面転換。

20年後。

直輝「へー。パパもそんなときがあったんだ?」

健也「ああ。あのときは、世の中はなんて理不尽なんだと思ったね」

直輝「それならさ、パパはわかってくれるよね? もう少しでクリアできるんだ」

健也「ダメだ」

直輝「えー、なんで!? パパは理不尽だって思ったんだよね? 僕にも、その理不尽を押し付ける気?」

健也「はあ……。お前は何もわかってない」

直輝「なにが?」

健也「パパがこの話をしたのは、お前の気持ちがわかるってことじゃないんだ」

直輝「どういうこと?」

健也「俺も我慢したんだから、お前も我慢しろってことだ」

直輝「えええーーー! 何それ!」

健也「何それ、じゃない! お前だけ、自由にゲーム出来たら、パパ、悔しいだろ。だから、お前はもう歯みがいて寝ること」

直輝「……」

健也「お小遣い、減らされたいか?」

直輝「……大人ってズルい!」

直輝が立ち上がって、歩いていく。

健也「はっはっは! そうなのだ。大人ってズルいのだよ」

健也が立ち上がる。

健也「さてと……」

ゲーム機から、ソフトを入れ替える。

新しいゲームのBGMが流れる。

健也「いやー。夜遅くまで自由にゲームができる。これぞ、大人の特権ってやつだな」

ゲームを始める健也。

健也「(鼻歌まじりでゲームをする)」

そこに、ツカツカと真奈美がやってきて、リモコンでテレビを消す。

健也「あっ!」

真奈美「あなたも明日、会社でしょ! 早く寝なさい」

健也「あー、いや……一時間だけ」

真奈美「お小遣い、減らして欲しいの?」

健也「……わかったよ」

健也が立ち上がって、洗面台へと向かう。

健也「……大人になっても、あんまり変わらないな……」

終わり。

〈前の10枚シナリオへ〉   〈次の10枚シナリオへ〉 


モバイルバージョンを終了