【長編シナリオ】人生オークション②
- 2018.08.04
- シナリオ本編
○ 同・裕介の部屋内 ベッドで寝ている裕介。 ベッドの横には小さな段ボールがある。 インターフォンが鳴り、起きて玄関に出ていく裕介。 配達員「オークションの者です。出展品を回収しに来ました」 裕介「ああ、ちょっと待ってください」 裕介がベッドの横の段ボールを持って、配達員に渡す。 配達員「(受け取って)思い出の品はこれで全部ですか?」 裕介「はい。紛失してるのも多いけど、手元にあるのは、これで全 […]
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○ 同・裕介の部屋内 ベッドで寝ている裕介。 ベッドの横には小さな段ボールがある。 インターフォンが鳴り、起きて玄関に出ていく裕介。 配達員「オークションの者です。出展品を回収しに来ました」 裕介「ああ、ちょっと待ってください」 裕介がベッドの横の段ボールを持って、配達員に渡す。 配達員「(受け取って)思い出の品はこれで全部ですか?」 裕介「はい。紛失してるのも多いけど、手元にあるのは、これで全 […]
○ 駅前・時計台の下 桜井望(27)がポツンと立っている。 時計は『十一時三十五分』を差している。 そこに三田村裕介(28)がやってくる。 裕介「望、まだいたんだ?」 望「……連絡、なかったから」 裕介「ふーん。ま、いいや。じゃあ、行くか」 裕介が歩き出し、桜井が横に並ぶ。 桜井が手を繋ごうとしてするが、裕介が振り払う。 裕介「そういうの、なんか鬱陶しいから嫌なんだよね」 ○ パソコンの画面内 […]
○ 倉庫内 柊「あれはきっとその時の記憶を見られたくなかったから……」 隼人「お前! さっきから記憶がどうとか、何言ってるんだ! 寝不足で頭おかしくなっちまったんだろ?」 柊「検案書。隼人は言っていたよね? 偽造された形跡があるって。……そう。偽装されてたんだ。本当は絞殺だったのが自殺に……ね」 隼人「お前……まさか、病院に忍びこんで……」 柊「御厨先生に直接聞いたよ」 隼人「なっ!」 祥「あな […]
○ 同 机の上の時計は、十三時を差している。 ソファーの上で、祥が眠っている。 柊が恐る恐る、祥に触れる。 フラッシュバック。 ○ 柊の部屋の前(祥の記憶) 外では激しい雨が降っている。 柊の部屋の前に祥が立っている。 隼人の声「父さん! どうしよう、俺……」 祥がドアに耳を当てる。 隼人の声「うん……。わかった。すぐに用意するよ」 祥がドアから離れる。 同時にドアが開き、隼人が慌てた様子で雨 […]
○ 同・医療相談室 柊と隼人が向かい合わせに座っている。 テーブルの上には複数の書類と、その脇には、先ほど隼人が持っていた封筒が置いてある。 隼人「実乃里の検案、うちでやっただろ? もう一回、あの資料、調べ直してみたんだ」 柊「自殺以外には考えられないって話だったんだよね?」 隼人「警察はその結果を元に、自殺って断定した。けど、そもそも、その検案書が偽造されていれば、話は根底から覆る」 柊「そん […]
○ バー(相良の回想) オシャレな雰囲気のお店。 男と女、それぞれ四人がテーブル席に座っている。その中には祥と相良がいる。 祥は他の女と話している。 相良と話している男は大分酔った様子。 祥の友人「ああ。あの日ね。よく覚えてるよ。ゼミの教授がさ、その年で退職になるっていうから、俺たちで慰労会を計画したんだよ。すげーお世話になった教授だからさ。けど、あいつ、当日、ブッチしやがったんだよ。したら、教 […]
○ 化粧品開発会社『white snow』外観 デザイン性の高い看板に『white snow』と書かれている。 ○ 同・応接室 高そうなソファーに、そわそわしながら座る隼人と、辺りを見渡す柊。 部屋には高級品が並んでいる。 机、絵画、テーブル等。 祥が入ってくると同時に隼人と柊が立つ。 祥「どうも。菱川祥です」 祥が柊と隼人と握手し、座るように促す。 祥と向かい合わせで座る柊と隼人。 祥「で? […]
○ 柊の部屋 ベッドの上で眠いる天羽実乃里(20)。 スーツ姿の八神柊(21)が入ってくる。 実乃里の顔を見る柊。 寝顔は穏やか。 目を閉じ、実乃里の額に手を振れる。 フラッシュバック。 ○ 喫茶店(実乃里の記憶) 本を微笑みながら読んでいる柊。 少し離れたテーブルに実乃里と相良美鈴(20)が向かい合わせに座っている。 柊の様子に見惚れている実乃里。 美鈴「ちょっと、実乃里、聞いてるの?」 実 […]
デリックと恭平が道を歩いている。 突如、恭平が立ち止まる。 デリック「(英語で)どうしたんですか?」 デリックにガス銃を向ける恭平。 デリック「(英語で)なんのつもりだい?」 恭平「悪いですが、一緒に来てもらいます」 デリック「(英語で)まいったな。通訳は連れてくればよかった」 そこへ智也と美香が現れる。 美香「(英語で)心配ないですよ。アトラクションです」 智也「……お前、英語、話せたんだな」 […]
鈴虫と蛙の鳴く声が響いている。 智也「まさか、現れもしないとは思いませんでした」 和弘「今はお盆シーズンで学生たちが多いのにな。囮の場所はともかく、他の場所にまで一切現れないというのは、おかしいぞ」 智也「……そうですね。最悪、このまま奴らが現れなかった場合、どうなります?」 和弘「それは、本当に最悪のケースだな。まず、私は降格、もしくは他部署へ移動になるだろうな」 智也「自分たちも移動、良くて減 […]