シナリオ本編

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【シナリオブログ】龍は左手でサイを振る⑥

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〇 同 凛と龍鬼が向かい合っている。 二人の目の前には盆茣蓙(ぼんござ)があり、その上にサイコロとツボが乗っている。 龍鬼「では始めよう。ツボは好きなのを使っていい」 凛「私はこれで」 新兵衛が使っていた普通のツボを持ち上げる凛。 新兵衛「(心配そうに)凛さん……」 凛「黙って見とけっての」 龍鬼「では、俺から……」 龍鬼がツボを振る。 変則的な金属音が響く。 龍鬼「半か丁か?」 凛「グイチの丁」 […]

【シナリオブログ】龍は左手でサイを振る⑤

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〇 黒龍組賭場(元新兵衛の賭場) 賭場には大勢の客がいる。 目が血走っている客が多く、楽しんでいる客はいない。 龍鬼がツボをあげる。 龍鬼「グサンの丁」 大勢の客の悲痛な声があがる。 龍鬼「ふん(馬鹿にした笑み)」 その時、勢い良く戸が開く。 現れたのは、新兵衛と凛。 龍鬼「なんだ、小僧。ここはもうお前の賭場じゃないんだぞ」 新兵衛「それを取り返しに来ました」 奥から浩蔵がやってくる。 浩蔵「これ […]

【シナリオブログ】龍は左手でサイを振る④

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凛の回想。 賭場でツボを振る凛。 客たちが賭け金をはる。 凛(N)「娘は賭博にのめり込み始めた。最初は一座の為にと思ってやっていたが、いつの間にか、賭博、そのものが楽しくなっていったんだ」 凛がツボをあげると、大勢の客たちが悲痛な顔をして天井を仰ぐ。 それを見て、ニッと笑う凛。 ×     ×      × 凛「ある時、変わった客が来た。その客はその賭博師が欲しいと言ってきたんだ」 新兵衛「その人 […]

【シナリオブログ】龍は左手でサイを振る③

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〇 街 街の中の雰囲気は閑散としている。 その街中を歩く、凛と新兵衛。 凛「……随分としけた街だな。活気ってもんがねえ」 新兵衛「(苦笑して)昔は……父さんが生きていた時は活気のある街だったんですけど」 凛「……活気があったねえ」 閑散とした街を見渡す凛。 食べ物屋や宿屋の看板が多い。 凛「なあ、この街って、食いもん屋とか宿屋が多いよな」 新兵衛「はい。元々、この街は旅人や商人が多く訪れてましたか […]

【シナリオブログ】龍は左手でサイを振る②

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〇 同 新兵衛「丁!」 龍鬼がツボをあげるとサイコロの目は『一』と『四』。 龍鬼「(ニッと笑い)シッピンの半」 〇 同 スッと目を開く龍鬼。 龍鬼「ニゾロの丁」 新兵衛がツボをあげるとサイコロの目は二つとも『ニ』。 新兵衛「ニ……ニゾロの丁」 ×    ×     × 暗転 ×    ×     × 新兵衛「(顔面蒼白)……」 スッと目を開く龍鬼。 龍鬼「これで俺が当てれば、勝ちが決定するのだが… […]

【シナリオブログ】龍は左手でサイを振る①

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人物表 凛  (22)旅芸人 新兵衛(16)賭博師 龍鬼 (30)伝説のツボ振り師 浩蔵 (40)黒龍組の組長 源八 (48)町人 その他 ○  賭場 T「江戸時代。とある賭場」 一枚の畳の上に皿に乗った蝋燭と二つの小さなサイコロとツボが置いてある。 明かりが蝋燭だけのため、部屋は薄暗い。 着物を着た賭博師姿の凛(20)が黒い人影と向かい合って座っている。 向かいの人影は男だということはわかるが、 […]

【シナリオブログ】蒼天の星のように⑥

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32 長屋の外 条庵が夜空に浮かぶ月を眺めている。 そこに、忍びの格好をした男が素早く近寄ってくる。 男「条庵様……」 条庵「……おう、どうだった?」 男「こちらが、藩主様からの信書です」 条庵「……そうか、ご苦労だったな」 男「それでは、失礼します(走り去る)」 条庵「……いよいよか」 33 長屋の裏 腕を組んで、壁にもたれかかっている京四郎。 京四郎「……」 34 街(夜) 見張りが二人、立っ […]

【シナリオブログ】蒼天の星のように⑤

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30 街中(夜) 街の入り口に二人の町方同心が、見張りとして立っている。 そこに提灯を持った、別の二人の町方同心がやってくる。 同心3「お疲れ。交替だよ」 同心1「お、そんな時間か」 同心3「ほら、今井様からの命令書」 同心1「(受け取って)どれどれ、次の見張り場所は……と」 同心2「俺は、北側か」 同心1「俺は南だ」 同心1「じゃあ、ここは頼んだぜ」 同心3「ああ」 見張っていた同心が提灯を受け […]

【シナリオブログ】蒼天の星のように④

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24 街・往来 聞き込みをしている京四郎。 街娘「そうなの。南町の味噌屋さんの店主が身体壊してね、皆、阿片じゃないかって」 京四郎「いつからか、わかるか?」 街娘「結構前だと思う。半年くらい前かな」 京四郎「入手先は?」 街娘「うーん。そこまでは」 京四郎「そっか、邪魔したな」 京四郎が歩き出す。 街娘「たまには、ちゃんと店に顔出してね」 京四郎「(振り向かずに)そのうちな」 その脇を五歳ほどの女 […]

【シナリオブログ】蒼天の星のように③

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19 同・部屋の中 お銀、条庵、茂吉、喜助が集まっている。 京四郎だけが、離れたところで寝転がっている。 茂吉「今井の不正を探せって言われても……」 条庵「一度会ったことがあるが、ありゃ、変人だ。あれほどの堅物は見たことがない」 喜助「頭も切れるって話だぜ。そんな奴から証拠を掴むなんて無茶だ」 お銀「それでも、やるしかないでしょ」 茂吉「……そうっすね」 お銀「京四郎、あんたもこっちに来なさいよ」 […]

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