■概要
人数:2人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス
■キャスト
明(あきら) 小学1年生
未来(みく) 小学1年生
■台本
明(N)「未来は、ちょっと変な女の子だった。いつもボーっとしていて、何を考えているかわからない。だから、あんまり友達もいないみたいで、僕と一緒にいることが多かった。そして、未来には、もう一つ変なところがある」
未来「はい、明くん。おにぎり、半分こ」
明「ええ? いいよ。だって、それは未来のお弁当でしょ?」
未来「いいの。こんなにたくさん食べられないから。だから、半分、あげる」
明「……じゃ、じゃあ、いただきます」
未来「えへへへ」
場面転換。
未来「はい、明くん、ジュースも半分こ」
明「飲めないなら、家に持って帰ればいいんじゃない? フタしておけば、こぼれないし、大丈夫だよ」
未来「ううん。明くんにね、飲んで欲しいの。……いや、かな?」
明「嫌じゃないよ。……それじゃ、ジュース貰うね。ありがとう」
未来「えへへへ」
場面転換。
未来「明くん、見て! 見て! 新しい手袋、買って貰ったんだよ」
明「へー。可愛い手袋だね。暖かそうだし、よかったね」
未来「はい、明くん。手袋の片っぽ、あげる」
明「えええ! ダメだよ! だって、手袋の片っぽなくなったら、こっちの手が冷たくなっちゃうよ」
未来「大丈夫! だって、ほら!」
未来が明の手を握る。
未来「明くんと手を繋げば、暖かいもん」
明「でも……」
未来「お願い! 明くんに、片っぽ、持っててもらいたいの」
明「う、うん……。わかった。でも、返して欲しかったら、すぐに言ってね」
未来「大丈夫! えへへへ……」
明(N)「未来の変なところ。それは、なんでも、半分を僕に渡してくるところだ。なんでもかんでも、半分を他の人にあげるわけじゃないみたい。未来のおばさんに聞いたら、半分を渡すのは僕だけだって、言っていた。うーん。なんで、僕だけなんだろう? それに、どうして、半分を渡してくるんだろう?」
場面転換。
明「うーん……」
未来「どうしたの?」
明「ほら、学校で、将来の夢っていう、作文を書く宿題が出たでしょ? どうしようかなって思ってさ」
未来「明くんは、将来、何になりたいか、決まってないの?」
明「うん……。そうなんだよね。急に言われても、わかんないや」
未来「そうなんだ」
明「未来はどう? 作文、書けたの?」
未来「うん。すぐに書けたよ」
明「どんなこと書いたの?」
未来「……それじゃ、半分、いる?」
明「え? 作文のこと? ダメだよ! それは貰えないよ」
未来「どうして?」
明「どうしてって……」
未来「……」
明「だって、その作文は未来の将来だもん。僕の将来じゃないから、貰えないよ」
未来「……あ、そっか。私と同じじゃないかもしれないのか」
明「ねえ、ずっと聞きたいことがあるんだけど」
未来「なに?」
明「どうして、僕に、いつも半分くれるの?」
未来「……えっとね、明くんには、これからもずっと、未来の半分を貰って欲しいんだ」
明「……どういうこと?」
未来「あのね、大きくなったら、未来、明くんのお嫁さんになりたいの」
明「え?」
未来「お母さんがね、言ってたの。結婚は大好きな人に、人生の半分をあげるんだって。だから、未来の半分をあげたいの。……ダメ、かな?」
明「ダメだよ!」
未来「え?」
明「だって、結婚は大好きな人に、自分の半分を上げるんでしょ?」
未来「う、うん」
明「それなら、僕の半分を未来にあげないと! 僕、貰ってばかりだから、僕は結婚にならないよ」
未来「……あ、そっか」
明「今度から、僕の半分も、ちゃんと貰ってね」
未来「うん! えへへへ」
明(N)「この後からは、僕と未来は半分こにして、交換するようになった」
終わり。