鍵谷シナリオブログ

【声劇台本】サプライズ

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■概要
人数:3人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス

■キャスト
真夜(まや)
冬夜(とうや)
香織(かおり)

■台本

真夜、冬夜は5歳程度。

真夜「へー。冬夜くんの誕生日も今日なんだ?」

冬夜「うん。7月7日の七夕なんだ。真夜ちゃんと僕、名前も、や、が付いてるし、なんか似てるね」

真夜「うん、そうだね」

場面転換。

12年後。真夜は17歳。

真夜(N)「冬夜とは本当に気が合った。趣味も同じ天体観測だったし、チョコレートが大好きなところや、トマトが食べれないところ、目玉焼きはソース派で、猫が好きなのに猫アレルギーなところ。とにかく、共通点が多いというか、逆に違うところを探す方が大変なくらいだ。違うところでパッと思いつくのは、性別と顔、くらいかな。とにかく、それくらい似ているから、考え方や行動も似ているのも当然だ。だから、いつも私は冬夜と一緒に遊んでいた、というより、遊びに行くと、いつもそこに冬夜がいたという感じだった。考えてみると、いつも冬夜と一緒だった記憶しかない。でも、高校生にもなれば、なかなか、そうもいかない。一緒にいることはもちろん、しゃべることすらほとんどなくなっていた……」

場面転換。

香織「真夜?」

真夜「……」

香織「ねえ、真夜、聞いてる?」

真夜「あ、ごめん。ちょっと、ボーっとしてた」

香織「もう、あんたのこと話してたのに」

真夜「え? なになに?」

香織「ほら、もうすぐ七夕じゃない? 天体観測部としては、お祝いも兼ねて、観測会やらないとね、って話」

真夜「ふふ。部って、私と香織しかいないじゃん」

香織「いいのよ、名乗ったもん勝ちよ、こんなのは」

真夜「ははは。そうかもね」

香織「先生に許可貰っておかないとね」

真夜「……そっか。もう七夕かぁ」

真夜(N)「冬夜の誕生日……なんだよね」

香織「真夜?」

真夜「え? あ、ごめん」

香織「今日はなんだか、ボーっとしてることが多いけど、なんかあった?」

真夜「あー、いや……その。例えばさ、もし、香織に幼馴染の男の子がいたとして、最近、あんまり喋ってなくて、それで、その男の子の誕生日が近いってなったら、どうする?」

香織「……なんだ、冬夜くんのこと考えてたのか」

真夜「ちょっ! なんで、冬夜が出てくるのよ! 例えばって言ってるじゃない!」

香織「いやいやいや。何年、あんたの親友やってると思ってるのよ。それだけ具体的に言われたら、わかるって」

真夜「……どうしたらいいかな?」

香織「真夜はどうしたいの?」

真夜「……また一緒に星を見て、話したいな……」

香織「なるほど」

真夜「ねえ、サプライズとかしたら、どうかな?」

香織「え?」

真夜「ほら、誕生日にさ、呼び出して、プレゼントして、星を見るの。……誕生日って理由なら、誘いやすいかなって思ってさ」

香織「……」

真夜「引いちゃう……かな? いきなり呼び出したりなんかしたら」

香織「え? あ、ううん。ごめんごめん。いや、喜ぶと思うわよ、冬夜くん」

真夜「よ、喜んでくれるかな?」

香織「うん。絶対、喜んでくれるよ」

真夜「あとは、プレゼントだけど……何が良いかな?」

香織「私なんかより、よっぽど、真夜の方が詳しいんじゃない?」

真夜「昔はそうだったんだけどさ。今は自信ないなー」

香織「ホント、あんたらは似た者同士だね」

真夜「あ、そうだ! 望遠鏡!」

香織「……え?」

真夜「あいつの持ってるの、大分、古いのだからさ、新しいのプレゼントするっていうのはどうかな?」

香織「で、でも、結構、値段するんじゃないの?」

真夜「私、買い替えようって思って、お金貯めてたからさ、何とか買えると思う」

香織「そっか。……凄いね」

真夜「え? なにが?」

香織「ううん。何でもない。それじゃ、私、先生に屋上の使用申請出しておくね」

真夜「うん。ありがとう」

場面転換。

真夜(N)「そして、あっという間に、七夕の日がやってきた」

香織「それじゃ、7時に、冬夜くんを屋上に呼び出しておいたから、頑張ってね」

真夜「え? 香織、そこまでしてくれたの?」

香織「ま、まあね。ついでっていうか、元々そうだったっていうか、とにかく、今日は楽しんできなさい」

真夜「ありがとう、香織!」

真夜が走って行く。

場面転換。

ドアを開けて、屋上に出てくる真夜。

真夜「あと、30分しかない。早く準備しないと……」

冬夜「あれ? 真夜?」

真夜「え? どうして、冬夜がいるの? 7時って言ってたのに……」

冬夜「あー、しまった。早く来ることを考えてなかった……」

真夜「うう……。サプライズにしては締まらないけど……冬夜、誕生日おめでとう! これ、プレゼント!」

冬夜「え?」

真夜「天体望遠鏡。冬夜の大分、古くなってるでしょ? だから、その……新しいの欲しいかなって思って」

冬夜「……」

真夜「あれ? 迷惑だった?」

冬夜「いや、そうじゃなくって……。変わらないなって、思って」

真夜「どういうこと?」

冬夜「……真夜。誕生日おめでとう。これ、俺からのプレゼント」

真夜「え?」

冬夜「……天体望遠鏡。お前の持ってるの、古いだろ? そろそろ新しいの欲しいだろうって思って」

真夜「え? え? え? ちょ、ちょっと待って! なんで、冬夜がプレゼント用意してるの? 今日は私が冬夜へのサプライズだったんだけど」

冬夜「ぷっ! あはははははは!」

真夜「冬夜?」

冬夜「実は、俺、今回の真夜の誕生日に何かサプライズしたいって、香織さんに相談したんだよね」

真夜「……えええ! ってことは、お互いが相手にサプライズしようって思ったってこと?」

冬夜「そうみたい。……そっか。だから、香織さん、時々、意味深なこと言ってのか」

真夜「香織のやつ……」

冬夜「でもさ、安心した」

真夜「え?」

冬夜「同じようなこと考えるの、変わってないなって」

真夜「……そうだね」

冬夜「さてと、それじゃ、星でも見ようか。お互いのプレゼントで」

真夜「あはは。そうだね」

真夜(N)「冬夜とは本当に気が合った。趣味も同じ天体観測だったし、チョコレートが大好きなところや、トマトが食べれないところ、目玉焼きはソース派で、猫が好きなのに猫アレルギーなところ。……そして、同じ、七夕の日が誕生日。その日は、一晩中、星を見ながらたくさんおしゃべりをした。今まで一緒にいなかった時間を取り戻すように」

終わり。

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