■概要
主要人数:3人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
優馬(ゆうま)
拓海(たくみ)
啓太(けいた)
■台本
優馬(N)「古き良き時代。昔を懐かしんで使う言葉だ。現代のようにまだまだ、色々な技術が発展していなかった時代。不便ながらも工夫して遊んでいた。それが楽しかったいう記憶に刻まれ、懐かしく、羨ましく思ってしまうのだろう。レトロゲーム。密かにブームになっていたりする。これもまた、娯楽が少なかったときの、強烈な楽しいという思い出に引っ張られて、ついやりたくなってしまう。俺にも、もちろん、レトロゲームに関しての思いではある。……今回は、レトロゲームのあるあるを交えて、一つの思い出話をしようと思う。……これはクリアのために、仲間が一丸となってゲームに挑んだ絆の物語だ」
場面転換。
優馬、拓海ともに14歳。
優馬が部屋でゲームをしている。
バタバタと階段を駆け上がってくる音。
そして、勢いよくドアが開かれる。
拓海「優馬! ゲーム機貸してくれ!」
優馬「拓海、お前、なに勝手に人ん家に上がってきてるんだよ。いつも、チャイム押せって言ってるだろ」
拓海「ごめんごめん。それより、優馬、俺はついに手に入れたんだ! このゲームソフトを!」
優馬「……本体持ってないのに、ソフト買うなよ。俺の本体をアテにするのを止めろ」
拓海「ふっふーん。果たして、俺が買ったこのゲームを見て、同じセリフを吐けるかな」
優馬「もったいぶらずにさっさと出せ」
拓海「じゃじゃーん! 見よ! 『桃尻娘』だ!」
優馬「なっ!」
優馬・ナレーション「レトロゲームあるある、その一。昔は規制が緩かったので、結構、ストレートな言葉が許されていた」
優馬「お、おま、これって!」
拓海「脱衣、アクションゲームだ!」
優馬「でかした! やるぞやるぞ!」
拓海「おう!」
カセットを入れて電源を入れる。
軽快な音楽が流れる。
優馬「おおおお! こ、この可愛い子がホントに脱ぐのか?」
拓海「もちの、ろんだ! 一面をクリアするごとにドンドン脱いでいくって、代物だ」
優馬「よし、さっそくゲーム開始だ」
ゲームが開始され、BGMが流れる。
優馬「……」
拓海「……」
優馬「これ、どうやったらクリアなんだ?」
拓海「さあ……?」
優馬・ナレーション「レトロゲームあるある、その2。中古で買うと説明書が無い。そして、説明書がないと、やり方がまったくわからない」
優馬「と、とにかく、適当に動かしてみるしかねえ」
拓海「そ、そうだな」
場面転換。
優馬「……お? なんか、敵が鍵を落としたぞ」
拓海「ああ、それで、あそこのドアを開けるんじゃねーか?」
優馬「なるほどな……。お! ビンゴだ」
クリア音が鳴る。
拓海「よし、クリアだ! 来るぞ」
優馬「ごくり」
色っぽいゲームの音楽が流れる。
優馬「なんだよ、セーターだけかよ」
拓海「まだ一面だからな」
優馬「それにしても一面クリアするのに2時間かかったぞ」
拓海「まあ、やりかた分かったから、ドンドン行こうぜ」
優馬「おう」
ピコピコとゲームを操作する音。
破壊音が響く。
優馬「うわ! 死んだ」
拓海「今のやべーだろ。人間の反射神経じゃ対応できねーって」
優馬・ナレーション「レトロゲームあるある、その3。難易度が鬼」
優馬「あー、くそ! こんなん、ぜってー無理だって!」
拓海「こりゃ、俺たちだけじゃ無理だ。……啓太、呼んでくる」
拓海が部屋を出ていく。
場面転換。
バンとドアが開く。
啓太「おい! エロゲーが手に入ったってホントか?」
優馬「待ってたぞ、啓太。このゲーム、無理ゲーっぽい」
啓太「任せろ!」
ゲーム音が流れる。
拓海「お、おお! 抜けた!」
優馬「すげー!」
啓太「パターンさえ読めれば、こんな程度、どうってことない!」
拓海「よっしゃー! クリアだ!」
優馬「よし! 来たぞ!」
啓太「……」
拓海「……」
優馬「……」
色っぽいゲームの音楽が流れる。
優馬「うおお! よし、次は3面だ、3面!」
啓太「任せろ!」
場面転換。
ゲーム音が響いている。
優馬「……なんだこりゃ?」
啓太「9面から急に鍵が出なくなったぞ」
拓海「なんでだよ? 意味わかんねーよ」
優馬「こんなん、詐欺だろ!」
優馬・ナレーション「レトロゲームあるある、その4。突然、攻略法がわからなくなり、詰む」
啓太「くそ、とりあえず、色々試すしかねえ。お前らも、画面見ながら怪しそうなところがあったら、言ってくれ」
優馬「お、おう!」
拓海「ああ、悪かった。絶対にみんなでクリアしよう」
場面転換。
拓海「あーーー! わかった! ここ、正しい道順で通らないとループしてる」
優馬「マジかよ……」
啓太「ノーヒントじゃ無理だろ、これ」
優馬・ナレーション「レトロゲームあるある、その5。攻略法が理不尽、かつヒントが無い」
啓太「ふん。だが、ネタがわかれば、こっちのもんだ。いくぜ!」
ゲーム音が響く。
拓海「よっしゃー! クリアだ!」
色っぽいゲームの音楽が流れる。
優馬・拓海・圭太「……ごくり」
色っぽいゲームの音楽が流れる。
優馬「よし、よし、よし! 次はついに下着だ! いけ! 啓太」
啓太「任せろ!」
ゲーム音が響く。
すぐに破壊音が響く。
啓太「くそ、急に難易度が上がったぞ」
優馬「だ、大丈夫なのか?」
啓太「まあ、見てろって。コンテニューしまくって、パターンを全て洗い出して、攻略法を見つける」
拓海「さすが啓太だ。頼りになるな」
場面転換。
ゲーム音が響く。
優馬「いけー!」
啓太「うおおおおおお!」
拓海「きたーーー! クリアだー!」
優馬「いよっしゃーーー!」
啓太「う、うう……ついに、ついに俺たちはやり遂げたんだ!」
優馬「ついに下着だ! 下着を脱ぐはずだ」
拓海「……」
啓太「……あれ? 画面真っ暗のままだぞ」
優馬「き、きっと、読み込んでる途中なんだよ。諦めるな。信じて待とうぜ」
拓海「そ、そうだな」
啓太「あ、画面が切り替わった!」
優馬・拓海・啓太「……ごくり」
ゲーム音が鳴り響く。
優馬「……え?」
拓海「お、おい、一面に戻ったぞ」
優馬・ナレーション「レトロゲームあるある、その6。エンディングが無く、面がループする」
優馬「こ、こんなのってないだろ」
拓海「う、うう……」
啓太「ふーざーけーるーなー!」
優馬(N)「古き良き時代。そんな昔を思い出して、レトロゲームをしてみるのはどうだろうか?」
終わり。