■概要
人数:2人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス
■キャスト
美夜(みや)
昴(すばる)
■台本
美夜(N)「昴は嘘が下手だ」
昴「寝坊したわけじゃないんだよ! えっとね、そう、目覚まし時計が壊れてたの。あー、いや、電池切れかな」
美夜(N)「嘘が下手というか、言い訳が下手だ。でも、そんな昴が、私は好きだ」
場面転換。
昴「ねえ、美夜ちゃん。来月の5日って誕生日だよね?」
美夜「うん、そうだよ。よく覚えてたね。もしかして、気にしてくれてた?」
昴「え? あー、うん。まあ、たまたま思い出したんだけどね。それに、ほら、前に誕生日忘れてたら、美夜ちゃん怒ったでしょ?」
美夜「そうだっけ?」
昴「そうだよ。忘れたの?」
美夜「あー、もしかして、サプライズをしようとして、昴が忘れてたフリしてたときのこと?」
昴「う、そのことは忘れて欲しいんだけど」
美夜「ふふ。でも、覚えててくれて、ありがと。嬉しいよ」
昴「え? あ、うん。……えへへ」
美夜「それで? 誕生日だけど、どうかしたの? もしかして、また何かサプライズ的なこと用意してくれてるとか?」
昴「えー、いや、その……あの……ち、違うよ。えっと、ほら、何してるかなって」
美夜「そっかー。期待してたんだけど、残念だな―」
昴「き、期待してくれてたんだ……。あ、あのさ、念のためだけど、誕生日の日って、何か予定ってある?」
美夜「……うん、あるよ」
昴「え!?」
美夜「あったら、ダメ?」
昴「いや、その、ダメじゃないけど……。ほら、去年とかもなかったから。でも、ホントに予定あるの? 誰と?」
美夜「嘘だよ」
昴「え?」
美夜「……ホッとした?」
昴「うん……。じゃなくて、そんなことないよ。別に気にしてないし」
美夜「そっか……。気にしてくれないんだ? ちょっとガッカリ」
昴「え!?」
美夜「気にしてくれてると思ったのになぁ」
昴「……え、えっと……」
美夜「ごめんね。我がまま言っちゃって」
昴「いや、そんなことないよ!」
美夜(N)「ついつい、からかってしまうのは悪い癖だと思う。だけど、こうやって昴の本音を聞くことはどうしても止められないのだ」
場面転換。
美夜「ねえ、昴。今度の日曜日って予定ある?」
昴「あ、うん。日曜はちょっと……」
美夜「え? あるの?」
昴「う、うん……」
美夜「あー、もしかして、女の子と出かける、とか?」
昴「え? いや、その、ち、違うよ! そんなわけないって! えっとほら、その……お母さんとだよ! あと、おばあちゃんと」
美夜「……」
昴「ホントだからね!」
美夜「そっか……。お母さんとおばあちゃんとの約束なら仕方ないね」
昴「う、うん。ご、ごめんね……」
美夜(N)「下手な言い訳……。これは絶対に女の子と出かけるんだ。まさか、昴が……。でも、別に私と付き合ってるわけじゃないんだから、私には文句を言う権利はない。でも……。でも、どんな人なんだろう?」
場面転換。
昴「あ、明美ちゃん、お待たせ。行こうか」
美夜「……」
美夜「明美さん。クラス委員長で、男女隔てなく明るく接する子だ。男子にも結構人気があるって聞いたことがある。……それにしても、まさか昴と……」
場面転換。
昴「ここなんだけど……」
美夜「……」
美夜(N)「アクセサリー店に入ってった。……二人ともすごく楽しそう」
美夜「はあ……。私、何やってんだろ。未練がましく二人の後をつけるなんて……。最低だな。帰ろうっと……」
自動ドアが開く音。
昴「あ……美夜ちゃん」
美夜「昴……。やっぱり、デートだったんだ?」
昴「えっと、これはその……」
美夜「二人は付き合ってるの?」
昴「……」
美夜(N)「嘘だよね? お願い、言い訳して」
昴「……ごめん」
美夜(N)「どうして? どうして言い訳してくれないの? ……ということは、やっぱり、付き合ってるっていうのはホントなんだね……」
昴「実は明美ちゃんに美夜ちゃんへのプレゼント、なにがいいか相談にのってもらってたんだ」
美夜「え?」
昴「美夜ちゃんにサプライズしたくって……」
美夜「ホントに?」
昴「うん……」
美夜「よかった……」
昴「え?」
美夜「でも、そこまでして、私を喜ばせたかったってこと?」
昴「いや、そうじゃなくって、これは、サプライズを求められたことに対して、応えるのが当然っていうか……」
美夜(N)「昴は嘘が下手だ。……そして、言い訳も下手だ。でも、そんな昴が、私は好きなのだ」
終わり。