■概要
人数:2人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
雅人(まさひと)
仁志(ひとし)
■台本
ゲームの音。
雅人「……」
コントローラを放り投げる雅人。
雅人「はあ、ゲームも飽きたな……」
ゴロンと寝転がる。
雅人「腹減ったけど、作るのも買いに行くのもめんどいな……」
そのとき、ガチャっとドアが開き、仁志が入って来る。
仁志「よお、久しぶり」
雅人「あれ? おじさん? どうしたの?」
仁志「ああ、ちょっと近くを通ったからついでにな」
雅人「そんなこと言って、母さんに頼まれたんじゃないの?」
仁志「はは。さっそく、見破られたか」
雅人「言っとくけど、働けって言っても意味ないよ。そんなんで働けるなら、とっくに働いてるから」
仁志「まあ、な。姉さんも、どうしたものかって悩んでるぞ」
雅人「……」
仁志「なあ。どうして働くのが嫌なんだ?」
雅人「嫌じゃない人なんていないって」
仁志「そんなことないさ。おじさんは、仕事、楽しいぞ!」
雅人「そりゃ、おじさんは、好きなことを仕事にしてるからでしょ」
仁志「じゃあ、お前も好きなことを仕事にすればいいじゃないか」
雅人「それができれば、とっくにやってるよ」
仁志「なんでできないんだ?」
雅人「……だって、俺の好きなことなんて、お金にならないし」
仁志「何が好きなんだ?」
雅人「え? えーっと……。ゲーム……かな」
仁志「今は、ゲームプレイヤーだってプロがあるだろ」
雅人「プロゲーマーなんて無理だよ、無理」
仁志「なんで、無理なんだ?」
雅人「え? だって。プロほど上手くないし」
仁志「練習すればいいだろ」
雅人「……いや、そこまで才能ないから。趣味でやってるくらいだからさ」
仁志「ふーん。今はゲームプレイを動画にしてアップすれば、お金だって稼げるだろ」
雅人「……いや、編集できないからさ」
仁志「できる人に依頼すればいいだろ」
雅人「……お、お金ないし」
仁志「貸してやるぞ」
雅人「……あー、いや、あのさ。実はゲームはもう辞めようと思ってたんだ」
仁志「なんでだ?」
雅人「えっと、ゲームを辞めてちゃんとした生活をしようと思って」
仁志「ちゃんとした生活って、どんなのだ?」
雅人「えっと、あの……。とにかく、ゲームは辞めたから仕事にはできないよ」
仁志「じゃあ、他に好きなことはないのか?」
雅人「うーん……。漫画とかラノベ読むことかな」
仁志「なら、レビューでも書いたらどうなんだ?」
雅人「前にやったよ。でもね、誰も読んでくれないから止めた」
仁志「どのくらいの数のレビューを書いたんだ?」
雅人「え? どのくらいだったかな……。10個以上は書いたよ」
仁志「100以上は書かないとダメだ」
雅人「100? そんなの無理だよ! 無理無理! 絶対無理!」
仁志「そんなことはないさ。お前にだってできる」
雅人「……いや、100個なんて無理だって」
仁志「じゃあ、一日に1つ書くことはできないか?」
雅人「え? まあ、一日に1つくらいならできそうかな」
仁志「なら、それを100日続ければいい」
雅人「いや、簡単に言うけど……」
仁志「おじさんもな。お前と同じころはニートをしてたんだ。でもな、ネットビジネスを本当に少しずつやってたんだ」
雅人「……」
仁志「最初の1年は全然、お金を稼げなかった。でもな。1年を過ぎた頃から、少しずつ売り上げが上がっていって、今では、年収3000万だ」
雅人「3000万……」
仁志「ダメ元でやってみないか? おじさんも手伝ってやる」
雅人「ホント?」
仁志「ああ。ホントだ」
雅人「俺、頑張れるかな?」
仁志「そんなに肩ひじ張って考えなくていんだ。毎日、毎日、ほんの少しだけやればいいんだ。そうだな。毎日1時間くらいでいいから、やってみないか?」
雅人「1時間か……。それなら、俺でもできそう」
仁志「だろ? きっと、2、3年後にはお前の人生は変わってるはずさ」
雅人「おじさん……。俺、心を入れ替えて、頑張ってみるよ!」
仁志「ああ! その域だ!」
雅人「明日から、頑張る!」
仁志「……ダメだ、こりゃ」
終わり。