■概要
人数:4人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
雅也(まさや)
武志(たけし)
和美(かずみ)
司会
■台本
ガチャリとドアが開く音。
雅也「武志―! 遊びに来たぞー」
武志「あ、ああ。雅也か」
和美「いらっしゃい、雅也くん」
雅也「……二人とも、何してるの?」
武志「和姉に頼まれて、調べもの」
雅也「調べもの?」
和美「喉を良くする方法を調べてるのよ」
雅也「……喉がどうかしたの?」
和美「ほら、私の声、ちょっとおかしいでしょ?」
雅也「え? ガラガラしてるのはいつも通りじゃない?」
バン! と壁を叩く音。
和美「え? なんて言ったのかな? 私の声がガラガラしてるのは普通だって?」
雅也「あ、いや……その……」
武志「すまん、雅也。ここは話を合わせてくれ」
雅也「ご、ご、ごめんなさい。なんか、声がおかしいですね」
和美「でしょ? 恥ずかしいから、何とかしないといけないのよ」
雅也「……武志、どういうこと?」
武志「和姉、明日、婚活パーティなんだよ」
雅也「……ああ。また。懲りないね」
武志「なかなかうまくいかないのは、ガラガラの声が原因じゃないかって言いだしてさ」
雅也「うーん。確かに、お酒で喉がガラガラなのは、印象悪いよね。でも、それって、単にお酒を止めればいいんじゃないの?」
武志「昨日、俺もそう言ったんだけどさ、そう簡単に止めれたら苦労はない! って言って、酔っぱらった和姉に殴られたよ」
雅也「……苦労してんな」
和美「ねえ、雅也君」
雅也「は、はいー!」
和美「チョーク買って来てくれるかな?」
雅也「……チョーク? なんで?」
和美「見て、ほら! チョークを食べると、ガラガラだった声が美声になるって書いてるのよ!」
雅也「あれ? 和美さん、酔っぱらってる?」
武志「いや、テンパり過ぎておかしくなってるだけだと思う」
雅也「和美さん、それは童話の話だから、やらない方がいいと思うよ」
和美「え? そうなの?」
雅也「えーっと、喉にいいものって言えば、はちみつがいいって、聞いたことがあるけど」
和美「はちみつ? 確か、あったはず! 武志、持ってきて!」
武志「はいはい……」
場面転換。
和美「ららららー! どう?」
雅也「……」
武志「……」
和美「どう?」
雅也「あ、いや、うん。すごくよくなったよ、ね? 武志」
武志「……ああ、うん。すっごい、美声になったよ」
和美「うふふふ! これで明日の婚活はばっちしね! この美声があれば、秘策も成功間違いなしよ!」
雅也「秘策?」
和美「ふふふふ。それは、明日までの、ひ、み、つ!」
場面転換。
ガヤガヤと賑わう会場内。
雅也「ねえ、武志」
武志「なんだ?」
雅也「なんで、俺達、婚活会場を覗き見しないとならないんだ?」
武志「……和姉が、気になった男が、他の女の人と仲良く話してないかを確認しろっていうからさ……」
雅也「……」
司会「みなさん、お静かにお願いします。それではこれから婚活パーティを始めます。それではお一人ずつ来ていただいて、向き合ってください」
武志「お、始まったみたいだぞ」
和美「……すーはー。落ち着いて。大丈夫。今日こそ、決めてみせるわ」
司会「座ったら、席にあるパソコンのチャットのソフトを起動させてください。そのチャットは向こうの相手とのツーショットのチャットになります」
雅也「ん? 向かい合ってるのに、チャットでやり取りするのか? なんで?」
司会「最近、色々と、問題になっているウィルス対策です。ご協力お願いします」
武志「……じゃあ、直接、話さないってことか? 昨日の俺が殴られた意味とは……?」
雅也「大丈夫だよ。和美さん、秘策があるって言ってたからさ。きっと、昨日のことも役に立つよ」
和美「……直接、話せないのは想定外だったけど、私には秘策がある! いくわよ! 美声を活かした、悩殺ウィンク!」
バチンという音。
雅也・武志「美声、関係ねーー!」
終わり。