鍵谷シナリオブログ

【フリー台本】負けられない戦い2

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■概要
人数:4人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
太一(たいち)
友也(ともや)
校長
教頭

■台本

太一(N)「男には負けられない戦いがある。男と男の意地の張り合い。他の人から見たらくだらないと思うかもしれない。でも、これは僕にとっては重要なことなんだ」

場面転換。

ミーン、ミーン、ミーンとセミの鳴く声。

校長「えー、今日は大変、天気に恵まれたようで、これは神様が応援してくれているということで……」

太一「……ふう」

友也「おい、太一、どうした青い顔して。もうビビッてるのか?」

太一「は? 何言ってるの、友也。なんで、僕がビビらなきゃならないのさ」

友也「俺に負けるから」

太一「ははは。暑くて夢と現実の区別がついてないんじゃない?」

友也「言っておくけど、今回、俺、めちゃめちゃ自信あるから」

太一「ふーん。でも、勝つのは僕だから」

友也「へっ! 言ってろ。あとで、ほえ面かかせてやるよ」

太一「いいの? そんなこと言って。それ、完全にフラグだよ」

友也「けっ!」

ドサッと人が倒れる音。

校長「いいですか? 今日という日は二度とこないのです。だからこそ、毎日を後悔なく過ごす必要があるのです」

太一「友也。足震えてるけど、大丈夫? 負けを認めるなら許してあげるけど」

友也「はは。そりゃお前だろ。もう限界だから、負けてくれって頼んでるんだろ?」

太一「……どうなっても知らないよ」

友也「だから、こっちの台詞だっての」

ドサっと人が倒れる音。

ミーン、ミーン、ミーンとセミの鳴く声。

校長「だからして、この一瞬の勝負というのは、心の火花を散らせるということです。その火花は目に見えることはありません。ですが、ちゃんと見ている人には届くのです!」

太一「ふう……暑いな」

友也「お前さ、ちゃんと水分とったのか? 脱水症状になるぞ」

太一「……あっ!」

友也「あははは。やっぱ、お前はダメダメだな。俺なんかさ、ちゃんと準備してたもんね。始まる前に2リットルの水を飲んでたんだ」

太一「……でもさ、それって、逆にトイレに行きたくならない?」

友也「……あっ!」

太一「漏らさないでよ。さすがに引くから」

友也「だれが漏らすかよ。それより、お前、倒れて救急車とか呼ぶことになるとか勘弁しろよ。冷めるから」

太一「何言ってんの。そもそも倒れないし」

ドサっと人が倒れる音。

ミーン、ミーン、ミーンとセミの鳴く声。

校長「そうです! この猛烈な暑さの中でこそ、その人の真価が問われるのです! 暑さに負けてはいけません! 全力で尽くす、それこそが運動会の醍醐味なのです」

太一「はあ、はあ、はあ……」

友也「ギブアップしろよ。そろそろ限外だろ? 立ってるのもやっとって感じだぞ」

太一「そんなこといって、友也だって、トイレ行きたいんでしょ? そんなにモジモジしてさ」

友也「くっ! んなことねーし! 全然余裕だから」

ドサッと人が倒れる音。

校長「えー、そんな子供たちの熱い戦いを両親に見ていただくためにも……」

友也「くそ! 限界だー」

友也が小走りで走り去っていく。

太一「はあ、はあ、はあ……」

校長「で、あるからして」

教頭「校長、そろそろお話を切り上げていただかないと……。運動会が始まる前に生徒たちが全滅してしまいます」

校長「おっとそうか。ついつい、熱くなると話が長くなってしまうな。ごほん! それでは、運動会を開始いたします!」

太一「はあ、はあ、はあ……。やっと校長の話が終わった。勝ったぞ! 友也に勝った……」

どさっと太一が倒れる音。

終わり。

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