鍵谷シナリオブログ

【フリー台本】トレジャーハンター

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、中世ファンタジー、シリアス

■キャスト
ジーク
ロイド
ゼフ
ルイ
ルーク
その他

■台本

ジーク(N)「世界には様々なお宝が眠っている。そのお宝を手に入れるのを夢見て、海に繰り出す。……それを人々はトレジャーハンターと呼んでいる」

ロンド「ジーク。ホントにいいんだな? 生きて帰れないかもしれないぞ」

ジーク「こっちの台詞だ、ロンド。ミーナちゃんのことはいいのか? 誰かに取られちまうぞ」

ロンド「……ミーナの為に、俺は海に出るんだ。ガッツリお宝を見つけて、帰って来る!」

ジーク「はいはい。じゃあ、行くぞ!」

ジーク(N)「こうして、俺とロンドの2人旅が始まった」

場面転換。

獣の咆哮と、逃げるジークとロンド。

ジーク「くそ、こんなところに、なんであんな化物がいるんだよ!」

ロンド「知るかよ! にしても、化物はいるのに、お宝は無しか。踏んだり蹴ったりだな」

獣の咆哮。

ジーク「うわーーー!」

ロンド「ジーク!」

ドンという銃声と獣が倒れる音。

ジーク「え? あれ? なんだ?」

ロンド「……化物が倒れた?」

ゼフ「へへっ! 危ない所だったな」

ジーク「お前が撃ってくれたのか。ありがとう。助かったよ」

ゼフ「じゃあ、金」

ジーク「へ?」

ゼフ「金だよ、金。タダで命を救う訳ないだろ」

ロンド「実は、俺達、文無しなんだ」

ゼフ「へ?」

ジーク「俺達、トレジャーハンターなんだ。お宝を見つけたら、払いに戻って来るよ」

ゼフ「そんなの、信じるわけないだろ。……よし、わかった。俺も付いてく」

ジーク「へ?」

ゼフ「お前らを助けた分はもちろん、見つけたお宝の分け前も寄越せよ」

ジーク「……べ、別にいいけどさ」

ジーク(N)「この件をきっかけに、俺たちの船には、様々な人間が30人以上集まってきた」

場面転換。

嵐の音。

ジーク「野郎ども! 絶対にこの堤防は死守しろよ! ここが決壊したら、町が飲み込まれるぞ」

男達の声「おう!」

場面転換。

女性1「本当にありがとうございました。おかげで町は助かりました」

ジーク「いえいえ、こっちこそ、宿を貸してくれて助かりました」

女性1「なにか、お礼をさせてください」

ジーク「いやあ、気にしないでください」

女性1「あの、どうか、この織物をもらってくれませんか? 町でできるお礼はこれくらいしかできないので……」

ジーク「いや、でも……」

ロンド「おい、ジーク。ここまでされて断る方が失礼だぞ」

ジーク「そ、そうか。ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきますね」

場面転換。

賑やかな町。

男性1「よお、旦那! 随分と変わった織物の服だな」

ジーク「ん? ああ、これはずーっと東の方にある島の村でもらったんだ」

男性1「なあ、もっとその織物ないかい? 金貨1枚で売ってくれないか?」

ジーク「ええ? そ、そんなに?」

場面転換。

ジーク「……すまんな、ルーク。こんなことを頼むなんて」

ルーク「いいんですよ。というより、元々、商人を目指してたんですから。お礼を言いたいくらいです」

ロイド「じゃあ、あの町との交易、お前に任せたぞ」

ロイ「任せてください」

場面転換。

海の上での嵐。

ジーク「みんな! 町だ! 町が見えたぞ! もう少しだ、頑張れ!」

場面転換。

町中。

ロイド「ふう。今回の航海もヤバかったな」

ジーク「ああ。しばらく、この町で休もう。今回も目ぼしい宝も見当たらなかったし、みんなのモチベーションの低くなってる」

ロイド「……そんなこと言って、お前、ここで少し働くつもりだろ?」

ジーク「しょうがないだろ。宝が見当たらなかったんだから」

ロイド「ったく。お前は何でもかんでも一人で背負い過ぎだ。俺も、働くよ」

ジーク「ロイド……」

場面転換。

ルイ「……船長。すいません。俺、この町に残ろうと思います」

ジーク「うん。ジーナさんを幸せにしろよ」

ルイ「え? なんで、それを?」

ロイド「気づいてないと思ったのか? ま、気にすんな。お前の分の夢もしっかり背負ってやるよ」

ルイ「……ありがとうざいます。お世話になりました」

場面転換。

ジーク「……お宝を探すために海に出て、15年か……」

ロイド「長いようで、短いよな」

ジーク「お前と2人で始めて、一時期は30人になって……気づいたら、結局、またお前と二人になっちまったな」

ロイド「……」

ジーク「15年で見つけた宝は、ほんの一握り程度だ。けどさ、俺はまだまだ諦めないぜ。絶対、すげえ宝を見つけてみせる」

ロイド「なあ、ジーク」

ジーク「ん?」

ロイド「……すまねえ」

ジーク「……。そろそろ、ちゃんとミーナちゃんを幸せにしてやれ」

ロイド「本当に、すまん」

ジーク「はは。すぐにすげえ宝見つけて、後悔させてやるよ」

ロイド「……ジーク。元気でな」

ジーク「ああ」

ジーク(N)「こうして、俺は一人になった」

場面転換。

ジークが歩く音。そして、立ち止まる。

ジーク「……ここも外れだったか」

場面転換。

町中。

親「おい、走るなよ、危ないぞ」

子供「パパ! 早く早くー!」

ジーク「……」

老人「なんだい、羨ましそうな顔をして。子供の顔でも見たくなったかい?」

ジーク「……いや、俺には子供はいないんだ。海が恋人だったんでね」

ジーク(N)「海に出てもう、30年。俺も随分と年を取った。でも、俺の手には何も残っていない。……この30年を無駄にしないためにも、絶対に宝を見つけてみせる」

場面転換。

海の上の嵐。

ジーク「くそ! もてよ! 沈むな!」

波が船を飲み込む。

ジーク「うわあああああ!」

場面転換。

病室。

ジーク「先生。俺の船は?」

医師「ジークさん。命が助かっただけでも幸運ですよ」

ジーク「……」

ジーク(N)「俺に残された最後のものも、無くなった……。結局、俺の30年は無駄だった。なにも手に入れることができなかった」

ジーク「……なんか、もう、疲れたな」

そのとき、病室に大勢の人たちが入って来る。

ロイド「よお、ジーク。やっぱり生きてたか」

ルイ「船長! 大丈夫ですか?」

ルーク「船長、心配しましたよ!」

ゼフ「ったく、俺がいないとやっぱり駄目だな、お前は」

ジーク「お前ら、どうしてここに……?」

ロイド「まあ、一応、お前の動向が気になっててな、情報を集めてたんだ」

ジーク「そうか……」

ロイド「なんだよ、落ち込んだ顔をして」

ジーク「今回の航海で船も失った。すまん。みんなの夢、もう背負う事ができなくなった」

ロイド「……なんだ、そんなことか」

ルーク「逆に、ちょうどいいんじゃないんですか?」

ゼフ「そうだな」

ジーク「え? ど、どういうことだ?」

ロイド「もう、海に出ないつもりなら、俺たちの会社を手伝え」

ジーク「会社?」

ロイド「ああ。俺達、元船員同士で集まって、運送会社を建てたんだ。お前と一緒に公開したルートを使ってな」

ジーク「……」

ロイド「けど、仕切る奴がいないんだ。だから、お前が社長として仕切れ」

ルーク「お願いします、船長」

ゼフ「お前しかできない」

ルイ「お願いします」

ロイド「……頼むよ、ジーク」

ジーク「……ありがとう」

ジーク(N)「俺の30年は無駄ではなかった。……宝を見つけることはできなかったけど……。仲間という宝以上の物を、俺は手に入れることができたんだ」

終わり。

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