■概要
人数:5人以上
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
公太(こうた)
孫八(まごはち)
母親
タレント
鑑定師×2
男×3
■台本
テレビ番組。
タレント「次の鑑定品は、こちら! 生休の皿です。どうですか、こちらの品?」
鑑定師「んー。素晴らしいですね。この生休の作品はあまり現存していません。これは300万はくだらないでしょう」
場面転換。
テレビを見ている公太。
公太「300万……。母さん! ねえ、母さん!」
母親「なによ、公太。大声出して」
公太「これ、テレビ見て。この皿、家にあるやつだよね?」
母親「あー、そうね。おじいちゃんのおじいちゃんが持ってたのを、引き継いでるって感じね」
公太「300万だって。どう? 売らない?」
母親「ダメよ。おじいちゃんのおじいちゃん……孫八って人は、どんなにお金を積まれても、絶対に売らなかったらしいわよ」
公太「え? そうなの?」
母親「きっと、お金よりも価値があるものだったんじゃないかしら。そういうことがわかる、素晴らしい人だったのよ」
公太「うーん。勿体ないなぁ。売れば大金持ちになれるのに」
母親「あんたは、少しはおじいちゃんのおじいちゃんを見習いなさい。物欲ばっかり強いんだから」
公太「でもなぁ……」
場面転換。
過去。約100年前。
孫八が10歳の頃。
孫八「ねえねえ、どう? どう?」
鑑定師2「おおー。こりゃ、生休の皿だな。随分といいものを手に入れたな、孫八」
孫八「高い?」
鑑定師2「ああ。ちょうど今、生休の作品は流行りだからな。状況によっては、かなりの儲けになるぞ」
孫八「マジで! よっしゃー!」
場面転換。
扉を開ける音。
男1「あのー。こちらに生休のお皿があると聞いたのですが」
孫八「はいはーい。こちらですよ」
男1「おおー。こりゃ本物だ! どうだい? 100円出すが?」
孫八「ええー! 100円も!? ……あー、いやいや。もうしわけありませんが、100円じゃ売れません」
男1「そうか。残念だなぁ」
扉を開けて、男が出ていく。
孫八「ふふふ。こりゃ、もう少し粘れば、もっと高く売れるぞ」
場面転換。
男2「200円でどうだ!?」
孫八「すみません。売れません」
場面転換。
男3「250円だ!」
孫八「ダメダメ」
場面転換。
男4「これ以上は無理だ! 350円」
孫八「……まだ、ダメ!」
場面転換。
孫八「へへへ。ドンドン値段が上がっていくぞ。もう少し上がれば、俺は大金持ちだ!」
場面転換。
孫八「……あれ?」
場面転換。
孫八「ねえねえ。最近、誰もあのお皿を買いに来ないんだけど」
鑑定師2「ああー。どうやら流行が過ぎたみたいだよ。今はかなり安くなってるね」
孫八「ええー! そんなあ!」
場面転換。
現代に戻る。
母親「……だから、お皿を売るのはやめておきなさい」
公太「はー。勿体ない。大金持ちになる夢が……」
母親「ったく! おじいちゃんのおじいちゃんの爪の垢を煎じて飲ませてやりたいわね」
公太「……うう。300万」
終わり。