■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ
■キャスト
セイク
母親
その他
■台本
母親「セイク。あなたは、女神の血を引いた、世界の希望となる勇者なのよ。大きくなったら、旅に出て、世界を平和にするの」
場面転換。
セイク「ったく、冗談じゃないよなー。世界平和なんて興味ねーし」
青年「けど、セイク。そろそろ、おばさんが言ってる、大きくなったら、になるんじゃね?」
セイク「ま、ま、ま、まだ18だし」
青年「いやいや。十分、成人だろ。てか、同年代で、仕事してねーのお前だけだぞ」
セイク「就職したら、母さん、許してくれるかな?」
青年「無理じゃね?」
セイク「くそっ!」
場面転換。
母親「セイク。旅に出なさい」
セイク「嫌です」
母親「一通り、装備を揃えておいたから、しばらくは困らないはずよ」
セイク「ねえ、母さん。きっと、親父がやってくれるって。俺なんかが、行かなくたって大丈夫でしょ」
母親「何言ってるの! お父さんは女神の血を引いてないんだから勇者じゃないの。だから、さっさとお父さんの手伝いに行ってきなさい」
セイク「ええー……」
ギリギリと頬を抓られる音。
セイク「痛い! 痛い! 痛い! ほっぺた抓らないで!」
場面転換。
山道を歩く音。
セイク「あー、もう、面倒くさいなぁ。こうなったら、早く親父を見つけて、せっつくか」
場面転換。
町中。
町人「あー、オーギーの息子か。全然似てないねぇ」
セイク「まあ、母親似なんで。で、親父なんだけど、どこにいるか、噂とかでいいんで知らないですか?」
町人「あれ? 知らないの? 魔王城に捕まってるって噂だよ」
セイク「……捕まった?」
町人「あんな魔王だから、殺されたりはしないと思うけど、下手したら10年は捕まったままかもねぇ」
セイク「はあ……。しゃーない。さすがに助けに行くか……」
場面転換。
導師「ん? 魔王城に入る方法?」
セイク「何かありませんかね? ちょっと入って出るだけでいいんです」
導師「……何をしに行くのか知らんが、それなら、女神の祈りが必要だな」
セイク「女神の祈り?」
導師「ああ。つまり、女神に会いに行かなきゃならんというわけだ」
セイク「女神って、どこにいるんですか?」
導師「そりゃ、天界だろうなぁ」
セイク「はあ……。面倒くさいけど、天界に行く方法を探すかぁ」
場面転換。
天使「え? 女神様ですか?」
セイク「はい。この、天界にいるって聞いたんですけど」
天使「あー、ごめんなさいね。女神様なんだけど、20年前に下界に降りちゃったんだよね」
セイク「えええー! ど、どこ行ったんですか?」
天使「んー。世界樹にお祈りに行くって言ってたから、その辺で聞き込みしたら、情報があるかも」
セイク「はあ……。今度は世界樹か。面倒くさいけど、行くかぁ」
場面転換。
世界樹「私は世界樹、ユグドラシル。私になんの御用でしょう?」
セイク「あの……。20年前くらいなんですけど、ここに女神さまが来たって聞いたんですけど」
世界樹「ええ。来ましたよ。ですが、ある男性に連れられて、行ってしまいました」
セイク「あ、あの……どのへんに行ったか、わかりませんかね?」
世界樹「確か、その男はギザン高原にある町から来たと言っていました」
セイク「ギザン高原……。あー、くそ、面倒くさいけど、行ってみるか」
場面転換。
おじいさん「あー。懐かしいねぇ。女神さまを連れてきたときは、村全体が驚いてね。盛大にお祝いをしたもんだよ」
セイク「女神さまは今も、村にいるんですか?」
おじいさん「いないいない。女神さまは、人として生きたいってことで、さっさと村を離れたんだ」
セイク「どこに行ったか、知りませんか?」
おじいさん「さあ、ねえ」
セイク「あの、せめて、その、女神さまを連れ帰った男のことを教えてくれませんか?」
おじいさん「あー。名前はオーギーで……」
セイク「へ?」
場面転換。
母親「ふふふ。冒険は捗ってるかしら? どう? そろそろ、魔王、倒せそう?」
セイク「いやいやいやいや……」
母親「どうかしたの?」
セイク「ねえ、一つ聞きたいんだけど……」
母親「なに?」
セイク「母さんって……女神さまだったりする?」
母親「え? 何をいまさら」
セイク「はああ?」
母親「ずっと言ってるじゃない。あなたは女神の血を継いでるって」
セイク「いや、それは子孫って意味だと思うじゃん、普通!」
母親「じゃあ、ずっと気づいてなかったの?」
セイク「……母さんが女神なんて、絶対にないと思うよ」
ギリギリギリと頬を抓られる音。
母親「どういう意味?」
セイク「いでででで! こういうとこ! こういうとこだってば!」
終わり。