■概要
人数:2人
時間:5~7分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
将也(まさや)
響平(きょうへい)
■台本
コンサート会場。
大勢の観客で盛り上がっている。
将也「うおおおお! 雫ちゃーん!」
響平「雫ちゃん、可愛いーー!」
場面転換。
ファミレス。
将也「いやー、ライブ、最高だったな」
響平「うんうん。今までの人生の中で、一番って言っても過言じゃないよ、あの出来は」
将也「はあ……。俺、雫ちゃんに出会えて、ホント良かったよ。あんな天使、絶対、他にはいないよな」
響平「ああ。まさしく、この世に舞い降りた天使……いや、女神だよ。生まれてきてくれたこと自体が奇跡さ」
将也「そうだよな。まわりはさ、なんで、アイドルなんかにそんなに金を使うのかって言うけどさ、奇跡は金に換えられないよな」
響平「そうそう。てか、生活費くらいつぎ込めないで、ファンを名乗る資格はないよな」
将也「そうそう。まあ、言ってしまえば、どれだけ好きかっていうのを数値にしたもんだよな」
響平「言えてる! 使った金額イコール、愛だよな」
将也「なあなあ、雫ちゃんのどんなところが好きだ?」
響平「はああ? そんなこと、今さら聞くか? 全部だよ、ぜ、ん、ぶ!」
将也「なんだよ、その雑な答えは? 雫ちゃんのいい所を言語化できないってのか?」
響平「アホか。あり過ぎて言い切れないってことだよ。まあ、いいや。じゃあ、順番に言ってくか?」
将也「いいぜ」
響平「まず、可愛い」
将也「もっと、細かく言えよ。可愛いにも色々あるだろ」
響平「純粋……ってところかな」
将也「うんうん。雫ちゃんは純粋だな。次、俺だな。喋り方が可愛い」
響平「お前も、雑だろ。どういうふうに可愛いか言えよ」
将也「えっと、こう、幼さが残る感じ?」
響平「あー、わかるわかる! 次、俺だな。仕草が可愛い。小動物って感じだな」
将也「あー、わかるわかる! それな! じゃあ、次は俺だな。笑顔が天使そのもの!」
響平「あー、言われたかぁ! あの笑顔はホント、女神だよ。なんていうか、嘘のない笑顔だよな」
将也「そうそう! あれは本気じゃないとできない笑顔だよな」
響平「これからも応援していこうぜ」
将也「ああ、もちろんだ!」
場面転換。
大学内。
響平が走って来る。
響平「おい! ニュースサイト見たか?」
将也「……ああ。ホント、最悪だ」
響平「……信じてたのにな」
将也「知ってるか? 付き合い始めたのって、5年前からだってよ」
響平「マジで!? 人気投票前からじゃん!」
将也「少しでも順位を上げてあげたいって思って、かなり金をつぎ込んだのになぁ……」
響平「結局、あの笑顔は、客向けの笑顔だったんだな」
将也「……てか、金づるとしか見てなかったんじゃねーのか?」
響平「幻滅だよ」
将也「てかさ、今思ったんだけど、雫ってそんなに可愛くないよな」
響平「あ、俺もそれ、思った」
将也「なんかさ、田舎臭いっていうか、垢抜けてないよな」
響平「あー、わかる。なんかさ、ガキ臭いよな。喋り方もさ」
将也「そうそう。仕草もさ、あざといって言うか、こういうの可愛いでしょ? っていうのが見ててバレバレなんだよな」
響平「そうなんだよ! 今思えば、なんであんなののファンなんかしてたんだろうな」
将也「ホント、それ。人から金を吸い取る悪魔だよ、悪魔!」
響平「俺、もう、二度とアイドルなんて好きにならねー」
将也「俺も俺も。なんか、一気に冷めたよな。ホント、バカみたいだよ」
場面転換。
コンサート会場。
大勢の観客で盛り上がっている。
将也「うおおおお! 美月ちゃーん!」
響平「美月ちゃん、可愛いーー!」
場面転換。
ファミレス。
将也「いやー、最高のライブだった」
響平「やっぱ、美月ちゃんは天使だよ」
将也「あの純粋な感じ! ヤバいよな」
響平「あの、幼さが残る喋り方! 狙ってやれるもんじゃねーよ。あれは、本当に、心がまだ、真っ新なんだよ」
将也「仕草も可愛いよな。小動物みたいでさ」
響平「そうそう。でもやっぱり、なんと言っても一番いいのは……」
将也・響平「笑顔!」
将也「だよなー」
響平「天使って言うか、女神だよな」
将也「ホント、あの子が生まれてきてくれたことが奇跡だよ」
響平「これからも応援していこうぜ」
将也「ああ、もちろんだ!」
終わり。