心頭滅却

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■概要
人数:2人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
翔太(しょうた)
力也(りきや)

■台本

セミの鳴く声。

場面転換。

翔太の部屋。

翔太「あちぃ……」

力也「アイス食いたいな……」

翔太「小遣い下げられたから、無理だ……」

力也「……なあ、窓を開けてるのは、やっぱり、あれか? 省エネか?」

翔太「ああ。エアコンをガンガン使わないように、リモコンを取られた」

力也「そこまでか……」

セミの鳴く声が響く。

翔太「それにしても、ヤバい暑さだな」

力也「どうする? どっか、店にでも行って、涼んで来るか?」

翔太「んー。金ないのに、そんなところに行ったら、虚しくならないか?」

力也「あー、確かにな。もし、周りでアイスとか食ってるの見たら、悶絶しそうだ」

翔太「くそ……。これからドンドン、暑くなっていくのに、これは拷問だよな」

力也「なんか対策が必要だな」

翔太「そうだな。こう、根本的な対策が必要だな」

力也「また、暑さの耐久力を上げるとかか?」

翔太「いや、あれは一時的にしか効果がないから、意味ねーよ」

力也「じゃあ、どうするんだ? あれか? 心頭滅却的な感じか?」

翔太「いや、根性のない俺たちには無理だろ」

力也「じゃあ、どーすんだよ?」

翔太「そうだなぁ……。なんか、暑さを感じないような、涼しくなるような方法ってねーかな?」

力也「うーん……」

翔太・力也「あっ!」

力也「俺、いいこと思いついた」

翔太「俺もだ」

力也「なあ、勝負しねーか? どっちが凄い暑さ対策ができるかを」

翔太「よし、受けて立つ!」

力也「じゃあ、一週間後に勝負しよーぜ」

翔太「ああ」

場面転換。

力也「はあ、はあ、はあ……」

翔太「うう……」

力也「一週間経ったけど、じゅ、準備は……できてるか?」

翔太「うう……。だ、大丈夫だ……」

力也「よし……。じゃあ、結果を発表しようぜ」

翔太「ああ」

力也「正直に言って……俺の勝ちだ」

翔太「……そうか?」

力也「ああ。……なにしろ、今、気温が39度なのに、寒いくらいだからな」

翔太「悪いな。俺もなんだ。さっきから、震えが止まらねーよ」

力也「へー。……お前も、なかなかやるな。じゃあ、俺から発表させてもらうぞ」

翔太「ああ」

力也「俺は……」

翔太「……」

力也「風邪を引いたんだ! ……はっくしょん!」

翔太「なるほどな……」

力也「寒気が取れねー。暑さなんてもうどうでもいいくらいだ。……もう、立ってるのもやっとだ」

翔太「……やるな」

力也「次は、お前の番だぞ」

翔太「ああ……。俺は……」

力也「……」

翔太「今、幽霊に取り憑かれてる」

力也「え?」

翔太「心霊スポットを巡ってな。たぶん、数人の幽霊が憑いて来てる。おかげで、今も、寒気がヤバい」

力也「……大丈夫なのか?」

翔太「夜も寝れねーし、外にも出れん」

力也「……なあ?」

翔太「ん?」

力也「心頭滅却した方がよくないか?」

翔太「……そうだな」

終わり。

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