■概要
人数:4人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
翔琉(かける)
奈緒(なお)
男子生徒
女子生徒
■台本
教室内。
翔琉(N)「……うわ。奈緒ちゃん、また、俺の方を見てる。これって、もしかして……」
そこに男子生徒がやってくる。
男子生徒「おーい、翔琉。何、ボーっとしてるんだ……って、また、奈緒ちゃんのこと、見てるのか? 気持ち悪いな。嫌われるぞ」
翔琉「違う、違う! 逆だよ、逆」
男子生徒「逆?」
翔琉「俺が、美緒ちゃんに、見られてるの」
男子生徒「は?」
翔琉「しかもさ、結構な頻度で見られてるんだよ。……これってさ、奈緒ちゃん、俺のこと好きってことなのかな?」
男子生徒「はー。お前はホント、めでたい奴だな。いや、痛い奴だ」
翔琉「な、なんでだよ」
男子生徒「ありがちだよなー。目が合ったとか、話しかけてくれたとか、そんなことで、自分のこと好きなんじゃないかって思うのは」
翔琉「なんだよ、それ。実際にそうなんだから、いいだろ」
男子生徒「はいはい。わかったわかった。そんな痛々しいお前には、この本をプレゼントしてやるよ」
バッと本を出す男子生徒。
翔琉「……男が勘違いする方法?」
男子生徒「そ。もし、ここに当てはまることなら、それは勘違いってことだから。痛い目見る前に、認識を改めた方がいいぞ」
翔琉「……わかった。見てみる」
場面転換。
翔琉の部屋。
本をペラペラとめくる翔琉。
翔琉「えーと……なになに? 落とし物を拾ってくれる。好きな人、いるの? と聞かれる。バレンタインにチョコをくれる。視線がよく合う……。なんだよ、これ! 全部当てはまるじゃん! ……あーあ。なんだよ、全部俺の勘違いかー。でも、よかった。危うく、恥をかくところだった」
場面転換。
ナレーション「1週間前」
教室内。
奈緒「……」
女子生徒「なーお! ボーっとして、どうしたの……って、また、翔琉くんのこと見てたの?」
奈緒「な、なによ、別にいいじゃない!」
女子生徒「あいつ、地味だよね」
奈緒「……そういうところがいいんだよ」
女子生徒「はー。そんな、ウジウジしてないで、パパっと告っちゃえば?」
奈緒「む、無理だよ、そんなの!」
女子生徒「まあ、奈緒には無理かもね。なら、あっちから告らせちゃえばいいのよ」
奈緒「……どうやって?」
女子生徒「ババーン! そんな奈緒には、この本をあげる!」
奈緒「……男が勘違いする方法?」
女子生徒「そ。ここに書いてあることをすれば、あっちが勘違いして、告白してくれるって戦法よ」
奈緒「ありがとう。やってみる」
場面転換。
教室内。
翔琉「おっと……」
筆箱を落としてしまう翔琉。
奈緒「……はい。筆箱、落ちたよ」
拾って渡す奈緒。
翔琉「あ、ありがとう……」
場面転換。
教室内。
奈緒「ねえ、翔琉くん、ちょっといい?」
翔琉「なに?」
奈緒「今、アンケート取ってるんだけど、答えてくれないかな?」
翔琉「いいよ」
奈緒「……今、好きな人、いる?」
翔琉「なっ!」
奈緒「……答えてくれるんだよね?」
翔琉「えーと、その……まあ、少しは……」
奈緒「……私もね、いるんだよ」
翔琉「え?」
場面転換。
廊下を歩く翔琉。
そこに奈緒がやって来る。
奈緒「あ、翔琉くん、ちょっといい?」
翔琉「なに?」
奈緒「これ、チョコレート」
翔琉「……え? な、なんで?」
奈緒「ほら、この前のバレンタインデーに渡し忘れたから。も、もちろん、義理……だからね」
翔琉「あ、ありがとう。嬉しいよ」
場面転換。
教室内。
奈緒「……」
女子生徒「奈緒、あれからどう?」
奈緒「全然、ダメ……」
女子生徒「えー。うそー!」
奈緒「今も、ジッと見てるんだけど、最近、目が合っても、すぐに逸らされちゃうんだよね」
女子生徒「マジか。おかしいなぁ。ああいうタイプはすぐに勘違いしそうなんだけど」
奈緒「……」
女子生徒「うーん。仕方ないなぁ。そんな奈緒には、これをあげよう!」
バッと本を出す。
奈緒「男が勘違いする方法2?」
女子生徒「そ。続編が出たの。これを使えばバッチリだよ」
奈緒「ありがとう。やってみる」
女子生徒「うん。その調子!」
場面転換。
教室内。
翔琉「……」
男子生徒「よお、翔琉。最近、どうだ? 目が覚めたか?」
翔琉「いや、あのさ。やっぱり、奈緒ちゃん、俺のこと、好きじゃないかな? 何ていうか、視線が熱いっていうか……」
男子生徒「はあ? お前、まだ、そんなこと言ってんのか? 痛いったらねーな」
翔琉「けどさ……」
男子生徒「わかったわかった。そんなお前には、この本をプレゼントしてやろう」
バッと本を出す男子生徒。
翔琉「男が勘違いする方法2?」
男子生徒「そ。あれの続編だ。これ見て、勘違いから、ちゃんと目を覚ませよ」
翔琉「わかった。見てみるよ。ありがとう」
終わり。