■概要
人数:4人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代ファンタジー、コメディ
■キャスト
斗真(とうま)
月人(つきと)
清志郎(きよしろう)
菜々香(ななか)
■台本
斗真(N)「俺の名は斗真。実は異世界からの帰還者である。なんだ、中二病かと思いたい奴はそう思っていればいい。だが、俺が帰還者だということは紛れもなく真実なのだ」
清志郎「斗真せんぱーい。また、生徒会から依頼来てますよ」
斗真「またか。今月で何回目だよ」
清志郎「えーと、5回目ですかねー」
斗真「……多すぎだ。月人に押し付けておけ」
そのとき、ガラガラとドアが開く。
月人「ふざけんな、斗真。俺だって今月は4回の依頼をこなしてるんだぞ」
斗真「一回少ねーじゃねーか。やっぱ、月人がやれよ」
月人「はあ? 俺は質なんだよ、質! てめえの受けた、校長のズラを盗んだ犯人を捕まえるなんてしょぼい依頼じゃねーんだ!」
斗真「ああ!? てめえだって、用務員室のカギを探すなんてしょっぱい依頼じゃねーか!」
月人「やんのかてめえ!」
斗真「やってやんよ!」
清志郎「まあまあ、落ち着いてください」
月人・斗真「お前は黙ってろ!」
清志郎「……は、はい」
また、ガラガラとドアが開く。
菜々香「もう、また清志郎くんをイジメて。駄目じゃない」
月人「あ、菜々香ちゃん」
斗真「違うんだよ。月人が依頼を……」
菜々香「喧嘩するなら、私がその依頼を受けます。清志郎くん。どんな依頼?」
清志郎「えっと……」
斗真「いや、菜々香ちゃん、俺がやるよ!」
菜々香「え? 本当?」
月人「いやいや、俺がやる!」
斗真「なんだてめえ!」
月人「うっせえ!」
菜々香「もう……」
場面転換。
斗真と月人が歩いている。
斗真「くそ、見当たらねーな。おい、月人、もう作っちまえよ、猫」
月人「馬鹿か、てめえ。生き物は作れねーって何回言わせんだよ。お前こそ、猫の思考を読んでいる場所特定しろよ」
斗真「だから、人間くらい知能が高くないと、読めねーっつってんだろ」
斗真(N)「そう。実は俺の横にいる月人も帰還者だ。そして、帰還者は異世界で覚えたスキルを一つだけ、こっちの世界に持ってくることができるのだ。月人は何もないところから物を作る能力。そして、俺は人の思考を読む能力だ」
斗真「仕方ない。どっちの能力もつかえーんじゃ、地道にやるしかないか」
月人「だな」
斗真「にしても、生徒会も足元見過ぎだってんだ」
月人「まあ、本来は4人じゃ部って認められねーのを見逃して貰ってんだから、しゃーねーだろ
斗真「それにしたって、頼みすぎだろ」
月人「だからって、断れないだろ。菜々香ちゃん押し花部を潰すわけにはいかねーし」
斗真「……わかってるけどさ」
場面転換。
森の中。
菜々香「それじゃ、今日は文化祭に向けて、たくさん花を摘もうね」
斗真・月人「はーーーい!」
清志郎「菜々香先輩。どんな花がいいですか?」
菜々香「んー。そうね。赤系の花があったら、いいなぁ」
清志郎「赤ですか……難しそうですね」
斗真・月人「……
斗真(N)「これは先に見つけたほうが、ポイントが高そうだな」
場面転換。
月人「菜々香ちゃーん! 見つけたよー!」
菜々香「え? すごーい!」
月人「赤いバラです!」
菜々香(N)「……え? こんなところにバラなんて咲いてるわけないのに……。また、どっかから買ってきたのかな……。そんなことしないでほしいんだけど」
菜々香「あ、ありがとう……」
月人「えへへへ」
斗真(N)「ふん。馬鹿が。策士策に溺れるだ。能力で作ったのが裏目に出たな」
清志郎(N)「あ、赤い花だー」
斗真「む? 清志郎が見つけたか」
斗真が清志郎のところへ走る。
斗真「おい、清志郎。その花、寄越せ」
清志郎「え? あ、はい……」
斗真が花を持って菜々香の方へ行く。
斗真「菜々香ちゃーん。見つけたよ」
菜々香「……今、清志郎くんから取ったでしょ? 駄目だよ、そういうことしちゃ」
斗真「……」
斗真(N)「しまったー!」
月人(N)「ふん。策士策に溺れるだな。どうせ、清志郎の思考を読んで、横取りしたんだろ。能力が裏目に出たな」
斗真「くそ、あいつには言われたくねー」
場面転換。
清志郎「たくさん、花、摘めましたね」
菜々香「うん。そうね」
月人「はい、菜々香ちゃん。押し花キット」
菜々香「え? ありがとー! 用意しててくれたんだね」
月人「いやあ、当然だよ、当然」
菜々香(N)「よかったー。忘れてたんだよね」
月人「ふふん」
斗真「くそ」
清志郎「文化祭で、新入部員、たくさん入るといいですね」
菜々香「うん。そうね。頑張らくっちゃ」
斗真「菜々香ちゃんは、どんな部員が入ってきてほしいの?」
菜々香「そうだなぁ。やっぱりお花が好きって人が入ってきてほしいかなぁ」
斗真「菜々香ちゃんは、どんな人が好きなの?」
菜々香「え? えっと……」
菜々香(N)「やっぱり、優しい人……かな」
菜々香「……って、ちょっと、いきなり変なこと言わないでよ!」
斗真「ごめんごめん」
月人「ちょ、おまっ! 今、菜々香ちゃんの思考読んだだろ? 卑怯だぞ、後で教えろ」
斗真「いやなこった。お前だって能力使って押し花セット出しやがって。卑怯だっての!」
清志郎「僕は菜々香先輩が好きですよ。花のように素敵な笑顔、とっても魅力的です」
菜々香「ちょっと、ヤダ……。清志郎くん。そんなにストレートに言われたら照れちゃうよ」
清志郎「でも、本当のことですよ?」
菜々香「もう、清志郎くんの、そういう天然なところ、好きだよ」
清志郎「えへへへ」
菜々香「ふふふ」
斗真・月人「……」
菜々香「手、繋ごっか」
清志郎「はい!」
手をつなぎ、歩き出す2人。
斗真「ちょっ! 正攻法って……」
月人「卑怯だぞ! 清志郎!」
終わり。