鍵谷シナリオブログ

その謎を追え

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
大和(やまと)
部長
後輩
真白 真理(ましろ まり)
佐藤
田中
受付

■台本

刑事部署内。

大和「……はあ、暇だな」

後輩「暇っすねー」

大和「デカい事件とか起きねーかな」

後輩「ほどほどの事件じゃないと、本庁に取られるっすよ」

大和「あー、確かにな。あいつらのお茶くみするくらいなら平和な方がいいか」

後輩「そうっすねー。暇が……いえ、平和が一番っす」

部長「おい、大和、ちょっと来い」

大和「げっ! 面倒くさい事件、振られそうだな」

後輩「ご愁傷様っす」

部長「早く来い」

大和「はいっす」

大和が部長のところへ歩いていく。

大和「はい、なんでしょうか」

部長「暇そうだな」

大和「いえ、そんなことないですよ」

部長「今、なんの事件を追ってるんだ?」

大和「……」

部長「お前に調べてもらいたい案件がある」

大和「なんですか?」

部長「実はここ半年で、町の保険の金額が異常に高くなっている。つまり、町の人間が異常に医療機関に行っているということだ」

大和「……そんなの、例の感染症のせいじゃないですか?」

部長「それなら1年前から増えてるはずだろ」

大和「……まあ、そうですね」

部長「そして、保険使用が増えたほとんどは、この場所に集中している」

大和「……天使(あまつか)歯科医?」

部長「何かしら、不正が行われているかもしれない。お前、潜入捜査しろ」

大和「……ですけど、俺、別に歯医者に行く用事はないですけど……」

部長「虫歯の一つくらいあるだろ。なんなら、この場で歯を折ってやろうか?」

大和「……行ってきます」

場面転換。

天使歯科医。

ドアを開けると、カランカランと鈴の音が鳴る。

部屋内は混雑している。

大和「……おお。確かに人が多いな」

受付「こんにちは。今日はどうなされましたか?」

大和「あー、ちょっと奥歯が痛むので見てもらおうかと思って」

受付「ここは初めてですか?」

大和「あ、はい」

受付「では、保険証をお願いします」

大和「はい。どうぞ」

受付「お預かりします」

大和「……平日なのに、結構、混んでますね」

受付「ええ。なので、結構、お待ちいただくと思いますが」

大和「それは全然大丈夫なんですが……。いつもこれくらい混んでるんですか?」

受付「そうなんですよ。なので、治療が長引く場合、予約が取れるのが結構先になるかもしれません」

大和「……そうですか。でも、仕方ないですね」

受付「では、座ってお待ちください」

大和「はい」

大和が歩き出す。

大和(N)「確かに、人が異常に多い。平日にここまで混む歯医者なんか見たことないぞ。……しかも社会人らしき年齢の二元が多い……。ん? ちょっと待て。ここにいるやつら、男が多いぞ?」

大和が椅子に座る。

佐藤「あれ? 見ない顔ですね。初めてですか?」

大和「え? ああ、はい。そうですね」

佐藤「……やっぱり、噂を聞いてきたんですか?」

大和「噂?」

佐藤「またまたぁ。惚けちゃって」

大和「いや、本当に知らないんです。噂ってなんです?」

佐藤「……あれ? 知らないのにここに来たの?」

大和「ええ」

佐藤「そうですか。……あまり教えたくないのですが……」

受付「佐藤さん。3番にどうぞ」

佐藤「あ、はい。じゃあ、失礼します」

佐藤が歩いて行ってしまう。

大和(N)「やはり、なにか裏がありそうだな。あの、佐藤という男の話ぶりだと、集団で不正をしているのか?」

男「ちょっと待ってくれ! 今日で終わりって、そりゃないだろ!」

受付「そう言われましても、今日で治療は全て終わりです」

男「いや、虫歯の一つはあるだろ!? 奥歯とか見てくれよ」

受付「先生が全部の歯を見て、判断されたんです」

男「くそ……。そんな……。お、俺は……」

トボトボと歩いて出ていく男。

大和(N)「あれほど動揺するということは、かなり大きな金が動いていると見て間違いないな」

受付「……大和さん、3番にどうぞ」

大和「あ、はい」

歩き出す大和。

場面転換。

真理「こんにちは。大和さんの担当をさせていただく真白と言います。よろしくお願いします」

大和「よ、よろしくお願いします」

大和(N)「凄い巨乳の先生だな。しかも可愛い」

真理「奥歯が痛むんですよね? それじゃ、ちょっと見せてもらいます。口を開けてください」

ムニュっと真理の巨乳が大和の顔に当たる。

大和「……」

場面転換。

刑事部署内。

部長「大和。例の案件、どうなった? 進展はあったか?」

大和「……何か裏がありそうですね。ただ、まだはっきりとした証拠を見つけられてません。しばらく、あの歯科医に通おうと思います」

部長「そうか……。わかった。治療代は経費で落としてやる。しっかり、調べろ」

大和「はい!」

場面転換。

天使歯科医。

田中「どうも。今回から大和さんの担当になった田中です」

大和「……え? あ、あの……真白先生は?」

田中「ああ。真白先生はご結婚されまして、辞めましたよ」

大和「そ、そうですか……」

場面転換。

刑事部署内。

部長「おい、大和。例の案件どうなった?」

大和「あー、解決しました」

部長「なに?」

大和「保険を使う回数ですが、戻るはずですよ」

部長「そ、そうか……」

大和が歩いて自分の席に座る。

大和「はあー」

後輩「虫歯が痛むんですか? いっそ抜いてもらったどうっすか?」

大和「心が抜かれた感じだ」

後輩「……はあ?」

終わり。

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