■概要
人数:2人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
蒼(あおい)
綾乃(あやの)
■台本
蒼(N)「何がきっかけだったかは、あまり覚えていない。でも、そんなことはたいして、重要じゃない。とにかく、あの日、僕は綾乃さんに出会った。それがこの問題の始まりだったのだ」
場面転換。
綾乃が走って来る。
綾乃「蒼くーん!」
綾乃が蒼に抱き着く。
蒼「あ、綾乃さん、こんにちは……」
綾乃「小学校は? 終わったの?」
蒼「う、うん」
綾乃「じゃあさ、うち来ない? 蒼くんのために、ケーキ買ってあるんだ」
蒼「いや、悪いよ。いつもご馳走になってるし」
綾乃「いいのいいの。遠慮しないで」
蒼の首根っこを捕まえて、歩き出す綾乃。
蒼「うう……。なんで、いつもこうなるんだろ」
場面転換。
綾乃の部屋。
コトッとケーキとジュースをテーブルに置く綾乃。
綾乃「はい、どーぞ」
蒼「あ、ありがとう」
綾乃「おかわりもあるから、言ってね」
蒼「……」
綾乃「どうしたの? キョロキョロして」
蒼「あ、いや。また、写真が増えたなーって」
綾乃「そうなのー! この子はね、蓮くんって言って、今、話題のイケメン子役なの! で、こっちは孝明くん! 蓮くんとは違った、気の強い感じがいいよねー」
蒼「あはは……」
綾乃「あー、でもでも、安心して。私が一番好きなのは蒼くんだから」
蒼「……あ、ありがとう。嬉しいよ」
綾乃「あのね、蒼くん」
蒼「なに?」
綾乃「今日、うちの両親、帰って来ないんだよね」
蒼「……えっと、それが今、なんの関係が?」
綾乃「うふふふふ」
蒼「け、ケーキ、いただきます!」
綾乃「うん。たっぷり食べてね。なんなら、私も……。いや、食べるのは私の方かな」
蒼「あ、そうだ! 見たいテレビ番組があった! 帰らないと!」
綾乃「うちで見ていけばいいじゃない」
蒼「……しまった」
綾乃「なんなら、今日、うちに泊まっていく?」
蒼「遠慮しておきます……」
綾乃「あっ!(わざとらしく)」
ジュースが入ったコップを倒す綾乃。
蒼「わっ!」
綾乃「ごめんねー。ジュース零れちゃったね。濡れなかった?」
蒼「いや、えっと……」
綾乃「あー、大変。ズボン、びちゃびちゃだ。着替えないと」
蒼「じゃ、じゃあ、家に帰らないと……」
綾乃「大丈夫。替えはあるから」
蒼「……なんであるの?」
綾乃「あれ? でも、着替える前にお風呂入らないと、ベタベタになっちゃうね」
蒼「え?」
綾乃「一緒に入ろうっか?」
蒼「いや! ダメだよ! ダメダメ!」
綾乃「あれあれ? もしかして、照れちゃってるのかな? 可愛い―!」
蒼「そ、そうじゃなくて……」
綾乃「私は全然、いいのになぁ」
蒼「ダメ! 絶対にダメ!」
綾乃「そっか。無理強いはダメだよね」
蒼「(ほっとして)」
場面転換。
脱衣所の前。
綾乃「はい。これ、ズボンと下着とバスタオル」
蒼「あ、ありがと」
綾乃「お風呂は温かったら、沸かしてもいいからね」
蒼「う、うん。それじゃ、入るね」
蒼が脱衣所に入る。
そして、鍵を掛ける。
蒼「ふう……」
蒼が服を脱ぎ始める。
綾乃の声「あ、やっぱり、背中流してあげる……」
外からドアを開けようとする綾乃。
綾乃「あれ? 鍵かかってる? 蒼くーん、開けて」
蒼「……やっぱり。鍵かけててよかった」
蒼が裸になり、浴室へと入り、湯船に浸かる。
蒼「……今更、言えないよね」
蒼(N)「僕が女の子だなんて、絶対に言えない……」
終わり。