■概要
人数:2人
時間:3分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
克己(かつみ)
楓(かえで)
■台本
病室のベッドで横になっている克己。
克己「……いてて。くそ、身動きとれねえ」
ガチャリとドアが開き、楓が入って来る。
楓「やっほー。克己、元気してる?」
克己「……楓?」
楓「なによ。その呆けた顔は?」
克己「いや、何しにきたのかなって」
楓「あのねえ。わざわざ病室に来て、お見舞い以外になにがあるっていうのよ」
克己「そうだよな。すまん」
楓「あ、これ、メロン。お母さんが持って行けって」
克己「おお! サンキュー。あとで母さんに切ってもらうよ」
楓「あとは……これ」
克己「なんだ?」
楓「チョコ。遅くなったけど、バレンタインデーの」
克己「へ? ああ、ありがとう」
楓「……」
克己「なんだ?」
楓「言っとくけど、義理だから、勘違いしないでよ」
克己「わ、わかってるよ」
楓「さてと。渡す物渡したし……」
楓が椅子を持ってくる。
ベッドの横に置いて、座る。
克己「……帰るんじゃないのか?」
楓「なによ? どうせ暇なんでしょ? 仕方ないから、話し相手くらいにはなってあげるわよ」
克己「そうか。まあ、確かに、助かる」
楓「でしょ? それにしても、あんた役得ね」
克己「役得?」
楓「そりゃそうよ。私みたいな美女と二人っきりでお話なんて、怪我で入院してなきゃ、あんたなんかじゃ、一生無理だもん」
克己「……いやいや。いつも普通に話してるだろ」
楓「学校での話でしょ? 教室で話すのと、部屋で二人っきりとじゃ、話は違うでしょ」
克己「……いや、お前、普通に俺の部屋にドカドカ上がりこんでくるじゃん」
楓「あ、あれは……その、あれよ! あんたが暇してると思って、気を使ってあげたの」
克己「……まあ、そういうことにしておいてやるよ」
楓「ってことで、どうしてもって言うなら、明日も……なんなら、退院するまで来てあげてもいいわよ、お見舞い」
克己「……無理はしなくていいよ」
楓「うわー、そういうこと言っちゃう? 私がここまで下手に出てあげてるのに?」
克己「そこまで下手じゃねーだろ」
楓「一週間、学食ね」
克己「なにがだ?」
楓「あんたが、私に奢るの。それで手打ちよ」
克己「はあ? なんでだよ?」
楓「当たり前でしょ! あんたみたいなのが、私みたいな美女と毎日、二人っきりで話ができるのよ? 普通なら、学食2週間は固いわ」
克己「お前な……」
楓「あと、土日に遊びに行くときは、全部、あんたの奢り。それでいいわね?」
克己「……楓。一ついいか?」
楓「何よ?」
克己「加害者が上からもの言ってんじゃねー!」
楓「きゃー! ごめんなさーい!」
終わり。