ハンカチ

ハンカチ

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■概要
人数:2人
時間:3分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
里奈(りな) 17歳
悠馬(ゆうま) 17歳

■台本

里奈(N)「気の利く女性がモテる。今、人気の雑誌でそう書いてあった。そして、その雑誌に書いてあったキーワードはハンカチ。男の人はハンカチを貸すと、ドキッとするらしい。明日は憧れの佑馬くんとのデート。頑張って頑張ってアピールして、ようやくここまで漕ぎつけた。明日で絶対に落としてみせるんだから!」

場面転換。
映画館。
里奈が待っているところに、佑馬が走ってくる。

里奈「……」
佑馬「ごめん、遅くなっちゃった」
里奈「あ、佑馬君。ううん。ちょうど10時だよ」
佑馬「そっか。でも、待たせちゃっただろ?」
里奈「そんなことないよ。私も、ちょうどさっき来たところなんだ」
佑馬「よかった。じゃあ、行こうか」
里奈「うん」
悠馬「今日は悪いな。俺の見たい映画につき合わせちゃって」
里奈「ううん。私も観たかったから」
悠馬「そうなんだ。趣味が合うのかもな」
里奈「そうだね!」
悠馬「それじゃ、チケット買いにいこうぜ」

里奈(N)「えっと、ハンカチを出すチャンス、その1。汗を拭う」

里奈「あ、悠馬君、汗かいてるよ。ハンカチ使う?」
悠馬「え? そうか? 映画館の中、涼しいっていうか寒いくらいだけどな」
里奈「……ああー。よく見たら、全然、汗かいてなかったね」
悠馬「そうだろ? じゃあ、行くか」
里奈「う、うん……」

里奈(N)「チャンス、その1失敗……」

場面転換。
映画中。
映画のセリフが流れている。

里奈(N)「……チャンス、その2。映画でちょっとホロッとしたときに、ハンカチを出す……」

悠馬「……」
里奈「……」

里奈(N)「悠馬君はずっと真剣な顔をして見ている。……男の子だと映画を見て泣くってことはないのかな?」

映画館内がドッと笑い声が響く。

悠馬「あはははは!」
里奈「……」

里奈(N)「……そもそもギャグ映画だった。それじゃ泣くわけないよね。チャンス、その2失敗……」

場面転換。
映画館ロビー。

悠馬「いやー、面白かったな」
里奈「う、うん」
悠馬「……あ、俺、ちょっとトイレ」
里奈「うん。行ってらっしゃい」

里奈(N)「……チャンス、その3。トイレで手が濡れて戻ってきたときにハンカチを出す。これは結構、勝算がある。いつも悠馬君は学校でトイレに行った後、濡れた手を振って戻ってくる」

場面転換。

悠馬「……お待たせ」
里奈「あ、悠馬君、はい、ハンカチ……」
悠馬「ん? どうした?」
里奈「いや、その……今日、悠馬君、ハンカチ持ってきてたの?」
悠馬「へ? なんでだ?」
里奈「えっと、手が濡れてないから」
悠馬「ああ。映画館のトイレはエアタオルがあるからな」
里奈「……あっ!」
悠馬「どうした?」
里奈「う、ううん……。なんでもない」

里奈(N)「考えてみれば、今って、あんまりハンカチ自体、使わないよね。私も、ほとんど使ってないし……」

終わり。