家に帰りたいだけなのに

家に帰りたいだけなのに

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■概要
人数:4人
時間:10分

■ジャンル
ドラマ・舞台、現代、コメディ

■キャスト
蒼佑(そうすけ) 24歳
奏斗(かなと) 20歳
警察1~2

■台本

〇住宅街(深夜)
物陰に隠れている蒼佑。

蒼佑「はあ、はあ、はあ……」

顔を出して、チラリと通りを覗くと、警官が2人、辺りを見渡しながら歩いている。

警官1「ん?」
蒼佑「やべっ!」

サッと物陰に隠れる。

警官1「いたぞ! あっちだ!」

警察1が、蒼佑の隠れている方へ指を指しながら走ってくる。

蒼佑「くそ!」

走って逃げる蒼佑。

蒼佑(N)「くそ! なんでだ!? なんでこんなことに……」

テロップ『――4時間前』

〇蒼佑の部屋(夕方)
アパートのワンルームで一人暮らし。
若干、散らかった部屋。
ベッドの上に座って、ゲームをしている。
そのとき、携帯が鳴る。

蒼佑「ん?」

蒼佑がスマホを手に取ると、ラインでメッセージがきている。
タップして、ラインの画面を開く。

〇ラインの画面。
奏斗からのメッセージ。

奏斗『よお、兄貴!』

蒼佑からの返信。

蒼佑「奏斗か。どした?」
奏斗「今日の夜なんだけどさ」

突然、電話の受信が入る。

〇蒼佑の部屋。
スマホを持っている蒼佑。

蒼佑「うわ、ビックリした」

通話ボタンをタップして、スマホを耳に当てる。

蒼佑「どうした? ……え? あっ! やべ! すぐ行く!」

ベッドから跳び降り、スエットを脱いで着替え始める。

〇居酒屋の個室
男女3人ずつ。合コンをしている蒼佑たち。
テンションが上がった蒼佑はガブガブ、酒を飲む。
合コンは大盛り上がり。

〇戸建てアパート前(夜)※蒼佑の家
酔ってフラフラとしながら歩いてくる蒼佑。

蒼佑「くそ……。ふざけんな。彼氏持ちで合コンに来るんじゃねーよ!」

部屋の前で立ち止まる。

蒼佑「……」

ポケットを探る。

蒼佑「あれ? 鍵がねぇ。……落としたか? ……しゃーないな」

回り込んで窓から入ろうとする蒼佑。
すると部屋の明かりがパッと着く。

蒼佑「へ?」
人影「誰だ!?」
蒼佑「おわああ!」

尻もちをつく蒼佑。
同時に、隣や二階の部屋の明かりが着き始める。

蒼佑「やべっ!」

その場から逃げ出す蒼佑。

〇住宅街
トボトボと歩く蒼佑。

蒼佑「……なんで俺の部屋に人がいるんだよ? てか、俺が逃げるのは変だよな? あそこ、俺の部屋なんだからさ。……泥棒かもしれん」

踵を返して、走り出す蒼佑。

〇蒼佑のアパート前
蒼佑が戻ってきて、自分の部屋に行こうとする。
しかし、そこには警察がいる。

蒼佑「え?」
警察1「ん? あ、君。ちょっといいかい?」
蒼佑「なんで、警察が!」

ダッシュして逃げる蒼佑。

警察1「あ、待て!」

蒼佑を追う警察1。

※回想終わり。
〇住宅街
蒼佑を警察1、警察2が追っている。

蒼佑「くそ!」

蒼佑が路地裏に入る。
警察1と警察2が同じように路地裏に入る。

警察1「……あれ?」

蒼佑が曲がった先は行き止まりで、誰もいない。

警察1「確かに、ここで曲がったはずだが……」

警察の2人が行ってしまう。
正面から見ると死角になる場所に潜んでいる蒼佑。

蒼佑「よし、撒けたか」

〇蒼佑のアパート前
部屋の中をこっそりと覗く蒼佑。
中に人影が見える。

蒼佑「……この、泥棒野郎が。堂々と部屋に居座りやがって」

蒼佑が窓を開けて、一気に部屋の中に入る。

〇蒼佑の部屋の中

蒼佑「この泥棒野郎!」
男の声「うわあああ!」

パッと部屋の電気が消える。

男の声「あ、しまった」

蒼佑が目を凝らすと、うっすらと人影が見える。

蒼佑「おらああああ!」

蒼佑が人影に飛び掛かる。

人影「うわ! ちょ、ちょっと待った!」
蒼佑「うるせえ! この泥棒野郎!」
人影「違うって!」

ドタバタの押し悶着になる。

蒼佑「この! お前のせいでこっちは大変だったんだぞ!」
人影「いや、誤解だって!」
蒼佑「何が誤解だ、この野郎!」

ドタバタと暴れる音。
そこに、外からライトの光が照らされる。

警察1「動くな!」

光に照らされて、相手の顔が見える蒼佑。

蒼佑「……え? 奏斗?」
奏斗「だから、待ってって言ったじゃん」
蒼佑「てか、なんで俺の部屋にいるんだよ!」
奏斗「今日行くって、連絡しただろ」

スマホを出して見る。

蒼佑「あ、ホントだ……」
奏斗「何度も連絡したのに、出ないからさー」
蒼佑「……ごめんごめん」
奏斗「ったく。人騒がせなんだからさ」
蒼佑「あはははははは」
奏斗「あはははははは」
警察1「……いい加減にしなさい!」
蒼佑・奏斗「ご、ごめんなさい……」

終わり。